BBTime 476 尻拭い

BBTime 476 尻拭い
「秋の暮大魚の骨を海が引く」西東三鬼

解説は『つとに有名な句だ。名句と言う人も多い。人影の無い荒涼たる「秋の暮」の浜辺の様子が目に見えるようである。ただ私はこの句に触れるたびに、「秋の暮」と海が引く「大魚の骨」とは付き過ぎのような気がしてならない。ちょっと「出来過ぎだなあ」と思ってしまうのだ。というのも、若い頃に見て感動したフェリーニの映画『甘い生活』のラストに近いシーンを思い出すからである。一夜のらんちきパーティの果てに、海辺に出て行くぐうたらな若者たち。季節はもう、冬に近い秋だったろうか。彼らの前にはまさに荒涼たる海が広がっていて、砂浜には一尾の死んだ大魚が打ち上げられていたのだった。もう四十年くらい前に一度見たきりなので、あるいは他の映画の記憶と入り交じっているかもしれないけれど、そのシーンは掲句と同じようでありながら、時間設定が「暮」ではなく「暁」であるところに、私は強く心打たれた。フェリーニの海辺は、これからどんどん明るくなってゆく。対するに、三鬼のそれは暗くなってゆく。どちらが情緒に溺れることが無いかと言えば、誰が考えても前者のほうだろう。この演出は俳句を知らない外国人だからこそだとは思うが、しかしそのシーンに私は確実に新しい俳味を覚えたような気がしたのである。逆に言うと、掲句の「暮」を「暁」と言い換えるだけでは、フェリーニのイメージにはならない季語の狭さを呪ったのである。『新歳時記・秋』(1989・河出文庫)などに所載。(清水哲男)』(解説より引用)。「La Dolce Vita」のラストシーンとは結びつきませんでした。小生の連想は「老人と海」でした。

前回「BBTime 475 不可逆」で紹介した句の次に載っていたのが掲句。「新編 折々のうた」の解説には・・「『変身』(昭和三七)所収。昭和三十七年、同句集刊行の直後六十一歳で没した岡山県生まれの俳人。新興俳句運動の大立者だが、本業は歯科医、洒脱な文章の随筆でも人気が高い。初期の句の華麗さが多く話題になるが、最終句集『変身』に収められた晩年の作には、懐深く味わい濃い句が多い。男盛りだったが胃癌に勝てず、死を身近に感じる最晩年だった。暗く壮大なものが沖へ静かに退いてゆくのを、作者は心の窓ごしに凝視している。」(「新編 折々のうた」より)。

この解説を読むまで「西東三鬼の本業は歯科医」と知りませんでしたし、西東三鬼の他に俳人である歯科医を未だ知りません。今更ながら、このような非凡なる歯科医がいらっしゃったとは、嬉しくもあり誇らしくもあり。長い長い枕となりました、二晩か三晩もお休みになられたかと(笑)。今回は自戒を込めて歯科医の仕事が「尻拭い」で終わっていいのか?について。言葉「尻拭い」を、歯科医の上から目線とお叱りを受けそうですが、あくまでも「歯科医の尻を叩く」が真意です。

辞書には「尻拭い=他人の不始末の責任を取らされること」とあります。ここでの他人とは「患者さん=ムシ歯を作った人・歯周病になった人」をさします。さて先日、不動産業を営む友人との会話で「最後はデベロッパかな」とのこと。一般的にデベロッパとは「デベロッパー(developer、開発者)とは開発業者のことで、大規模な宅地造成やリゾート開発、再開発事業、オフィスビルの建設やマンション分譲といった事業の主体となる団体・企業のことである。ディベロッパーとも言う」とありますが、友人の意味するところは「まちづくり」のようでした。

友人の話にビシッと尻を叩かれました・・「尻拭いで終わっていいのか」。ブログにも度々書いてますように、最もリアルなムシ歯の原因は「磨き残しの存在」です。あえて言うなら「他人の不始末:その方の歯磨き不足」によってムシ歯は発生します。ムシ歯になった方(患者さん)が来院し、治療し金銭を頂く。甘いものを食べてムシ歯になり、歯科医が治療しお金をもらい、歯科医は「甘い生活」を営むことができる・・素直に考えてシャレにもならん構図だと思います。

最終的にはデベロッパを考えている・・人に住居を提供して、家賃や仲介料をもらう。一般的な不動産業であっても世の中には必要な仕事です。現状に満足せず、さらに世の為人の為を思い、まちづくりへと。常々思うのです・・ムシ歯の治療、痛みをとるなど、人の為の仕事ではありますが、表現を変えれば「人の不幸につけ込んで・・」の仕事です。歯科医(もしくは歯科診療所)が尻拭い(ムシ歯治療)ではなく「歯垢拭い:しこうぬぐい」を今以上に行えば、これこそ「世の為人の為」です。

この図式はかなり昔に考えたものです。CURE=治療、CARE=手当てを必要とする方は患者さんであり、平穏な日常よりもマイナスに位置する、言わば不幸な人です。歯科医は治療などによって、噛めるようにしたり痛みをとったりしますが、マイナスからゼロの位置(平穏な日々)に戻しただけで、プラスのハッピー(幸福)を与えてはいません。より幸せは図式の真ん中より右上の部分です。当時「3C:サンシー、三つのC」とよんでセミナーをしていました。キュア、ケアに続く三つ目のCはズバリ「しあわせ」の「し」です。キュアケアなどの治療は尻拭いですが「歯垢ぬぐい」に軸足を移せば人々は「歯の痛み」も「噛めない不便さ」も味わう必要がありません。まさに「歯垢ぬぐい」は世の為です。尻拭いから「歯垢ぬぐい」へ

三つ目の「C」は果たして何なのか?今やっと見えてきました。歯科医の言い訳になりますが、日本における歯科医療(図式の左下)が「人の不幸につけ込んで」に甘んじて、積極的に「人をより幸福にする」に歩みを進めないのは、歯科予防(図式の右上)のビジネスモデルが確立されていないからです。保険診療の枠組み・システムで治療行為では収入を得ることはできますが、予防行為のみでビジネスとして成立させるにはハードルが相当高いのが現状です。小生が思う三つ目の「C」は真面目にCAKE:ケーキ!今回はここまで(笑)続きはいずれ。

画像は、覚えている人は知っている・・「おしりだって洗ってほしい」のCM。
「おしりだって洗ってほしい 皆様、手が汚れたら洗いますよね。こうして、紙でふく人って、いませんわよね。どうしてでしょう。紙じゃとれません。おしりだっておんなじです。おしりだって洗ってほしい。ToToウォシュレット 暖かいお湯で洗います。おしりだって、洗ってほしい。」1983年頃のCM、約40年前なんですね。

歯も同じです・・「私の歯も洗ってほしい」。そうなんです、ご自分では隅の隅まで洗えないんです。だからこそ「洗ってほしい」→「洗ってあげます」→ここでCAKEの登場(続きは今度)。皆様ご自愛のほど、ご歯愛の程。3120



三曲目はイタリア映画つながりで・・美女はイギリス人です。

おまけ:朝日新聞コラム「折々のことば」より
「のぞみはありませんが ひかりはあります」新幹線の駅員さん
千葉・本妙寺の掲示板にあった言葉(江田智昭著『お寺の掲示板』所収)。臨床心理家・河合隼雄が残したジョークから引かれた文言。河合が新幹線の切符を買おうとしたら、駅員にこう言われた。瞬間、この言葉の深い含蓄に感激し、同じ言葉を大声で返すと、駅員は「あっ、『こだま』が帰ってきた」とつぶやいたという。希望をなくしても仏様の光はずっと人を照らしている。」2020/9/13朝刊

BBTime 475 不可逆

BBTime 475 不可逆:ふかぎゃく
「がつくりと抜け初むる歯や秋の風」杉山杉風

画像は八月末日の桜島。「初むる」はソムル「杉風」はサンプウと読みます。句の解説は『江戸の大きな魚屋で、芭蕉の門人。芭蕉の経済的後援者だったことは有名。深川の芭蕉庵も彼の下屋敷だった。右(上)の句は『猿蓑』にのるが、初案は「がつくりと身の秋や歯の抜けし跡」として、芭蕉あて書簡に出る。これだと詠嘆が勝ちすぎて、句は集中度に欠ける。改案にはおそらく芭蕉の手が入っているのだろう。近年「がっくり」の語がはなはだしく流行するが、この句あたり、最も早い時期の文学的用例かもしれない。語感を鋭くとらえている』(新編折々のうた 大岡信より)。初案改案を読むに、この「抜け初むる」は乳歯が抜けたのではなく、永久歯が歯周病(歯槽膿漏)によって抜けたのでしょう。作者は抜けた歯を手に「人生の秋」・・おそらく晩秋を感じたのかもしれません・・今回は可逆不可逆についてのお話。

不可逆を辞書で引くと「ある化学変化が生じた状態を元に戻すような変化を起こすことが不可能なこと」。つまり「元に戻せないこと」です。歯科における「不可逆」の最たるものが「ムシ歯」で、過去にも書いてますが「ムシ歯の治療」は失った歯質(歯の部分)を人工的材料で置き替えたに過ぎません。歯周病もほぼ同等で、炎症によって失った歯槽骨(歯を支える骨)を元のように戻すことはできません。よって作者は「抜け初むる」となったのです。

かたや「可逆」は?極めて初期のムシ歯であり、初期歯周病の「歯肉炎」です。この段階であれば「実質的欠損(実際の損失)」はほとんど生じていませんから、まだ元に戻すことが可能です。数日でムシ歯になるわけではありません、歯磨きしなかったからすぐに歯肉炎になるわけではありません。歯科臨床の経験的では、週に一度ほぼ完璧に磨ければ元に戻せます。しかし残念ながら御本人では完璧磨きは無理ですので、日々数回磨きましょうとなるのです。

歯科医としての希望は「月一回」の専門家(歯科衛生士・歯科医師)による歯のクリーニングです。月一回の頻度は、これまた残念ながら現時点で「保険適用外」です。今回、台風十号通過後に「事前報道ほど激しくなかった」との声をちらほら聞きますが、無事が何よりです。JRの計画運休、コンビニ閉店、鹿児島離島の島外避難等々、表現は不適切ですが「ハズレ」が良いのです。歯科予防も同様、月一回お会いして「問題なしです、無事です」が一番・・と日々思います。ご自愛の程ご歯愛の程。1790

BBTime 473 食前食後

BBTime 473 食前食後
「秋暑しあとひとつぶの頭痛薬」岬 雪夫

句の如く暑い毎日・・ウンザリです。『こんなにも暑さがつづくと、月並みな挨拶を交わすのさえ大儀になってくる。マンションの掃除をしにきてくれている女の人とは、毎日のように短い立ち話をしているが、最近ではお互いに少し頭をさげる程度になってしまった。会話をしたって、する前から言うことは決まっているからだ。出会ったときのお互いの目が、それを雄弁に語ってしまっている。こうなってくると、なるべく外出も避けたくなる。常備している薬が「あとひとつぶ」になったことはわかっているが、薬局に出かけていくのを一日伸ばしにしてしまう。むろん「あとひとつぶ」を飲みたいときもあるけれど、炎暑のなかの外出の大儀さとを天秤にかければ、つい頭痛を我慢するほうを選んでしまうのだ。こんなふうにして、誰もが暑さを避けつつ暑さとたたかっている。この原稿を書いているいまの室温は、34度。こういうときのために予備の原稿を常備しておけばよいのだが、それができないのが我が悲しき性…。「俳句」(2013年8月号)所載。(清水哲男)』(解説より)。今回は「食前食後」についてのお話。

画像は食前酒です、以前こんな話を聞きました。ペンション(南仏)のオーナー曰く「(レストランなど)三三五五集まるので、早く来られた方は食前酒を召し上がってもらいます。皆が集まったらテーブルへ」・・食前酒のひとつの意味は「皆が揃うのを待つこと」もあるようです。ちなみに薬を飲む時の「食前・食後・食間」とは?

食前:食事開始(食べ始め)の20~30分前で『食前とは、食事の20〜30分前のことです。食べ物や胃酸の影響を受けたくない薬や、糖尿病の際に食事で高くなる血糖値を下げるための薬などは、食前に飲むことが多くなります。また、胃の調子を整える食欲増進剤や、食べたあとの吐き気を事前に抑える薬などは食前に飲むと効果的です』(引用元)。食後:食べ終わって20~30分以内で『食事が終わって20〜30分後までのことです。食事の後は胃の中に食べたものがあるので、胃への刺激が少なくなります。食後の薬は飲み薬の中で最も多いタイプです。主に食べ物と一緒のほうが吸収が良くなる薬や、空腹時に飲むと胃を荒らす薬などは食後に飲みます』(引用元)。食間:しょっかんとは『食間とは、食事の最中だと思われている方も多いようですが、食事と食事の間という意味で、食事を終えてから約2時間後が目安です。空腹の状態で飲むと吸収が良い薬や、胃の粘膜を保護するための薬などは食間に飲みます』(引用元)。

これは食後酒。さて少々我田引水ですが「歯磨きは食前それとも食後?」と聞かれたら、皆さんはどのように答えますか?「もちろん食後でしょう」と聞こえてきそうです。『食後酒(しょくごしゅ)とは、食事の後に余韻を楽しむために飲むアルコール飲料の総称。ディジェスティフdigestif)とも言う』(引用元)。食事の余韻に浸りながらの食後酒、おしゃべり・・の最中に「歯を磨きなさい」なんていわれたら興醒めします。

こんな考え方はいかが?料理が盛られる前の皿はもちろんキレイです。ピッカピカのはずです。前客の食べた後の汚れが残っていようものなら・・。では、ご自分の口の中は?歯は?食事前には隅々までキレイですか、歯はピッカピカですか。おそらく答えは「いいえ」でしょう。この場合は食事前に歯を丁寧に磨くほうが良いのではないでしょうか。

ご存じ口腔内のプラーク、歯の汚れは細菌です。プラークが少ないほど、歯を溶かす(ムシ歯を作る)ムシ歯菌も少ないのです。すなわち食前に歯がキレイなほど、酸生産量も少なくなります。残念ながらゼロにはできませんが、ムシ歯菌が少ないほど、ムシ歯になるリスクは減るのです。

そこで提案。食後は「水うがい」で歯の素洗い、食間もしくは食前にじっくり歯の汚れを落とす。もちろんお休み前もしっかり磨く・・就寝中は口の活動(おしゃべり・食べるなど)がほぼ無いので、口腔内の菌増殖が増えますゆえ「寝る前の歯磨き」は有効です。食事前に舌でご自分の歯を舐めてみて「ヌルッと」した方は食前磨き、「ツルッと」の方は食後食間磨きでも宜しいかと。ご自愛の程ご歯愛の程。8720

BBTime 472 Wマスク

BBTime 472 Wマスク
「涼風をいひ秋風をいふ頃ぞ」矢島渚男

句の解説は『暦にしたがえば、いまごろの風は秋風。しかし、実感的にはまだ夏だから涼風(夏の季語)というほうが似つかわしい。さあ、どちらにしようか。この時季の俳人は困るのでしょうね。そんな心中をそのまま句にしてしまったというところでしょうか。話は変わりますが、何年か前に、春の選抜高校野球でマスコミが「さわやか甲子園」というのは間違いだと、本気で怒っていた俳人がいました。なぜなら「さわやか」は秋の季語だからというのですが……。どんなものですかねえ。『木蘭』所収。(清水哲男)』(解説より)。「爽やか」が秋の季語だという事を初めて知りました。本当に暑い、異常な程の暑い日々ですが、早朝の空気にわずかですが「秋」を感じるようになりました。今回は、口の外のマスク+口の中のマスク=W(ダブル)マスクについて。

雑誌「プレジデント 」の七月号(6/12発売)に「病気にならない生き方10」との記事を見つけました。6/12発売時点では「新型コロナウイルスの第2波襲来が確実視されている。そこで、生活習慣の改善で免疫力を高める方法を紹介する」とのサブタイトル・・まさに今(8/24)第2波の真っ只中。今からでもできることから是非、では早速10の方法とは・・以下抜粋引用。
1「マスク」手洗いとの併用でインフル最大51%減。ウイルスの感染経路は三つ「空気感染」「接触感染」「飛沫感染」・・通常はこの中の二つ、接触感染と飛沫感染が主流で、この二つを遮断することが重要である。「接触感染」予防に手洗い、「飛沫感染」軽減にマスク。   2「水うがい」水道水で1日3回 風邪の発症率36%減。たとえウイルスが体内に入っても、上気道の粘膜細胞に吸着して感染症状を引き起こさせないことが肝要であるため、うがいはしたほうがいい・・普通の水道水で1日3回のうがいを。   3「緑茶」含まれるカテキンでインフル発症率87%減。緑茶に含まれるカテキンには、急性感染症に対して抗ウイルス作用を示す多くの報告がある。細胞実験では緑茶に含まれるカテキンが、ウイルスの増殖を抑制している。緑茶を生活に取り入れるのは感染のリスク低下になるはずだ。

4「歯磨き」口腔内の清潔保ちインフル発症率90%減。口腔内環境が悪い人は、免疫物質IgA(侵入した病原体を無力化するように働く)が少ない。   5「睡眠」5時間以下だと風邪発症4・5倍に。睡眠時間のみならず「睡眠の質」も関係するが、せめて睡眠時間は5時間を切らないように。   6「飲酒」毎日お酒を飲むと風邪のリスク54%低下。ストレス軽減や血流改善で免疫力を高める側面があるのかもしれない。特に上気道を温めることもいい。しかし、飲みすぎは免疫力を確実に低下させる。

7「日光浴」ビタミンD補給でインフル発症50%減。近年、ビタミンDは「万病に効果アリ」と、みられるようになってきた。しっかり日光を浴びれば、1日で75マイクログラムものビタミンDを作れるといわれています。日光浴のみで推奨濃度の九割に達するという説もある。1日に20分は日の光を浴びたい。   8「血圧安定」生活習慣病を治し免疫細胞を活性化。免疫細胞が効率的に働けるように糖尿病の管理、血圧の安定といった、生活習慣病を放置しないことが感染しても重症化させない大きな鍵になる。   9「体型維持」太りすぎも痩せすぎも重症化・死亡リスク増。その人の生活習慣の”積み重ね”が大きく表れるのが、体形。BMI(ビーエムアイ:体重kg÷身長m÷身長m)が23~27の間が最も死亡リスクが低かった。   10「体内時計」リズムがズレると免疫力60%ダウン。体内時計は体のそれぞれの生理機能が、最も働くべき時刻にピークを迎えるように整えてくれます。このリズムが乱れると病を発症し、免疫力が低下することがわかっている。

以上、十の方法について駆け足でご紹介しましたが、口に関することが二つ「水うがい」「歯磨き」入っています。口腔内(口の中)を清潔に保つことはまさに「口の中のマスク」。歯をきちんと磨き、水うがいの励行で口の中にもマスク。外出時の着用で「ダブルマスク」です。ご自愛の程ご歯愛の程。8390


BBTime 471 エアロゾル

BBTime 471 エアロゾル
「歯痛に柚子当てて長征の夜と言いたし」原子公平

先ずは句の解説を・・『夜の「歯痛」は心細い。歯科医に診てもらうためには明日まで待たなければならないし、そのことを思うだけでも、痛みが増してくるようである。とりあえず、手元にあった冷たい「柚子(ゆず)」を頬に当ててみるが、ちょっと眠れそうにないほどの痛みになってきた。とにかく、このまま今夜は我慢するしかないだろう。そんなときに、人は今の自分の辛さよりももっと辛かったであろう人のことを脳裏に描き、「それに比べれば、たいしたことではない」と、自分を説得したがるもののようだ。』(解説より前半)。句では「柚子」ですが、古来(江戸時代)、歯痛の時に人々が神頼みしたのは「梨」でした。先日『WHO「歯科定期検診は先送りを、エアロゾル感染めぐり研究必要」』の記事を目にしました。今回はコロナ禍における歯科受診について。

記事は・・『世界保健機関(WHO)は11日、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)が抑制されている地域で歯科医院が再開していることに伴い、空気中を漂う微粒子「エアロゾル」を介した新型コロナ感染から患者やスタッフを守る必要があるとの見解を示した』。現時点で確たる証拠はないものの・・『WHOは、エアロゾル発生の可能性がある処置についてより多くの研究が必要と指摘。現時点で歯科医院の治療椅子から新型コロナに感染したというデータはないが、エアロゾルに関する研究対象には口内に風や水をかけるスリーウェイシリンジや歯の表面をきれいにする超音波洗浄装置、研磨などが含まれるとした』(記事より)とのこと。

エアロゾルとは『粉塵や煙、ミスト、大気汚染物質などといった空気中に浮遊している粒子のことで、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大の原因の1つでもあるとされている』(引用元)。確かに歯科では歯の切削時には水で冷却しますし、スリーウエイシリンジ(水・空気・水+空気)を始終使いますので、リスクゼロとは申しません。定期的に来院することで得られるメリットと感染リスクを皆様が判断されるのが良いでしょう。勿論歯科医としては定期来院は必須と考えますので、来院して欲しいと思います。

画像は「戸隠神社:とがくし」。江戸時代、歯科医がいなかった頃は「戸隠様」にお願いしたとのこと。『江戸時代、歯が痛くなると口中医という現代の歯科医院のようなところで、主に抜歯をしてもらっていましたが、一般庶民には治療費が高く、通うことができなかったようです。では、どうしたのか? 所謂、加持祈祷を行ったのです。具体的には、「九頭龍大神を祀っている戸隠神社(長野県長野市)で、歯を患った者が3年間『梨』を絶って参拝すると治る」という言い伝えがあり、信仰したようです。戸隠神社に行くことができない江戸庶民は、梨の実に自分の名前と痛む歯の場所を、例えば「右上の奥から3番目」などと書いてから神社のある戸隠山の方角を向いてお祈りし、その後、梨の実を川へ流したと言われています』(引用元)。落語「佃祭」にもこの話が出てきます。歯医者のいる現代、痛くなったら歯科へ。願わくは痛くなる前に歯医者へ。皆様ご自愛の程ご歯愛の程。6900



BBTime 469 月一本?

BBTime 469 月一本?
「一本の前歯がぬけて入学す」上野 泰

「一本」で検索したら冒頭の句が出てきました。季語は「入学」で春、ご容赦を。画像は「なだのきいっぽん」一本繋がりです、これもご容赦。今回は「月に一本歯ブラシ交換」についての話を一本。

先日、BBTime467「マユツバ話」をアップしましたが、この話もマユツバです。歯ブラシ大手メーカーはこぞって「月一本の交換」を推奨しています。ライオンは『効率よく歯垢を除去するために、「1か月に一度」歯ブラシを交換することをおすすめします』。サンスターは『見た目はOKでも、1か月たったら取替えたい』。花王は『毛先が摩耗・変形すると本来の性能を発揮できませんので、毛が広がっていなくても、1ヶ月くらいで交換するのがおすすめです』・・・これら「月一本交換」は適切なのでしょうか?うがった見方ですけど、歯ブラシメーカーの消費拡大策が見え隠れしている気がします。

ライオンの記事には『「毛先が開いた歯ブラシ」と「新しい歯ブラシ」の汚れ落ちの違いを調べた臨床研究では、「毛先が開いた歯ブラシ」は「新しい歯ブラシ」と比べて約4割ダウンすることが分かりました』・・これは正しいと思いますが「毛先が開く=ひと月」には疑問です。理由1)歯ブラシの毛はそれほど弱い材料ではない。理由2)ひと月で毛先が開くような使い方は「力の入れ過ぎ」であって、適正な磨き方ではない・・・つまり、ひと月しか持たない使い方をしている人は、歯ブラシを毎月交換することよりも、磨き方を変える必要があるのです。

サンスターの記事に『歯ブラシはお口の中へ入れるものなので、清潔な状態を保つことが大切です。歯ブラシのお手入れは水で洗って乾かしているだけのものですから、遅くても1ヶ月に1本のペースで交換することをおすすめしています』とあります。また雑誌「サライ」には『1週間使うと4,000万個の細菌がある場合も…歯ブラシの交換頻度はどのくらい?』との見出しの記事が載っています。記事には『お子さま(平均年齢8歳)の歯ブラシにはなんと15万~100万個、最大で371万個もの細菌が付着していたという結果が出ています。 また、2015年に行った検査で、7日間使用した大人(40代男性)の歯ブラシには驚くことに4,000万個もの細菌が付着していたという結果も出ています。 病院の便器に付着している細菌の数は約500個、学校の和式便器に付着している細菌の数は約33万個と言われているので、歯ブラシがどれだけ不衛生な状態か… 想像するだけでも身震いしますね… とは言っても、毎日使い捨てにする訳にもいかないので、しっかりと除菌した方が安心できますようね』(記事より抜粋)。とショッキングな内容も出ていますが、よーく考えてください。皆さまご存じとは思いますが、歯の汚れ(プラーク)は細菌のかたまりです。文献には『歯頚部や歯の隣接面などには過剰のプラークが形成され成熟プラークとなり、1g中には約10の10乗~11乗個の細菌が存在する』(こちら参照)とあります。10の10乗個とは百億個です。1gに百億個です!口全体では億の単位ではなく兆でしょう。サライ記事にはトイレ(便器)よりも口の方が細菌が多いとも出ています。当たり前です、もともと便の細菌数の方が口の中より少ないのです。

汚い歯ブラシを使いましょうとは言いません。使用後に洗って乾燥させれば、口の中の細菌数にクラブレバ・・。仮に歯ブラシの菌数が4000万個としても、汚れ(プラーク)1グラムだけで百億個ですよ。比較できないくらい、口の中の細菌数は多いのです。もちろん口の中の細菌全てがバイキンではありませんけど。

結論「歯ブラシの交換時期は「毛先の状態」で判断する。使用後は洗って乾燥させる。ひと月で毛先が開く人は「磨き圧」が強すぎるので磨き方を変える」。
前回「エシカル」について書きましたが、いま日本では年間四億本の歯ブラシが消費されているようです。単純計算で国民一人あたり年間四本、三ヶ月に一本の交換です。環境のことも考慮して、あなたなりに「月一本」を考えてみてください。環境問題の話は「プラ依存」にも、ご参照のほど。ではご自愛の程、ご歯愛の程。2780

BBTime 468 エシカル

BBTime 468 エシカル
「夏掛けのみづいろといふ自愛かな」能村登四郎

「夏掛け」夏用の布団で夏の季語。昨年頃から言葉「エシカル:ethical」を耳にするようになりました。意味は「倫理の、道徳上の。同義にかなった、道徳的な。(薬が)医者の処方を要する」などです。今回、エシカルについて。

日常での「エシカル」は『「倫理的」「道徳上」という意味の形容詞である。つまり、「法律などの縛りがなくても、みんなが正しい、公平だ、と思っていること」を示す。近年は、英語圏を中心に倫理的活動を「エシカル(ethical)○○○○」と表現し、エシカル「倫理的=環境保全や社会貢献」という意味合いが強くなっている』(Wikipedia)とあり、具体例として「エシカル消費・エシカルファッション・エシカルジュエリー・エシカルビューティ」などがあるようです。これらに倣って言うならば「エシカル(歯科)医療」・・つくづく考えます。

エシカル医療:今現在、このような言葉は使われていませんので定義はできませんが具体例を上げるなら1)治療前から「痛いのは嫌なので麻酔してください」ーこのような方(患者)には「痛みを感じるようであれば、麻酔しますけど」と皮肉めいた口調で答えます。2)「抗生物質をください」ー(症例・症状によって)不要な場合は「あなたの場合は抗生物質は不要です」と伝え処方しません。3)歯磨きが極めて不充分な方には「もったいない!あなたの歯ですよ、ひとたびムシ歯になると元には戻りません」等々、やんわりとイヤミを言います。4)「また悪くなったら来ます」との患者さんにはー「悪くなる前に(予防として)来られた方が良いですよ」と少々語気強く伝えます。5)治療すべき歯があるのに「部活や仕事で時間取れないから(来院できません)」の方にはー「あなたの体とどちらが大切(優先すべき)ですか」と婉曲的に伝えます。6)鹿児島弁で言うなら「口の中がチンガラ(滅茶苦茶・崩壊している)」の方にはー「これからの食生活(人生)どうしますか?」との問いを投げかけます・・等々。

このようなことを歯科医師が言うと「俺の歯だから勝手じゃん」という考えをお持ちの方も当然いらっしゃいますし、「歯科医療と言えどもサービス(客商売・人気商売)だろ」「患者の希望通りにしろよ」と言わんばかりの表情をされる方もおられます。それら患者さんの反応の受け取り方は歯科医師それぞれでしょうが、小生は「あなたにも責任があるのですよ」と言いたくなります(声に出して言いませんが、心の声で言います)。なぜなら、ほとんどの歯科疾患「ムシ歯と歯周病」は予防可能だからです。予防することで、治療に伴い消耗消費するもの・・時間、お金、エネルギー、歯科材料、金合金、心など諸々の消耗消費が回避可能です。

「ご自愛ください」「ご自愛の程」耳慣れた表現ですが、歯科予防は「自愛」に尽きると思います。かと言って「歯科予防=自愛=歯磨き」ではありません。歯科におけるご自分でできる「自愛」には限度があります。予防のために「ご自愛」のために、もっと専門家(歯科医師・歯科衛生士)を活用してください。治療のための活用が、二の次三の次になる日が来ることを信じております。画像の記事はこちら。ご自愛の程ご歯愛の程。2270




BBTime 461「耳寄な話」もどうぞ。
食の「エシカル」記事見つけました。

BBTime 467 マユツバ話

BBTime 467 マユツバ話
「うなぎ の日うなぎ の文字が町泳ぐ」斎藤すず子

解説には『季語は「うなぎの日(土用丑の日)」で夏。ただし、当歳時記では「土用鰻」に分類。この日に鰻(うなぎ)を食べると、夏負けしないと言い伝えられる。今年は今日が土用の入りで、いきなり丑の日と重なった。したがって、この夏の土用の丑の日はもう一度ある。鰻にとっては大迷惑な暦だ。句のように、十日ほど前から、我が町にも鰻専門店はもちろんスーパーなどでも「うなぎの文字」が泳いでいる。漢字で書くと読めない人もいると思うのか、たいていの店が「うなぎ」と平仮名で宣伝している。面白いのは「うなぎ」の文字の形だ。いかにも「うなぎ」らしく見せるために、にょろにょろとした形に書かれている。なかには、実際の姿を組合わせて文字に仕立てた貼紙もあって、句の「うなぎ」表記はなるほどと思わせる。作者は、夏が好きなのだ。もうこんな季節になったのかと、町中を泳ぐ「うなぎ」に上機嫌な作者の姿がほほ笑ましい。今宵の献立は、もちろんこれで決まりである。私は丑の日だからといって鰻を食べようとは思わない性質(たち)だけれど、世の中には、こういうことに律義な人はたくさんいる』(一部抜粋)。

前回「眉唾に非ず」は唾液の話でしたが、今回はそれって本当?マユツバじゃないの?のお話。ちなみにうなぎを食べると「精がつく」は眉唾ではなさそうです。詳しくはこちら

1)歯磨きの「333運動」:眉唾っぽい
「333(さんさんさん)運動」とは「毎食後(三食後)三分以内に三分間磨きましょう」です。昭和四十年代頃によく耳にしました。これは間違い(眉唾)とは言いませんが、歯科医として積極的には薦めません。「三食後に磨く」ーこれはオススメします、ただし可能であればですが。朝食前よりは朝食後の方が、予防効果は高いものとなります。朝起きてすぐは「うがい」のみで朝食後に歯磨きがベターですが、忙しい朝ですので朝起きて歯磨きし、朝食後はうがいのみでも構いません。次の「三分以内」ーこれはどちらかというとNG(良くない)です。食事中に歯の表面は酸によってわずかですが溶けている(軟らかい)状態です。その後、唾液のもつ「緩衝作用:かんしょうさよう」によって元の状態(硬い表面)に戻されます。食後三分以内に歯の表面を磨く(歯の表面をゴシゴシする)と傷つけてしまう可能性があります。ご馳走様のあと二、三十分待って磨く方が良いでしょう。最後に「三分間磨く」ーこれは悪いことではないのですが、毎回三分間磨けないこともあるでしょうし、三分間で汚れをきれいに落とすことは無理です。夜だけでも(日に一回は)三分と言わずに、五分から十分は磨いて欲しいところです。

2)歯磨き粉は必須である:個人的意見ですが眉唾です
不要とは言いませんが必須ではありません。歯磨き粉の有効成分は大まかに「研磨剤」と「フッ化物」です。ただし研磨剤は汚れを落とすのみならず歯の表面を傷つける可能性がありますので要注意。歯磨き粉で歯の表面の頑固な汚れ「バイオフィルム」を除去(溶かす)することはできません。バイオフィルム除去はあくまでも物理的除去(ゴシゴシ)のみです。唾液磨き(唾液で磨く)を推奨します。「ハミガキ」「鰯の頭も!」「ソントク」にも書いています、ご参照の程。

3)ムシ歯はできるものである:嘘です
ムシ歯の原因ははっきりしています。歯周病の原因もはっきりしています。子供はムシ歯になるものだ、歳を重ねると歯周病になるのは仕方がないーそんなことはありません。ムシ歯はほぼ100%避けることができます。歯茎の変化(退縮)は加齢によるものもありますが、加齢による変化と歯周病は別です。

4)毎日磨いている:眉唾です(疑わしい)
毎日磨いているのに「なぜムシ歯ができるのだろう?」と思われたことはありませんか。もちろん磨いておられることは否定しませんが、毎日磨いていることと、毎日磨けていること(キレイになった)は別なんです。ご自分で隅々までキレイになったかどうかを知ることはほぼ不可能です。歯科診療所で第三者による定期的清掃をオススメします。

5)治療後金属になるのはしょうがない:眉唾です。
ムシ歯を指摘され治療を受ける前に(歯科医が歯を削る前に)最終的に何が入るかを確認されることを薦めます。「白=樹脂」なのか「銀色=パラジウム合金」なのかを聞いてください。もし「金属です」の答えなら「白いのはできませんか?」と聞かれることを薦めます。また「樹脂(白)でも金属でも可能です」なら、メリットデメリットまで聞いてください。現在、多くの部位で白い樹脂による保険内治療が可能です。

6)キシリトールはムシ歯予防効果あり:眉唾ではないけど
ご存じとは思いますがキシリトールにはムシ歯予防効果があります。ただし、毎日結構な量のキシリトールを摂取(ガムを噛む)し、三ヶ月以上続ける必要があります。思い出したように「キシリトールガム」を噛んでも効果はほぼゼロです。詳しくはこちら

7)ムシ歯になってから歯医者に行けば良い:ダメです
ムシ歯という病気は、数ある中でほぼ完全に予防可能な病気です。唯一と言っても良いでしょう。ムシ歯になってから歯科に行って治療を受けても、ムシ歯以前の機能回復は可能ですが、元の歯には戻りません。多くのムシ歯治療は代替医療(別のものに置き換える)でしかないのです。

今年は土用の丑が二回、本日(7/21)と来月二日(日曜)二の丑です。美味しい精のつく鰻料理も健康な歯があっての物種です。鰻料理をブログでお届けすることはできませんので、代わりに落語「鰻の幇間(たいこ)」をお召し上がりください。小生の好きな可楽師匠の味付けで。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。1030

BBTime 466 眉唾に非ず

BBTime 466 眉唾に非ず
「美しき緑はしれり夏料理」星野立子

夏が来れば思い出す♫句です。同時に緑の夏料理って?と考えているうちに夏が終わります。タイトルの「眉唾:まゆつば」とはご存じの通り「正しい(本物)かどうか疑わしいこと」です。眉に唾をつけて見れば、狐や狸のいたずらに騙されない、という俗信に由来するとのこと。今回、眉唾物ではない「つば」のお話。

前回「意味不明」で学校検診に触れましたが、ムシ歯の部位は似通っています。成人の方にも同じような傾向があります。言わばムシ歯の好発部位。まずは上の前歯の隣り合う部位(隣接面):この部位は一番目立つ(他人の目から見える)部位でもありますので、モッタイナイ!ここはブラシだけでは不十分、フロス(糸)が必須です。次に見かけるのが上の一番奥の奥歯の奥の面、特にほっぺた側です:この部位は歯ブラシが届きにくいのでムシ歯好発部位。コツがあります。口を大きく開けるとほっぺた側の筋肉が邪魔して歯ブラシが届きません(奥に入らない)ので、口を開けてブラシを入れたら、歯ブラシをくわえるように口を閉じてください。すると筋肉が緩んで空間が出来ますので、歯ブラシが奥の奥まで届きます。次のイラスト見ていただくと・・ムシ歯好発部位の理由がわかります。

そうなんです。日常生活で唾液によって洗われる部位はムシ歯になりにくく、唾液の届きにくい(唾液によって潤わない)部位はムシ歯になりやすいのです。一番唾液によって潤っている(濡れている)部位は、下の前歯のベロ側です。その部位には「舌下小丘:ぜっかしょうきゅう」があり、そこから唾液が出るからです。ただし、常に唾液で洗われることによって「歯石」が付きやすい場所でもあります。

本来ヒトはいくつかの歯の自浄作用をもっています。野菜をガシガシ食べることで「歯磨き」の効果がありますし、「唾液」によって洗われることで唾液のもつ免疫力も加味され、ムシ歯予防を自分自身で行います。にも関わらずムシ歯を作ってしまうのは理由は明白!食生活の激変・砂糖の過剰摂取などが主因です。

あなたの唾は絶大な「歯を守る力」を持っています・・眉唾ではありません!唾液で歯を磨くことは、あなたにとって非常に有益です。母乳と同じような有益性です。唾液磨きであれば、いつでもどこでも(歯ブラシさえあれば)磨ける、まったくの無害どころか免疫力あり、もちろん無料。これでも未だあなたは「歯磨き粉」を使いますか?・・唾液磨きだけで落ち着かない方は、最後にほんの少し使う程度で十分です。

残存歯(残っている歯)が少ない多くの方が残している歯は下の前歯です。始終唾液によって守られているのが下の前歯です。くどいようですが、唾液の守る力は絶大なんです。しかし唾液のもつ免疫力はデリケートですので、人工的化学物質である歯磨き粉が口に入ると、唾液の免疫力は低下します。もったいない話です。オススメしたい「唾の使い方」は、眉に塗るのではなく歯磨きに使ってください。
皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。8140


追加:朝日新聞「折々のことば」に見つけました。『なみだは にんげんのつくることのできる いちばん小さな 海です』・・・に倣って
「だえきは にんげんのつくることのできる いちばん小さな 泉です」

おまけ:次のような表現もあるんですね、やはり「泉」!
This blueberry infused chocolate cake has our mouths watering! 😋
「口の中が唾液で一杯」の意味でしょうか。
Instagram「kellogggarden」より

BBTime 465 意味不明

BBTime 465 意味不明
「はつきりしない人ね茄子投げるわよ」川上弘美

これは俳句なのか、痴話喧嘩なのかはっきりしません(笑)。解説には『いずれにせよ「はつきりしない人」は、男女を問わずいつの世にもいるのだ。私たちの周囲だけでなく、企業や団体・・・・いや、政治の場でも「はつきりしない/させない」人や事、あるいは「玉虫色のもろもろ」はあふれかえっている。それらには鉄塊か岩石でも投げつけなくてはなるまい。この句で投げられるのは、あの柔らかくて愛しい弾力をもった茄子だから、むしろ愛敬が感じられる。ジャガイモやトマトとは違う。ヒステリックな表情から一転して、茄子がユーモラスな味わいを醸し出している。口調はきついが、カラリとしていて陰険ではない。この人は「投げるわよ」と恐い顔をして威嚇しただけで、実際には投げなかったかもしれないし、投げつけたとしても、すぐにニタリとしてベロでも出したかもしれない。』(解説より抜粋)。今回は近頃よく耳にする「積極的検査」について。

先日(7/11)も報道に『東京都で新型コロナウイルスの新たな感染者が増えていることについて、菅官房長官は積極的にPCR検査の受診を促し、陽性者を探し出している攻めの姿勢の結果だと指摘したうえで、感染拡大防止と社会経済活動の両立に取り組んでいく考えを示しました』(引用元)とあります。小生にとってまったくもって意味不明!医学的には、積極的に検査しても消極的に検査しても陰性は陰性、陽性は陽性です。積極的に検査した結果、陽性者数が増えただけで特に心配する必要はない、とでも言いたげに聞こえます。経済を止めたくないのはわかりますが、筋が違います。ロジック(論理・道筋)がごっちゃになっており、明らかに誤魔化しです。「積極的に検査」「攻めの姿勢」など、詭弁にすぎません。

さてこの時期、学校歯科検診結果を携えて子供さんが来院されます。学校の歯科検診では「疑わしきはムシ歯」と診断します。理由はただひとつ「見落とし」を避けたいからです。学校は歯科診療所と異なり、照明や設備などにおいて劣る可能性は否めませんので「疑わしきはムシ歯」と判断します。このため積極的検診で「ムシ歯あり」であっても臨床的には「(要治療の)ムシ歯なし」となる場合があるのです。

小さくとも明らかにムシ歯があった時、「削って詰める」場合と「削らずに様子を見る(経過観察)」場合があります。小生の判断基準はその方の歯の清掃状態です。清掃状態良好ならば経過観察し、不良ならば小さくとも治療を考えます。歯科医院で「削って詰めましょう」と言われた場合に、あなた自身(患者さん)も鏡で確認し、一言「様子見るのは不適切ですか?」と聞いてください。患者さんが子供さんの場合、親御さんが「経過観察は不適切ですか?」と歯科医師に聞いてください。歯は削ったら元に戻りませんので、積極的検診で「ムシ歯陽性」であってもすぐに削らずに「定期観察」「長期観察」の方が良い場合もあります。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。7910