元気ハツラツ予防歯科

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 今春の歯科医師国家試験の合格率に象徴されるように、歯科医療を取り巻く状況は、近年きわめて厳しいものと言える。近く2011年にはレセプト等に関するオンライン化も予定されており、開業医の置かれている環境はさらに厳しさを増すことは明白である。目の前に立ちはだかるものは八方ふさがりの「壁」なのか、それとも次世代歯科医療への「希望の扉」なのか。                                      

 以前、福岡予防歯科研究会(現Well-Being)のセミナーで「キュアからケアに,ケアからヘルスプロモーションへ」というフレーズあがり、「C」にかけて「cureからcareへ、careからcommunicationへ」というのが持論である。病気をキュア(治療)し、未病をケア(手当)するとなれば、健康を維持増進させるのがコミュニケーションである。今回、さらにその先の「C」について述べてみたい。      

 病気、未病、健康、その次に来るもの、それは「ハツラツ」である。予防という言葉は字面を見れば「病気になることへの抗い」という意味であり、今回の発表とは方向性が逆である。しかし予防に替わる言葉が見いだせないため「元気ハツラツ予防歯科」というタイトルとした。病気,未病の来院者は「患者さん」であるが、元気ハツラツな来院者は「お客さん」である。すなわち患者さんの来院理由には「ニーズ」があり、かたやお客さんの来院理由にあるものは「デザイア(欲望)」である。                 

 ニーズとデザイアは似ているようで非なるものである。ニーズとは「本来あるべきものがない状態」。言い換えれば、歯のトラブルなどで日常生活が営めない状態である。デザイアは「(無いなら無いですますことができるが)欲しくて欲しくてたまらない状態」である。

 現在の日本は周知のように、他の国に類を見ないほど高齢化の進んだ社会である。高齢化の進んだ社会とは表現を換えれば成熟した社会である。成熟した社会においては、ニーズよりデザイアを満たす商品やサービスなどがより多く求められる。ここ数年、日本におけるスターバックスコーヒーの隆盛を見れば、それは明らかである。おなかの空腹を満たすハンバーガーよりも、こころの渇きを癒すコーヒーの方が人々に求められる社会なのである。加えて、インターネットの普及により人々は膨大な情報を自宅にいながらいとも簡単に手に入れることができる。 

 いろいろな意味において、現在の日本社会は質・量ともに成熟している。患者さんがひとたび健康を取り戻したならば、轍を踏まないすべを求めるのは当然であろう。すなわち、ニーズをベースにした「後手後手医療」からデザイアに軸足を置いた「先手先手ケア」への変換もしくは取り組みが急務であると言えよう。宮崎県歯科医師会が推進している「パールリボン運動」も合わせて発表してみたい。

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