BBTime 327 駄め菓子?
「お菓子がすべてじゃないからね」友人の孫
これは鹿児島が誇る銘菓「明石屋のかるかん」です。冒頭の言葉は朝日新聞「折々のことば」で見つけました。前回「御菓子中毒」に引き続きお菓子の話。
『「お菓子がすべてじゃないからね。友人の孫」 友人には6、4、2歳の孫3姉妹がいる。バレンタインデーに、長姉は学校から持ち帰った「友チョコ」を妹たちにねだられる。「これほしい、それもいいな」と妹たちのおねだりは底知れず。姉はチョコしか頭にない妹たちをこう戒めた。が、そういう理屈で自分を納得させようともしていた。ダブルミーニングを一文に込められるところがすごい。小さな〈社会〉の小さな始まり。(鷲田清一) 2019.2.25』
もちろんお菓子が全てではないのですが、お菓子の存在理由は明らかです。心を和ませてくれます、幸せにしてくれます。こんな記事も・・『福島第一原発の廃炉作業員を癒やすコンビニスイーツ 長期戦に向けて進む労働環境改善』(記事はこちら)。記事によると『構内に2か所あるコンビニでの売り上げ1位はまさかのシュークリーム』『「10個とか買っていただける。多いと30個とか。作業員のグループの人がまとめ買いするんです」と店長の黒澤政夫さん(43)。現在の売れ筋1位は「大きなツインシュー」というシュークリーム。税込み113円とお手軽価格で、作業で疲れた体に好評なのだという』記事より。毎日新聞記事でも『東京電力福島第1原発の敷地内にコンビニエンスストア「ローソン」がある。開店してまる3年。食品や日用品が一通りそろう。一番の売れ筋商品は、シュークリームだそうだ』(記事はこちら)。お菓子が全てではないにせよ、人にとって必要なことは明らかです。
『「あ、生きてた。あぁ、そんならいっぺんに飲まなきゃよかった 五代目・古今亭志ん生」 噺家(はなしか)はその昔、旧満州の居候先で、一気に呑んだら危ないよとの忠告つきで老酒を6本貰った。先方の生活苦を察し家を出るが、食うにも困る日々。気持ちが荒(すさ)み、呑みながら死ぬなら本望と飲み干すが……。存在自体が落語のような人。高座で眠りこけた時も客は大喜び。そっとしといてやんなと、口々に言ったという。娘、美濃部美津子の『志ん生一家、おしまいの噺』から。(鷲田清一)2019.2.21』折々のことばより。
次の画像は有名な狂言の演目「附子:ぶす」です。あらすじは「或る家の主が、「附子という猛毒が入っている桶には近づくな」と使用人である太郎冠者(たろうかじゃ)と次郎冠者(じろうかじゃ)に言いおいて外出する。しかし留守番を言い付かった太郎冠者と次郎冠者は、附子のことが気になって仕方がない。主人からは「毒の入った桶から流れてくる空気を浴びただけでも死んでしまう」と言われていた二人は、扇を使って空気をかわしつつ接近を試み、とうとう太郎冠者は、桶の中身を覗いてみることにする。するとどうであろう、毒であるはずの附子なのだが、大変おいしそうに見えるではないか。誘惑に負けて、太郎冠者が附子をなめてみると毒というのは全くの嘘で、主人が附子だと言った物の正体は砂糖であった。二人は奪い合うようにして砂糖を食べつくしてしまった。主人が嘘までついて隠しておいた砂糖を食べてしまった言い訳として、二人が選択した行動とは…まず、主人が大切にしている茶碗と掛け軸をめちゃめちゃに壊す。見るも無惨になったところで、二人で大泣きした。すると、帰ってきた主人が泣いている二人と、破れた掛け軸、壊れた茶碗を発見し、二人に事情を聞いた。そこで二人は、「掛け軸と茶碗を壊してしまったため、死んで詫びようと毒だという附子を食べたが死ねず、困っている」と言い訳するので、どうしてよいか困った主人が途方に暮れ、最後は「やるまいぞやるまいぞ」と主人が逃げる太郎冠者と次郎冠者を追いかける…。」ウイキペディアより。
当時は「砂糖の価値 日本で産業的な製糖が広まったのは江戸時代である。それ以前の日本においては、砂糖は輸入に頼る貴重品であった。一方、狂言は室町時代から江戸時代初期にかけて発展してきた芸能であり、当時の価値観が反映されている。したがって『附子』の中で、主が毒だと嘘をついてまで「砂糖」という貴重品を使用人に見せたくなかったこと、太郎冠者らが争うように食べつくしたこと、どちらも道理である。ちなみに容貌の醜い女性のことを「ブス」というのはアコニチン(トリカブトの有毒成分)中毒では神経が障害を受け、顔の表情筋が不随になっておかしな貌になるからだという」(ウイキペディアより)とのこと。ブスについてはこちらも。
志ん生師匠や太郎冠者・次郎冠者のように、飲み干す・食べ尽くすのはやはり頂けません。とは言え「たまに美味しい菓子を楽しむ」も至難の技。これまた折々のことばに・・『「しっかり蒸し煮することで、にんじんが汗をかいたようになり……甘く蒸されていきます 有賀薫」 香味野菜で風味を、ブイヨンでうまみを、ケチャップで甘みを、バターでコクを、バジルで香りを加えるというふうに、スープをおいしくする方法は多々ある。が、「スープ作家」は「旬の野菜を単体でたっぷり使う」簡潔な味つけをめざす。野菜そのものが「すでに十分においしい」という信頼感が、加算によらない生活の充実を教えてくれると。レシピ本『スープ・レッスン』から。2019.2.11』(折々のことばより)。
このような味覚を味わえる舌を育てる必要があるのでしょう。コンビニ菓子などで正常な味覚が麻痺してしまうのはやはり勿体無い話です。BBTime 294 「大豆とヨーグルト」にご紹介したような砂糖ゼロのデザート。小生のマイボトルの中身はこれまた砂糖ゼロのカルディの「シナモンティ」。自分で作ったり、探したりするのもひとつの楽しみ。「お菓子の喜び」を味わい続けるためには、砂糖ゼロデザートや砂糖ゼロ飲料を織り交ぜながらが良さそうです。食べる喜び持続のために「食べない』(期間を設ける)、これもお菓子のひとつの楽しみ方です。5400