BBTime 665 はて?九月

「空っぽの人生しかし名月です」榎戸満州子

2024/09/14投稿
 今年の十五夜は9/17、満月は翌18日。まずは句の解説『今宵(2011.9.12)は仲秋の名月。名月の句は数えきれないほどあるけれど、この句はかなり異色だ。作者はべつに名月を待ちかねていたわけではないし、愛でようとしているわけでもないからである。しかも「空っぽの人生」とは言っているが、作者が自分の人生を深く掘り下げて得た結論でもなさそうで、せいぜいがその場の自虐的な感想程度にしか写らない。そう私が受け取るのは、たぶん「しかし」という接続詞が置かれているせいだろう。この「しかし」はほとんど「ともあれ、とまれ」と同義的に使われていて、前段を否定しているのではなく、それを容認する姿勢を残しつつ、後段に想いを移すという具合に機能している。つまり「人生」と「名月」とは無関係と認識しつつ、それこそ「しかし」、作者は無関係であることに感慨を抱いてしまっている。感慨無き感慨と言ってもよさそうな虚無的な匂いのする心の動きだ。こう読めば、作者の人生ばかりではなく誰の人生もまた、日月のめぐりのなかで生起しながら、やがては日月のめぐりに置き去りにされていくという思いにとらわれる。『現代俳句歳時記・秋』(2004・学習研究社)所載。(清水哲男)』(引用元)。前回の「はて?違和感」に続いて今回も「はて?」のお話を二つ

 例年九月になるとBBTimeで曲「September:セプテンバ」を紹介しておりました。ある時ある人から「それって12月の歌だよ」。「はて?」と確認したところ、そうでした!歌詞では「今は12月、9/21のことを覚えているだろう」。そうならばタイトルを「セプテンバ:九月」にするなよな!と思います。歌詞の和訳はこちらを。

 先日、小生自身の口のメンテナンス(月に一回)での会話。担当歯科衛生士「先週、スケーリング(歯石取り)の研修でした」「あと、器具のシャープニングも」。シャープニングとは歯石を取るハンドインスツルメント(手用器具)の刃を研ぐことです。聞きながら思いました「はて?」

数ヶ月ごとのメンテナンスで、歯の根っこをガリガリと歯石除去受けられた方も多いでしょう。歯石除去は必要です!小生の「はて?」は、歯石がつく前にメンテしてあげたほうがベターではないの?です。歯石除去とは、歯の根っこ、詳しくは根を覆うセメント質表面にしっかり付いた(歯ブラシでは除去できない)歯石を、器具を使って(おそらく)セメント質表面もいくらか削り取るのです。セメント質の下は象牙質(ぞうげしつ)で、歯髄(しずい:歯の中の神経)からの細い神経が通っています。歯石除去後に「歯がしみる、スースーする」などはこれも原因でしょう。極端な言い方をすれば、歯石除去(ガリガリ)ごとに根っこが細くなるのです。歯石除去は必要です!ならば歯石が付く前に歯垢の段階で除去してあげる方が良いのでは。

ネットを見ると『歯垢(プラーク)が残ったまま放置すると、個人差もありますが2~3日で石灰化し始め、やがて歯石へと変化して除去しにくくなります』(引用元)。残ったプラークが「数日で石灰化し始める」とは、歯石が数日で付くということではありません。小生の経験では毎月(月に一回)メンテナンスに通えば「ガリガリ」はほとんど不要です。1)患者さんへ:数ヶ月・半年ごとにメンテナンスに通っている方は是非「月に一回」通ってください。2)衛生士の方へ:担当の来院者(患者さん)に除去すべき歯石を見つけたら(もちろん除去されると思いますが)メンテナンス間隔についてもプロとしてアドバイスしてあげてください(ガリガリが極力不要な間隔)。保険診療の絡みで「三ヶ月に一回でいいですよ(毎月は無理です)」と言われたら、粘って「是非月一回」を希望してください。どうしても歯医者が「ハイ」と言わなければ思い切って変えましょう!

では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。もちろん曲は「セプテンバ」!

BBTime 661 耕不尽

「夏の夜や崩て明し冷し物」松尾芭蕉

2024/07/20投稿
「耕不尽:こうふじん」耕せども尽きず。句の解説から『清少納言は「夏は、夜」がよろしいと言った。「月のころはさらなり、闇もなほ、螢の多く飛びちがひたる」。違いないが、健全な風流心にとどまっている。そこへいくと、掲句の「夏の夜」はよろしいようなよろしくないような、とにかく健全さは読み取れない。「なつのよやくずれてあけしひやしもの」と読む。句会が宴会に転じ、ずるずると飲みかつ語るうちに、夜がしらじらと明け初めてきた。その光のなかで卓上を見やれば、昨夜のせっかくの冷えた酒肴も見苦しく崩れてしまっている。みんなの顔もとろんと大儀そうで、ああ適当に切り上げておけばよかったのにと、後悔の念にかられているのである。眼目は、実際に「崩て」いるのは「冷し物」なのだが、座全体が「崩て」しまっている雰囲気を、崩れた「冷し物」に象徴させているところだ。徹夜の酒席の常であり、江戸期も現代も同じことで、最後はこの狼藉ぶりに後悔しながらのお開きとなる。蛇足ながら、旅にあった芭蕉は別室ですぐに休めたろうが、朝のまぶしい光のなかを歩いて帰宅する人もいたはずで、そんな人は一句ひねるも何もなかっただろう。私はいま、若き日に徹夜で飲んだ果ての新宿の早暁の光を思い出している。(清水哲男)』(引用元)。今回は前回「BBTime 660 届けるものは」の続きのようなお話し。

梅雨明け朝の桜島。冒頭の短冊は開業した1990年に南洲寺(鹿児島市)の当時の御住職矢野完道(やのかんどう)和尚の筆で、「あなたの仕事でもそれ以外でも、これで終わり(ゴール)ということはない」との言葉とともに頂きました。前回「届けるものは」をアップした後、この「耕不尽」が頭の中を回ってます。

訪問診療に従事するようになって「認知症」について勉強する機会が増えました。認知症にならないためにはどうすれば良いのか?認知症になるタイミングを極力遅くするにはいかにするか?認知症予防に有効なひとつは「生活を耕不尽」です。

鶴丸城跡御楼門前の蓮。冒頭の句を見てください、漢字とひらがなが交互です。読んでも見てもリズムを感じます。超有名句「菜の花や月は東に日は西に 与謝蕪村」も同じスタイル。見方を変えるだけでも「耕不尽」。訪問先で利用者の方を見て思います。まず第一に「自分の足で歩くこと」次に「口から食べること」・・この二つを死守してほしいと痛感します。逆の見方をすれば・・「しっかり歩く」「歯と口の健康を守る」。多くの方は充分でないのでは?ちょっとそこまででも車、ファストフードジャンクフード炭酸飲料等々を日々口にする。極端な言い方ですが、人並み(半数以上の人がやっていること)の生活をしていたら、認知症リスクは高まります。

7/20朝の桜島。今、盛んに「AI」関連の記事や動画を目にします。ネットが普及し始めた時以上の変革が始まっていると言われます。「AI」をいかに使うかが「人」として問われます。茶道で「一生稽古」という言葉をよく聞きます。「一生稽古」「生涯現役」「耕不尽」、人生百年を生ききる秘訣は、好奇心を失わず、日々キョロキョロし、歩き回って、美味しく食べることのような気がします。最後にひとつ「耕不尽」は字の通りまずは「耕す」です。耕さないと「不尽」はありません。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 659 ハミガキ三話

「明日は又明日の日程夕蛙」高野素十

2024/06/26投稿
今朝(6/26)、特急きりしま車窓からのお姿(桜島)。句の解説『とにもかくにも今日の仕事を消化して、作者はしばし夕蛙の鳴き声に耳を傾けている。ホッとしている。明日もまた忙しいが、明日は明日のこととして、今日はもう仕事のことは考えたくないという心境だ。このように、昔は蛙たちが一日の終りを告げたものだが、いまの都会では何者も何も告げてはくれない。もっと言えば、一日の終りなどは無くなってしまっている。だから、明日の日程のために眠ることさえできない人も増えてきた。過労死が起きるのもむべなるかな。こんな世の中を愚かにも必死につくってきたのは、しかし私たちなのである。『雪片』所収。(清水哲男)』(引用元)。前回から三週間ほど空きましたが、その間、オレンジページに投稿した文章(三話)のご紹介です。

第一話:歯ブラシについて「クラプロックスの歯ブラシ」
こちらへどうぞ!

第二話:歯間ブラシなどの補助具について「歯間ブラシやフロス」
こちらへどうぞ!

第三話:歯磨き粉(ペースト)について
こちらへどうぞ!
ちなみにオレンジページ「カルノブログ」も是非どうぞ!
鹿児島は来週来月に入ると梅雨明けしそうです。
皆様、ご自愛の程ご歯愛の程

BBTime 652 酸性雨

「花の雨やがて雨音たてにけり」成瀬櫻桃子

2024/04/08投稿
この日(画像)も降ったり止んだりでした。句の解説から『季語は「花の雨」で春、「花」の項に分類。桜の花どきに降る冷え冷えとした雨のこと。「花散らしの雨」と言ったりする。桜の花に直接降る雨としてもよいし、べつに桜が眼前に無くてもよい。掲句は、後者の雨だろう。室内にいて、雨の降りはじめたことに気づいた。ちょうど桜の咲いている時期だと、まず気になるのは雨のせいで大量に散ってしまうのではないかということだ。もとよりそんなに深刻な問題ではないけれど、できれば小雨程度ですんでほしいと願うのが人情である。だが、願いもむなしく、「やがて雨音たて」て降りはじめた。ああ、これでもう今年の花もおしまいか……。と、軽い失望感が胸中をよぎったのだ。この感情もまた、春ならではの心持ちと言える。ところで、今日は全国的に雨模様だ。文字どおりに「花散らしの雨」となってしまう地方も多いだろう。そんななかで「雨に重き花のいのちを保ちけり」(八幡城太郎)と、けなげな花を目にできたら嬉しいだろうな。現代俳句文庫19『成瀬櫻桃子句集』(1994・ふらんす堂)所収。(清水哲男)』(引用元)。鹿児島市は雨がちで、桜は花の雨に濡れております。久しぶりに「酸性雨」について。

この傘マークをご存じでしょうか。実は数十年前には日本でも結構目にしたマークなんです。拙ブログ「ハナ通信」1993年7月号に次のように書いております。

「口の中の酸性雨」  エコロジー問題のひとつに酸性雨があります。強い酸性の雨水のため、森林、草花から、大理石の宮殿にいたるまでダメージをうけているというものです。ところで口の中の酸性雨のことを御存じでしょうか。砂糖を口に入れると、歯の表面のカルシウムが溶ける酸性度にまで下がり、食べ終わっても十数分間は続いていて歯の表面は少し溶けます(ミニむし歯)。このミニむし歯は唾液中のカルシウムで自然修復されますが、これには数時間かかります。ミニむし歯ができる回数が増えて修復が追いつかないと、やがて目に見えるムシ歯になります。そこで傘マークの登場です。食べてもムシ歯をつくりにくい食品にこの傘マークがついています。まだ日本には導入されてはいませんが、近いうちに目にすることと思います。口に中の酸性雨にご注意を。(引用元はこちら、一部修正)

酸性雨に関してはこちらを。その昔二十年程前、研修でスイスチューリヒに行った時のこと。駅のキオスクに並ぶガム、キャンデーなどの殆どにマークが付いていました。さすがスイスと思っていたら更なる驚き!なんとカフェでコーヒーについてきた砂糖(のようなもの)にもマークが付いておりました。日本のように一部だけがマーク付きでは意味がないんです(薄いんです)。

もちろん「トゥースフレンドリー」活動には賛成です。ただし甘いもの・スイーツの力も評価します。日本人の食において「砂糖抜き」は不可能、これまた「甘い力」として書いておりました。『まさしく「発見」であった。卵焼きにも焼肉のタレにも砂糖は入っている。ケーキやジュースだけではない、しかもムシ歯菌にとっては卵焼きもケーキも同じ。砂糖の摂取量を減らすことはできても、ゼロにすることは無理である。細菌すなわち汚れにおいても同様で、磨けば予防できると信じていた。磨けば予防可能、これは事実。しかし完璧に磨くことはできないのが現実。フロスや歯間ブラシを併用しても、歯の汚れを自力のみで完璧に取り去ることは不可能に近い。左手の汚れは、目で見て右手で落とすことができ、落ちたか否かを確認できる。ところが口の中はさにあらず。汚れている箇所を確認しないまま闇雲に磨き、汚れが落ちたか否かを確認することもできない。日常生活で不可能なことを、あたかも可能であるかのように説き、時にムシ歯をつくったのは自業自得であるかのように説明してきたことを心密かに恥じた。「甘いものを食べ過ぎず歯を磨けばムシ歯にならない」は、実生活においては正しくないのである。』(一部抜粋、引用元)。

最後に「地球上の酸性雨」はどうなったの。検索してみると・・記事を見つけました。「いま、酸性雨はどうなっているの?」2019年の記事、「酸性雨、コロナ後ph改善傾向に・・」2023年の記事、是非お目通しください。今回「ハナ通信」を読み返して思いました。口の中に酸性雨は降りません。ムシ歯菌と砂糖によって歯の表面が長時間酸性に傾くというのが正しい表現です。老婆心ながら、物理的に歯の表面の汚れを除去する(歯磨き)ことがムシ歯予防の基本中の基本です。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 647 拙を守る

「木瓜咲くや漱石拙を守るべく」夏目漱石

2024/02/10投稿 2/11追加 2/14追加 2/17動画追加
鹿児島には春がそこまで来ております。句の解説『花そのものではなく、木瓜(ぼけ)という語感に着目した句だ。「拙を守る」とはへんてこな意志と思われるかもしれないが、漱石のような才気横溢した人にとっては、おのが才気のままに流れていくことは、たぶん怖いことだったのだろう。才気には、知らず知らずのうちに現実から遊離してしまうという落し穴がある。小説家にしてみれば、この穴がいちばん恐ろしい。だから、どうしても「拙を守る」強固な意志を持ちつづける必要があった。「世間には拙を守るという人がある。この人が来世生れ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい」(『草枕』)。そして漱石ならずとも、現代人の多くはいま木瓜になるべきときかもしれない。シャープという名の小賢しさが一掃されたら、どんなに気持ちがよいことか。私が俳句を好むのも、俳人には「拙を守る」人がたくさんいるからである。とは、それこそまことに小賢しい言い方かもしれないが……。『漱石俳句集』(岩波文庫)所収。(清水哲男)』(引用元)。先日目にした記事「認知症を引き起こすアカン習慣13選」について、ズバリ認知症予防のお話。

まず『「拙を守る」とは、漱石が好んだ言葉で、生き方の基本としたものという。世渡りが下手なことを自覚し、それをよしとし敢えて拙を曲げぬ愚直な生き方、俗世に媚びて利を追求する事を卑しとする心』(引用元)。さて記事を見ていきましょう。
「日常生活の改善で発症リスクは約4割も下げられる」・・厚生労働省の推計によると認知症の患者数は2025年に約730万人にのぼり、65才以上の5人に1人は発症するとされている。もはや誰もが認知症に罹(かか)ると思った方がよさそうだ。最近の研究によると普段の習慣が認知症を招く要因になっていることがわかってきた。認知症を予防するためにやってはいけない生活習慣について専門家が解説する(記事)。
「2020年、世界五大医学雑誌のひとつ『ランセット』に、認知症の発症にかかわる12のリスク因子が掲載されました。それは、飲酒、喫煙、糖尿病、肥満、高血圧、頭のけが、運動不足、難聴、社会的孤立、うつ病、教育歴、大気汚染です。これらに加えて、睡眠の重要性も説かれており、これらを改善することで認知症の発症リスクを約4割下げられるといわれています。いまから、認知症になりにくい生活習慣を身につけておくことが重要です」(記事)。

では「アカン習慣13選」とは。
【1】たばこを吸う・・周りの人にも悪影響が!
「中年期(40~64才)以降も喫煙を続けた人は、非喫煙者に比べてアルツハイマー型認知症になる可能性が2倍、血管性認知症は2.9倍高いとされます」。受動喫煙者もリスクが上がるので要注意。・・脳内の循環
【2】愚痴や悪口を言う・・ネガティブ思考が機能低下を招く
「どうせ自分なんて」といったネガティブな思考は認知機能の低下を招く原因になるという。「悪口や批判的な態度は自分のストレスを助長するだけでなく、家族や友人が離れ、社会的な孤立を深める原因になるのでやめましょう」。・・ネガティブ(自己否定)
【3】料理はしない!食事は外食やデリバリーが中心・・“料理”は最適な脳トレに!
コロナ禍の影響でデリバリーが習慣化したり、もともと外食中心の食生活で料理をしない人もいるようだが、料理には脳を活性化させる効果がある。「脳の前頭前野の働きが活発となり、血流が増加したという研究結果も。簡単なものでいいので料理は毎日続けましょう」。・・脳の不活性

【4】面倒なときは歯みがきをサボりがち・・ムシ歯や歯周病が認知症を招く
「歯の健康と認知症の関係は深く、歯周病菌がアルツハイマー型認知症の発症因子アミロイドβの生成・蓄積を促進させることがわかっています。さらにムシ歯菌が認知機能の低下と関係していることも明らかに」。口腔内の健康が脳の健康につながると覚えておこう。・・歯周病菌が原因
【5】休日は誰にも会わず家でダラダラ~人に会わないと脳が衰える
他者とのコミュニケーションは、脳を刺激し、脳の発達を促進させる。「家にひとりで閉じこもっていては、人と話す機会が減るだけでなく、社会的孤立にもつながります。買い物に行く、カルチャースクールに通うなど、意識的に外出する用事を作って」。・・脳の不活性、ネガティブ
【6】イヤホンをして音楽を聴く・・使用自体を控えるのが望ましい
「イヤホンやヘッドホンを使い、大きな音量で音楽を聴き続けると、音を伝える役割をしている内耳の有毛細胞が徐々に壊れて難聴になりやすくなります。使用は控えた方がよいでしょう。やむなく使う場合は、音量に気をつけ、1日1時間未満に」・・難聴のリスク

【7】欲求は悪!“三大欲求”はできるだけがまん!・・欲求は満たすことこそ大切です
「認知症予防には、ストレスをためないことが大切です。人が心の底からリラックスできる状態は実は、食欲・性欲・睡眠欲の三大欲求が満たされることで成立します。性欲を満たす方法は、異性と体を重ねるだけでなく、ペットなどの動物や子供と触れ合ったり、“推し活”などの疑似恋愛でもかまいません。“ときめくこと”で、脳が活性化されます」・・脳の不活性
【8】美を維持するため筋トレは必須!毎日、ダンベルを上げています!・・筋トレのやりすぎはかえって危険!
「認知症予防に運動は大切。筋力維持を目的とした適度な筋トレはいいですが、50代以上でムキムキになるくらいの過度な筋トレは、けがや病気のもとに。認知症予防が目的なら有酸素運動が有効です。おすすめは、週2~3回、1回30分以上のウオーキング。認知機能の低下防止だけでなく、代謝がよくなり血糖値や血圧の改善も期待できます」・・怪我、ストレス
【9】ちょっとした不調でもすぐ市販薬をのむ・・必要以上の服薬は控えた方が◎
ちょっとした不調ならば、ドラッグストアなどで手に入る薬をのんで様子をみるという人も多いが…。「市販の風邪薬、花粉症薬、胃酸の分泌を抑える薬、せき止め薬、睡眠改善薬などの中には、認知機能に影響を及ぼす成分が含まれているものも。過度な服用は控え、不調時は病院で適切な薬をもらいましょう」。・・薬は毒

【10】簡単な計算にすら電卓を使う・・計算は効果的な脳トレに
「脳は使わないとどんどん衰えてしまうので、日常生活で計算する習慣を作るのがおすすめです。たとえば、買い物をしながら合計金額を算出することで、計算力と記憶力が鍛えられます」・・脳の不活性
【11】失敗が怖い。得意なことしかやりたくない・・ささやかな“初体験”を心がけて
「年齢を重ねると何事も慣れ親しんだものを選びがちですが、新しい体験をすると脳の神経細胞が活性化。いつもと違う道を通る、新しい店に入るなど、ささやかでいいので“初体験”を心がけて」・・脳の不活性、ネガティブ
【12】いつも同じ人としか話さない・・知らない人との会話が脳の刺激に
「親しい人との会話は気楽で楽しいですが、緊張感が不足するかも。初対面やあまり話したことのない人との会話の方が、相手がどんな人か探りながら話すので脳への刺激も強くなります」・・脳の不活性、ネガティブ
【13】心配性で、何度も確認したくなる・・声を出して笑ってみよう!
「スウェーデンの大学が行った調査によると、心配性な人ほど認知症になりやすいとのこと。人は笑うと脳が活性化し、心身もリラックスします。心配性な人は、意識的に声を出して笑ってみて」(出典)。脳の不活性、ネガティブ

・中国原産。実が瓜のような形であるところから「木瓜」。「木瓜」を「もっけ」と呼んでいたのが 次第に 「もけ」→「ぼけ」になった。(「ぼっくわ」→「ぼけ」の説もある) ・花の色は赤、白、ピンクなど。枝にトゲがある場合とない場合がある(引用元)。

拙(小生)なりにまとめてみます。(2/11追加)
1)喫煙・・脳内の血液循環悪化
2)愚痴悪口・・ネガティブ・自己否定
3)料理しない・・脳の不活性
4)歯磨きサボリ・・歯周病菌による慢性炎症
5)人に会わない・・脳の不活性、ネガティブ
6)イヤホン使用・・難聴のリスク
7)我慢・・脳の不活性、ヒト本来の否定
8)筋トレやりすぎ・・怪我リスク、ストレス
9)薬の服用・・薬は毒
10)暗算しない・・脳の不活性(漢字の確認でも可)
11)失敗が怖い・・脳の不活性、ネガティブ(今さら失敗はない)
12)同じ人のみ・・脳の不活性、ネガティブ
13)心配性・・脳の不活性、ネガティブ
さて、いくつ当てはまりましたか?ご覧のように殆どが脳の不活性、言い換えれば「脳を使わない」。「廃用性萎縮:はいようせいいしゅく」使わないと使えなくなる!脳をもっともっと使いましょう、よりポジティブに、より楽しく。例「テレビ捨ててラジオ聴こう」「クルマ捨てて歩こう」さっそく今日から、いや今から!
皆様ご自愛の程ご歯愛の程。
2/14追加・・セミナー用2040年問題(詳しくはこちらを)。






BBTime 644 歩く!

「なずな咲くてくてく歩くなずな咲く」小枝恵美子

2024/01/20大寒投稿 1/21追加
 今朝の桜島(1/20)大寒なのに鹿児島は温かい朝です。昨春から本格的に歯科訪問診療に携わるようになって痛感すること・・それは「口から食べると歩く」・・これだけは死守して欲しい!まずは句の解説『なずな(漢字では「薺」と難しい字を書く)は、陰暦正月七日の七種粥に入れる七草の一つなので、単に「なずな」だと、歳時記的には「新年」に分類される。が、花が咲くのは早春から梅雨期にかけてであり、掲句の場合には「薺の花」で春。またの名を「ぺんぺん草」とも「三味線草」とも言う(こちらのほうがポピュラーか)。さて、この句の魅力は「てくてく」にある。「歩く」といえば「てくてく」など常套的な修辞でしかないが、実にこの「てくてく」の用法は素晴らしい。いたるところに咲いているなずなの道を行く気分は、別にいちいち花を愛でながらというわけでもないので、むしろ常套的な「てくてく」がふさわしいし、句の情景を生き生きとさせている。「むしろ技巧的に思われるほどだ」と句集の栞で書いた池田澄子は、さらにつづけて「そこここに咲いている『なずな』と、そのことを喜び受け止めながら歩いている人物は、春を輝く万物の細部としての代表である」と述べている。これまた素晴らしい鑑賞だ。春の道は、こんなふうに「てくてく」と歩きたい。なお「なずな」を「ぺんぺん草」「三味線草」と呼ぶのは、その実を三味線のバチに見立てたことにちなむそうだ。今日調べてみるまでは、つゆ知らなかった。『ポケット』(1999)所収。(清水哲男)』(解説より)。今回は歩くについて。

私事で恐縮です、就寝時アップルウォッチをつけて寝ます。ある時、面白いことに気がつきました。雨以外はほぼ毎朝、自転車かウオーキングで30分以上のエクササイズをします、天候などによって自転車なし歩きだけの日もあります。ちなみに一日トータル80分以上のエクササイズがノルマ。驚いたことに、エクサイズ時間は同じでも「歩き」と「自転車」では睡眠の質が違うのです(小生の場合)。

ある日の睡眠パターン。さほど自分では認識していないのですが、記録を見ると覚醒と睡眠を細かく繰り返しています。

これは途中の覚醒がありません。実はこちら「歩きだけ」の日の睡眠です。思うに、自転車よりも歩きの方が、体全体(脳を含めて)が程よく疲労するのではないか。よって自転車エクササイズ日よりも落ち着いた睡眠になるのではないか、ということ。気付いてからしばしば睡眠パターンをチェックしますが同じような結果です。
追加:小生の仮説を裏付けるような記事を見つけました、こちらです

さて、必要なので(仕方なく)車椅子を使用されることは理解できますが、施設によっては車椅子を多用する傾向があると感じます。もちろん理由は推測できます。施設利用者の転倒、転倒によるケガ骨折防止、職員側の効率等々。ある訪問先の要介護男性宅(ワンルームひとり住まい)にて・・季節が良いので散歩どうですか?と提案したところ、「看護師から外出は禁止されている」とのこと。数ヶ月後、玄関に車椅子・・車椅子がありますね。「転けると危ないので車椅子を使うように」とのこと。その方は室内ではつたえ歩き可能な方でした。ある理学療法士との会話・・リハビリに励み杖使用で歩行可能になったら、その方の家族から介護度が下がったとクレームが来た。それぞれのケースがあるので一概に「車椅子より杖歩き」とは言えません。しかしはっきり言えることは、今現在、歩ける人は自分の足で歩くことを死守してください!です。

ヒト(ホモ・サピエンス)の定義は未だはっきりしていないと聞きますが、特徴でまず挙げられることが「直立二足歩行」です。Wikipediaには「現存生物で唯一ヒトのみが直立二足歩行を行う。 二足歩行のみなら鳥類やカンガルー、一時的な二足歩行であれば一部の哺乳類が行えるが、頭から足までまっすぐ伸ばした直立姿勢を取るのはヒトのみ。」とあります。逆に言えば(極端な表現ですが)直立二足歩行しなければヒトではないとなるのでは?

施設職員の方を見ていると大変な仕事だと思います。きつい介護の仕事を減らすために可能なことは、今健康な方が「口から食べる」「自分の足で歩く」を死守していただくことだと痛感します。歩くを死守するために日頃から歩く!くどいようですが直立二足歩行可能な哺乳類が唯一「ヒト」なのです。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 640 セイタイハイリョ

円鏡のラジオやせわし年用意」小沢昭一

2023/12/17投稿 2024/01/05追加(セミナー向け)
 小生落語大好きです、まずは解説を。『年用意は、新年を迎えるためにいろいろと支度を整えること。私などは何もしないが、それでも部屋の掃除などをはじめると大変だ。本の山をあっちへやりこっちへやり掃除機をかけたところまではよかったが、その本どもが元の場所に戻らない。どう積み重ねてみても、以前より広い場所を占めてしまう。寝る場所の確保さえ覚束なくなり、本は乱雑に積み上げたほうが狭いスペースですむという真理を発見するに至る。ところで、このときの作者は何をしていたのだろうか。ふと気がつくとつけっぱなしのラジオから、円鏡のせわしない話し声が聞こえてくる。ただでさえせわしないのに……と、さすがの小沢昭一も苦笑の図。これで三平でもからんだヒには、ラジオをぶん投げたくなってしまっただろう。『変哲』所収。(清水哲男)』(引用元)。この方の声は「鈴を転がす」とは言い難いです・・今回は声帯についてのお話「声帯配慮」。ちなみに「セイタイハイリョウ:聖体拝領」はこちら

先日、NHKラジオ「健康ライフ」は声帯についてのお話。声帯をケアすることがスムーズな嚥下につながるとのこと、かいつまんで見ていきましょう。読むらじるもご参照の程。
1)声帯の役割:「声帯」は声を出すだけではなくて、食べ物や飲み物を飲み込むことと密接につながっています。良い声を維持することは生活の質の向上につながりますし、食べ物や飲み物を飲み込む機能がうまく働かなくなる「嚥下障害」、さらに命に関わる「誤嚥性肺炎」などの病気を防ぐことにもつながっています。
2)のどの役割は三つ:のどには、大きく分けて「物を飲み込む」「空気を運ぶ」「声を出す」という三つの役割があります。
3)声帯の場所:人間の特徴は音声言語コミュニケーションつまり「話をすること」。言葉を出すために大切な器官が、喉頭の中にある「声帯」でちょうど「のどぼとけ」、のどの真ん中辺りにあります。
4)声帯のもうひとつの役割:誤嚥防止です。「誤嚥」とは、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうこと。喉頭と、それに蓋をする喉頭蓋は哺乳類にはみんな備わっているんですけれども、人間の特徴はその位置なんですね。人間は言葉で会話をするために、喉頭と、それに蓋をする喉頭蓋は首の真ん中の辺りまで下がってきちゃったんですね。
5)咳反射:喉頭蓋で蓋ができなかった時は「咳反射」といって、声帯が左右ぶつかり合ってくれるんです。加齢や病気などで声帯の筋肉が衰えてしまうと、うまく飲み込むことができなくなることがあります。声帯は声を出すことだけではなく、飲み込むことと密接なつながりがあります。

6)声帯の老化:ゴムのパッキンが劣化することと同様で、左右の声帯が閉じても隙間ができてしまいます。そうすると「声がれ」や「息漏れ」が起きてしまうんです。声帯の老化が進んでしまうと、誤えん性肺炎やえん下障害にもつながります。
7)声帯老化の確認:思いっきり息を吸って「あーーー」と声を出して一息で何秒続くか。この時間を計ることで、声帯の衰えを確認できます。「あーーー」と声を出すときは、普段の会話くらいの大きさで出しましょう。男性で15秒以上、女性で12秒以上が正常で、声が高くなったり、震える、変な声になる場合は要注意です。他にも人から「声が変わった」と言われた。歌い慣れた歌が歌いにくくなったなども老化の表れです。
8)加齢以外の原因:声をあまり使わない。仕事やプライベートで人と話す機会が減ってきますと、筋肉が衰えて声の萎縮が進みます。姿勢も重要です。猫背の方やうつむいて話す方は、肺から上がって来る空気を遮ってしまうので、声の響きに影響を与え、こもった声になります。また、余分に胃酸が出やすい食生活を送っていることも、原因のひとつとなります。アルコールをとり過ぎて、胃酸が食道に逆流して「のどやけ」を起こして声帯を痛めてしまいますし、タバコも声帯にとってはよくないです。
9)声帯の鍛え方:電話やオンライン通話でも会話はできますが、毎日通話の相手を見つけるのも難しいので、1人でもできることとして、本や新聞を声に出して音読することです。また、テレビ番組に参加しているつもりで「あ~、そうそう」などと言ってみたり、クイズ番組なら声を出して答えるのもいいと思います。カラオケや詩吟などもおすすめします。ご自分の気分が楽しくなるような、好きな歌や好きなことを歌っていただくのが一番よいと思います。

10)誤嚥性肺炎:水や食べ物や唾は、肺に入ってはいけない“異物”です。水や異物が気管から肺に入ってしまうと、肺では対応できませんから炎症を起こします。この炎症を起こすと「誤嚥性肺炎」となります。誤嚥性肺炎の症状として、発熱、せき、たんが出て、呼吸も苦しくなります。何となく元気がないとか食欲がない、唾がたまったようなこもった声、呼吸に伴い首の辺りがゴロゴロ鳴る、などの症状も、誤嚥性肺炎になりやすい特徴です。厚生労働省の人口動態統計によると、2022年、令和4年に誤嚥性肺炎で亡くなられた方は5万6,000人強で、死因の中で6番目に多い病気です。特に、高齢者の方には気をつけていただきたい病気です。
11)誤嚥防止策:顎を引いて飲み込むことで、のどを口に近づけられますので、飲み込みやすくなります。飲み込みにくくなったら、ストローを使うことをおすすめします。
また、えん下の動作全体が加齢で遅れますので、食事に“とろみ”をつけて流れを緩やかにすることで飲み込みやすくなります。薬をゼリーに包んで飲み込むのも、誤えん防止にいいでしょう。
12)声帯が衰えると:会話をしなくなると、認知症のリスクも高まります。会話には耳や目、脳も使いますので、会話によるコミュニケーションの低下は認知症のリスクを高めるとも考えられます。また、声が出にくいと話さなくなり、さらに声が出しにくくなるという悪循環を招きます。日頃から声を出すこと、これを心がけてほしいです。
13)声帯萎縮の予防:声帯も筋肉ですから、鍛えて萎縮を予防する体操があります。1から10の数字を唱えていただきます。まず胸の前で両手を合わせてください。左右の手を押し合う瞬間に「いちっ」などと短く区切って発声します。短くがポイントです。10まで発声します。これを朝晩2回ずつやってみてください。声帯が鍛えられて筋肉がついてきますから、肺炎の予防につながってまいります。やってはいけないのは、「い~ち」「に~い」「さ~ん」と伸ばし、力を長く入れてしまうことです。

14)声帯を鍛える:人と話す機会を増やす。喉の乾燥を防ぐ。声帯に悪影響を及ぼす生活を改める。
15)人と話す:人と話すことで声帯は鍛えられます、たくさん話しましょう。特にお年寄りや会話が減った人は、話をするということが大切です。会話で声の異変を指摘されたり、大きな病気が見つかる場合もあります。
16)喉の乾燥防止:喉の乾燥は声帯を痛める原因のひとつ。マスクや加湿器を使って、喉の潤いを保つことが大切です。うがいをして口全体を湿らせておくのも良いし、適宜、水を飲むことも良いです。
17)声の衛生に留意:無理な高さでの発声やささやき声、これは避ける必要があります。せきばらい、からぜきは必要最小限にとどめてください。食事は水分もとりつつ、少しずつ、むせないように慌てずゆっくり食べるようにすると良いでしょう。
18)声の衛生に留意2:大量にお酒を飲むと、口の中がアルコールで乾燥してしまいます。さらに気分が高揚して、いつの間にか大声を出すようになるので、ほどほどにするのがおすすめです。思うように声が出ない時、かぜをひいた時は、無理に声を出さないことが一番。
19)声の衛生に留意3:胃から出る胃液が逆流すると、声帯を傷つけます。食べてからすぐ寝ると、胃液や消化途中の食べ物が食道に逆流して、炎症を起こします。胃液はとても強い酸なので、胃液にさらされると声帯に炎症を起こしてしまいます。声帯を守る意味でも、寝る2時間前は食事やお酒を避けてください。また家庭でできる工夫として、寝るときに肩や肩甲骨の辺りを高くすることや、布団の下に座布団を入れると逆流が起きにくくなります。

かなり長くなりましたが声帯の健康のためのお話「声帯配慮」でした。ご存じ「阿吽:あうん」です。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:声帯健康を保つひとつの方法として「朗読」もいいと思います。ふと思い出しました。昔、近所の家から読経の声が聞こえてきたことを。お経であっても朗読のひとつです、昔の人の知恵でしょうかね。オススメの詩を四篇。こちらもどうぞ「寿命延長」。

「山のあなた」カール・ブッセ 上田敏訳
山のあなたの空遠く
「幸ひ」住むと人のいふ
噫 われひとと尋めゆきて
涙さしぐみ かへりきぬ
山のあなたになほ遠く
「幸ひ」住むと人のいふ

「われは草なり」高見順
われは草なり
伸びんとす
伸びられるとき
伸びんとす
伸びられぬ日は
伸びぬなり
伸びられる日は
伸びるなり
われは草なり
緑なり
全身すべて
緑なり
毎年かはらず
緑なり
緑の己れに
あきぬなり

われは草なり
緑なり
緑の深きを
願ふなり

ああ 生きる日の
美しき
ああ 生きる日の
楽しさよ
われは草なり
生きんとす
草のいのちを
生きんとす

自分の感受性くらい」茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ陰ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
宮沢賢治


BBTime 637 Tea for Teeth

「雪降ってコーヒー組と紅茶組」中原幸子

2023/11/18投稿
 鹿児島は突然冬になりました(寒)。福岡市では平年より1ヶ月も早く初雪の便りとか(記事はこちら)。まずは句の解説から『寒いと思ったら、この街ではめったにお目にかかれない雪が舞いはじめた。外の情景をさっと描写したところで視点は喫茶店の内側へと切り替る。どっと入ってきてようやく席に落ち着いた一行。注文をとりに来たウェイトレスを前に幹事役の人が「コーヒーの人」「紅茶の人」と賑やかに声をかけ、手を挙げてもらっている。たくさん人が集まればよく見かける光景であるが、いい大人が「はい、はい」と、素直に手を挙げる様子もどこか子供じみて可愛げがある。幹事のとっさの問いかけであったが、この時は他の注文もなく、きれいにコーヒー組と紅茶組に分かれたのだろう。そんな偶然をきっかけにちょっと堅かった座の雰囲気も自然にほぐれる。(中略)暖かな飲物もゆきわたり、ほっと落ち着いた気分で窓に眼をやれば雪はちらちらと降り続いている。白く細やかな雪が楽しげな室内の空気をいっそう引き立てるようである。幸子の句には都会で暮らす日常のなにげない出来事が季節を感受する喜びとともに生き生きと書きとめられている。それは今の暮しの原風景であるように思える。『以上、西陣から』(2006)所収』(引用元)。今回は「歯のためのお茶」について。

先日のこと。おやつ堂に来られたお客さんとの会話「始めは歯磨き粉付けずに唾液磨きしてます」いいですね!「最後にペーストを歯に塗るようして、うがいは無し」そうです!「手にハンドクリーム塗って、すぐさま洗う人はいませんもんね」はい、その通りです。「唾液磨きの時のつばは飲み込んでもいいんですよね?」はい、問題ないです。

この会話の後、ひとつのアイデアが浮かびました。お気に入りのハーブティを用意してください。唾液磨きの途中途中で、ハーブティでブクブクうがいゴックン。もちろん、お茶でも白湯(さゆ)でもOKです。唾液磨きとティーを用意することで、リビングでもテレビや動画見ながらでも歯磨きできます。これから更に寒くなる夜に、ひんやりした洗面で磨きよりも心地良く丁寧に歯磨きできます。くれぐれも砂糖はゼロにてお願いします。個人的なオススメはミント系なら冒頭画像「ミントマジック」、ほんのり甘いカルディ「シナモンティ」です。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 636 くちびる

「物言へば唇寒し秋の風」松尾芭蕉

2023/11/10投稿 11/11画像追加 11/17リンク追加
 立冬(11/08)が過ぎたと言うのに日中は冬でもなく秋でもなく夏です。四季が二季(夏と冬)になる日も近いのでしょうか?句の解説は『あまりにも有名なので、作者の名前を知らなかったり、あるいは諺だと思っている人も少なくないだろう。有名は無名に通じる。こうした例は、他のジャンルでも枚挙にいとまがない。それはともかく、掲句は教育的道徳的に過ぎて昔から評判は芳しくないようだ。ご丁寧にも座右の銘として、こんな前書までついているからだろう。「人の短をいふ事なかれ 己が長をいふ事なかれ」。虚子も、苦々しげに言っている。「沈黙を守るに若かず、無用の言を吐くと駟(シ)も舌に及ばずで,忽ち不測の害をかもすことになる,注意すべきは言葉であるという道徳の箴言に類した句である。こういう句を作ることが俳句の正道であるという事はいえない」。ま、そういうことになるのだろうが、私はちょっと違う見方をしてきた。発表された当時には、かなり大胆かつ新鮮な表現で読者を驚かせたのではないのかと……。なぜなら、江戸期の人にとって、この「唇」という言葉は、文芸的にも日常的にも一般的ではなかったろうと推察されるからである。言葉自体としては、弘法大師の昔からあるにはあった。が、それは例えば「目」と言わずに「眼球」と言うが如しで、ほとんど医術用語のようにあからさまに「器官」を指す言葉だったと思われる。普通には「口」や「口元」だった。キスでも「口吸ふ」と言い、「唇吸ふ」という表現の一般性は明治大正期以降のものである。そんななかで、芭蕉はあえて「唇」と言ったのだ。むろん口や口元でも意味は通じるけれど、唇という部位を限定した器官名のほうが、露わにひりひりと寒さを感じさせる効果があがると考えたに違いない。「目をこする」と「眼球をこする」では、後者の方がより刺激的で生々しいように、である。したがって、ご丁寧な前書は句の中身の駄目押しとしてつけたのではなくて、あえて器官名を持ち出した生々しさをいくぶんか和らげようとする企みなのではなかったろうか。内容的に押し詰めれば人生訓的かもしれないが、文芸的には大冒険の一句であり、元禄期の読者は人生訓と読むよりも、まずは口元に刺激的な寒さを強く感じて驚愕したに違いない。(清水哲男)』(出典元)。今回は唇について。

冒頭の画像は朝日新聞「折々のことば」です。
「唇のまわりに、文化が横たわっている。」ミッシェル・セール
 食べる、味わう、話す、歌う、泣く、笑う、愛撫する。口は文化を最も基本的なところで担う器官だ。知性の原型もそこから蠢き(うごめき)はじめる。赤子は物の形状を齧って(かじって)確かめるし、考えるとはそもそもが、ものごとを吟味すること、つまり味わい分けることだ。そしてホモ・サピエンス。語源をたどれば「味わう人」を意味する。フランスの哲学者の『五感』(米山親能訳)から。

ヒトにおける歯の発生は胎生六週頃、かなり早い段階で口や歯はでき始めます。その意味は、それだけ重要ということ。口ができなければ、食べることはできません。日々、訪問診療に携わっていると「口」「歯」「唇」の重要性を感じます。最近特に感じることが「ウガイする力」です。ウガイできる方は「咀嚼・嚥下」「モグモグ・ゴックン」がおおかたできます。逆に「ウガイする力」が弱まるとともに、摂食・嚥下にいろいろと問題が生じます。ウガイする力を維持してください。具体的には、日々「ぶくぶくウガイ」の励行、準備運動としてウガイトレーニングをおすすめします。水(白湯でもお茶でもOK)を口に含んで「ぶくぶく」ぺっ(吐き出す)でもいいし、そのまま飲み込む「ぶくぶくゴックン」でも構いません。食前にすれば「準備運動」、食後にすれば「口の洗浄」「歯の素洗い」となります。最後まで口から食べるために、是非「ウガイする力」を保持してください。来週から季節通りの寒さになるようです、皆様ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:「口」が出てきます。口は生き物の入り口であり始まりです。
追加2:冒頭の折々のことばは「BBTime 549 唇」でも。

BBTime 634 イライラを洗う

「疲労困ぱいのぱいの字を引く秋の暮」小沢昭一

2023/10/18投稿
 駆け足で秋が来ました、駆け足で過ぎ去るのでしょうか。句の解説『共感して大きくうなずくことは、よくある。が、共感するあまりに、力なく「へへへ」と笑ってしまいたくなるのが、この句だ。疲れた身体にムチ打つようにして文章を書いている最中に、何の因果か「ヒロウコンパイ」と書かねばならなくなった。ところが「困ぱい」の「ぱい」の字が思いだせない。大体のかたちはわかるのだが、いい加減に書くわけにもいかず、大きな辞書をやっこらさと持ちだして来て「こんぱい」の項目を「困ぱい」しながら探すのである。「疲労困ぱい」の身には厄介な作業だ。そんな孤独な原稿書きの仕事に、秋の日暮れは格別にうそ寒い……。ちなみに、季語「秋の暮」は秋の日暮れの意味であり「晩秋」のことではないので要注意(と、どんな歳時記を引いても書いてある)。ところで、この句は「紙」に文字を直接書きつける人の感慨だ。と、この句をワープロで写していた先ほど、いまさらのように気がついた。ワープロだと「こんぱい」と打てば「困ぱい」ではなく、すぐにぴしゃりと「困憊」が出てきてしまう。その「困憊」の「憊」をいちいち「ぱい」に直さなければならぬ「わずらわしさよ秋の暮」というのが、今の私のいささかフクザツな心持ちである。この句は、既に井川博年が昨年の11月に取り上げていた。さっき検索装置で調べてみて、やっと思いだしたというお粗末。ま、いいか。最近は「困ぱい」することが多いなア。『変哲』(1992)所収。(清水哲男)』(引用元)。さて疲労困憊でもイライラします、今回はイライラを洗うお話。

イライラの原因はイロイロ。三分待たされてイライラする人もいれば、三十分待ってもイライラしない人もいます。イライラがストレスとなり、ストレスが体の不調を引き起こし、不調が病気のトリガー(引き金)になる・・理解しやすい論理です。実は感じないイライラもあるのです。

「慢性炎症」が感じないイライラです。
「慢性炎症」はサイレントキラーとも呼ばれ、気づかぬうちに炎症が継続し、毛細血管を通してさまざまな病気を引き起こす。(中略)糖尿病、メタボ、アトピー性皮膚炎、認知症、躁うつ病、心臓病、脳卒中、がん…、これらの病気はまったく別の病気に見えますよね?ところが、一見無関係な病気の根本に、慢性炎症という共通項があったんです。例えば、躁うつ病はセロトニンなどの神経伝達物質の不足によると考えられてきましたが、その上流には慢性炎症があることがわかってきました」(引用元)。

「歯周病は歯周病菌による慢性炎症ですが、糖尿病を引き起こすことがわかっています。炎症性サイトカインは血糖値を下げるインスリンの働きを悪化させるため、血糖値が高くなりやすいんです。このように慢性炎症は全身いたるところに広がる可能性があり、さまざまな病気のもとになります」(引用元)。

プラーク(歯の汚れ)と認知症の因果関係も明らかになってきています。その繋がりは1)口腔内プラークが常に多いと歯周病が悪化。2)歯周病菌が血液によって脳内に運ばれます。3)歯周病菌を攻撃するために脳内にアミロイドβが現れ蓄積します。4)アミロイドβプラークがアルツハイマー病発症に繋がります(引用元)。詳しくは「BBTime 615 明日は我が身?」に書いております、ご参照のほど。

画像は先日、国が承認したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」です。「25日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認した。進行を遅らせる効果を証明した国内初の薬となる。薬の公定価格である薬価の決定を経て、年内にも医療現場で使えるようになる見込みだ」(引用元)。年間で薬代が約390万円、保険適用で自己負担がおおよそ14万円くらいになるだろうとのことでした。

認知症を予防する・遅らせる、ひとつの技が「歯磨き」。健康寿命を伸ばし、最後の一日まで人生を味わうための「歯磨き」と思えば、煩わしくないのではないでしょうか?心の感じない「イライラ」をアライ流す、ムシ歯予防・歯周病予防のためだけではなく、認知症予防・PPK(ピンピンコロリ)のための歯磨きと捉えるのはいかがでしょう。

以下、施設依頼セミナーのための内容です。
1)ヘッドライトを付け、開けてくれない場合は指サック式バイトブロック(上の画像)を使用する。2)歯磨きペーストは始めから使わない。3)ライトで口腔内を照らし汚れや食物残渣(しょくもつざんさ、食べかす)を見る。4)歯ブラシで落とす。5)歯間ブラシにジェル(歯磨きペースト)を付けて磨く。6)フッ素入りのペーストを少量、歯ブラシにつけて仕上げ磨きと言うより、歯にペーストを塗るつもりで磨く。7)うがいはしない(塗ったペーストの効果がなくなるので)。

これからお風呂が癒しの季節です。ぬるめのお湯にゆったり浸かりながらの「だらだら磨き」が、人生を長く輝くものにすると考えてみては、皆様ご自愛の程ご歯愛の程。