BBTime 535 歯の命綱

BBTime 535 歯の命綱
「秋の日に干す沖海女の命綱」桑原立生

句の解説に『海女には「磯海女」と「沖海女」があり、磯海女は比較的浅い海を潜るため一人でも可能だが、沖海女は船で沖に出てからの作業なので、船を操り、合図を送る相手が必要となる。海女は海中の作業のなか、呼吸の限界で浮上の合図を船上へと送り、合図を感じたらパートナーは命綱を一気に引き上げる。20メートルにもなるという命綱を引き上げるには、わずかなタイミングが命取りになるため、命綱の多くは家族が担当するという。文字通り命をつなぐ綱の実物は驚くほど華奢である。透き通るような秋の日差しのなか、干されるなんのへんてつもないロープの名が命綱だと知った瞬間、それはかけがえのないものとなる。へその緒という命綱で母とつながっていた彼方の記憶が、ふと脳裏をよぎる。『寒の水』(2013)所収』(解説より)。今回は「歯の命綱」とも言える「歯髄:しずい」についてのお話。

先日、小生にとって叱咤激励の記事を見つけました。記事『「4割が失敗するのにメリットなし」歯医者で絶対に受けてはいけない”ある治療”』・・残念ながら、これは本当です。『日本と海外では歯科治療の内容が大きく異なる。歯科医の堀滋さんは「特に注意してほしいのは『歯の神経を取る』という根管治療だ。日本では成功率が6割と低く、メリットもほとんどないのに、広く行われている。歯の神経を取ってしまうと、取り返しがつかない」という――』(記事より)。以下ポイントを抜粋します。

【歯科医】そうですね。神経を取る治療というのは、歯医者さんで「根の治療」とか「根管こんかん治療」と呼ばれるもの。これは、むし歯が神経まで達しているときに、神経を取って、歯の根の深い部分まできれいに掃除をして封鎖するという治療です。ただし、歯医者さんで「神経を取る」と言われたときは、その治療を本当にやるべきか慎重に考えたほうがいいですよ。』(記事より)・・この場面で、患者の立場の方は一言言ってください。「神経取りたくないんです!」「歯が死んでしまうんでしょ」と。

【歯科医】実は、日本では保険で行う根の治療の成功率が世界に比べてものすごく低いんです。これは、初めて根の治療を行った場合のデータですが、アメリカで専門医が神経を取る治療を行った場合、成功率は90%。ところが、日本だと60%ぐらいです。【患者】え? 4割も失敗? 失敗するとどうなるんですか?【歯科医】再治療しますが、そのたびに歯が薄くなり、歯が割れて抜歯になって、インプラントを入れる……というパターンですね。』(記事より)。
【歯科医】いやいや。そもそも、神経を気軽に取ってはダメ。当院では、神経を取らなければならないケースは1年間で1~2本もないくらい。最新の手法を用いれば、かなり進行したむし歯でも神経を残せる時代です。【患者】えっ。神経を取らずに治療できるんですか?【歯科医】神経を取ることはすべて最悪の結果につながります。そのときは「痛みがなくなってよかった」と安心するかもしれませんが、安易にやることじゃないんです。』・・これは本当です!

【歯科医】わたしたちが歯の神経と言っているものは、歯の中心の空洞の中にある歯髄しずいのことです。歯髄には神経組織と血管が集まっていて、歯に栄養を運んだり、食べ物を噛んだときの刺激を脳に伝えたりしています。この歯髄を取れば、歯に血液が行かなくなる。そうすると、歯に栄養が行かないだけでなく、白血球の免疫作用も働かなくなるので、細菌の侵入に対する防御力がなくなります。つまり、感染症になりやすくなるとか、ばい菌の毒素が全身に回りやすくなる原因になるんです。【患者】あれ? それじゃ、せっかく治療しても余計悪くなっているような……。【歯科医】そう。神経を取ってしまうと歯は弱る一方。しかも、痛みを感じないので、むし歯が再発しても気づきにくくなります。神経を取るメリット全然なしじゃないですか。だから、歯医者さんで「神経を取る」「取っても何の問題もない」と言われたらそれは大間違い。』(記事より抜粋)。

【歯科医】違います! 歯にお金をかけるんじゃなくて、歯を大事にしましょうという話をしているんです。お金をかければ歯がよくなるという考え方も間違い。そもそも、日頃のケアをきちっとしていれば、お金をかける必要はなくなります。そこにお金はかかりませんよね。【患者】そうですね。失礼しました……。【歯科医】やはりきちっと予防をしていかないと意味がないということ。これまで60年持たせればよかった歯は、寿命が延びたことによって、そこから20年、30年、40年と使い続けなければならなくなっています。だから、歯に対する価値観を昔と変えなければいけない。治療をするなら最善の治療を選び、予防を怠らないようにしましょう。そうやって歯を大切にすれば、天然の歯だったら100年でも持つ可能性がありますよ。』(記事より)。

端折って紹介しました(悪しからず)。揚げ足を取る気は無いのですが・・ひとつだけ。この記事を読んだ方は「では、どうすれば神経を取らずに済むの?」と思われるのでしょう・・そうなんです。寅さんなら「それを言っちゃあ、おしめいよ」と言いそうですが・・残念ながら「予防しかない」のです。

皆さま、一に予防、二に予防、三に予防、よんに予防!・・まだ大きな声では言えませんが、皆様の予防をアシストする「お店」を計画中です(来年夏オープン)。ではでは皆さま、まだまだ残暑厳しい折、ご自愛の程ご歯愛の程。少しずつ風は秋ですので、ちなんだ曲を!8210



https://youtu.be/_GrhwErRkMg
追加:「残念ながら「予防しかない」のです」・・もうひとつありました!ブログ中にも書いていますが、歯科医の説明で「ムシ歯が深いので神経取りますね」と言われたら、まずは「取りたくありません!」と強く抵抗してください。万が一、歯の個別のレントゲン(通常デンタルという)を撮ってなければ、レントゲン撮影を希望して再度説明を求めてください。残念ながら全ての歯科医は、あなたの歯も神経も守ってはくれません。歯科医の中には、治療後(ムシ歯の処置)に痛みや違和感が出る(患者さんが感じる)のを嫌い、ムシ歯が深ければ「即」神経を抜く治療を選択する歯科医もいます。やはり、あなたの歯を守るのはあなた自身なのです。ご自愛の程ご歯愛の程。

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