108cafe 002 橋の下の力持ち

108cafe 002 橋の下の力持ち
「名月や橋の下では敵討ち」野坂昭如

句の作者名を見て「?」。野坂昭如氏は小説家だと思っておりました、ウイキペディアには「作家、歌手、作詞家、タレント、政治家」とあり俳人を加えればまさに八面六臂(はちめんろっぴ)。敵討ち(かたきうち)とは物騒な話ですが、今回ポンティックと歯肉のせめぎ合いについて。以下ラボへのレポートより。

「橋の下」:先日、ラボの社長さんとの会話でポンティック基底面について。6番欠損の567のブリッジ、5番7番はインレータイプの場合に起こりうること。「橋の下」はお分かりと思います。ポンティック=橋(pontic 橋桁:はしげた)の下で基底面と基底面に接する歯肉のことです。
「橋の下は力持ち!」インレーブリッジでたまに遭遇する症例が脱離です。ブリッジ脱離で来院され戻そうとすれど入らず・・「いつ外れました?」「昨日です」「?」・・犯人は「橋の下の歯肉」歯肉がブリッジを持ち上げて外れたんです。指で強く押して戻そうとしても、インレー体と支台歯は合わず(浮いており)よく見るとポンティック部の歯肉が真っ白。ポンティック基底部で押されて歯肉が貧血状態。フィットチェッカーで調べてみると案の定、基底面が歯肉を押している・・というより歯肉が基底面を押し上げている!結果・・脱離。

強く当たっている部分(基底面メタル)を削合するとすんなり入ります。削合部分を鏡面研磨して再セットしました。「えっ?そんなこと起きるの」「ハイ、起こるんです」
ブリッジ基底面の問題発生は大方二つ。1)一番多いのはポンティック基底部と歯肉の間にプラークがたまり炎症を惹起(じゃっき)して、炎症性の歯肉がポンティックを包み込むように腫れてきます。症状として出血、咬合時疼痛、咀嚼時疼痛など。この場合は、まずフロスを通し清掃し抗生物質入り軟膏を間に入れます。だいたいこれで解決します。解決しなければ除去・再製となります。
2)もうひとつがたまに起こる「橋の下は力持ち」で脱離。強く当たっている部分(基底面メタル)を削合して削合部分を鏡面研磨して再セットします。

実は似たようなことがPDでも起こるんです。上顎6番欠損一本義歯の例。義歯当たりが出て(咬むと痛い)、しばらく使用せず来院。はめようとしても合わず、フィットチェッカーで調べると欠損部のみ当たっています。削合研磨して使用可能に。抜歯窩に根の陥没がある場合はワックスで埋めてから床のワックスアップしてください。増歯修理のリベース時も要注意です。抜歯窩に入ったレジンの足を削合してください。レジンの足そのままだと抜歯窩の治りも良くないです。

というわけで皆様(技工士の方)にお願いしたいのは患者さんがフロスで清掃可能な基底面形態を付与してほしいこと。抜歯窩形態によっては鞍状型(あんじょうがた:歯肉が凸で基底面が凹)も見ますが、清掃できないので小生としてはやめてほしいところです。鞍状型を指示するのは歯科医師ですがね・・(苦笑)。6560

BBTime 284 歯科技工士

BBTime 284 歯科技工士
「疲労困ぱいのぱいの字を引く秋の暮」小沢昭一

先日、歯科技工士の方と話し込んでしまいました。ご存じとは思いますが「歯科技工士」とは歯科補綴物(しかほてつぶつ)などを作る国家資格を有する人です。歯に詰めるインレー、かぶせる冠(クラウン)、義歯(入れ歯)、矯正装置、マウスピースなど口の中に入れるモノを作ります。特に義歯においてはモノというより人工臓器を製作する人です。歯科医療において、歯科医師もさることながら歯科技工士の方の働きがないと歯科医療は成り立ちません。

永六輔さんは著書「職人」の中に「目医者、歯医者が医者ならば蝶やとんぼも鳥のうち そんな歌を歌っていた目医者や歯医者もいましたが、いまはとんでもない。歯科技工士なんか、高齢化社会には神様のような職人ですよ」と書いておられます。その神様のような職人の方々が「疲労困憊」なんです、困ったことに!

困憊の理由は多々ありますが簡単に言うと「長時間労働」「ストレス過多」「低収入」「ワクワクがない」等々。結果、若い技工士さんは短期間での退職・離職・・。専門学校卒後、国家資格取得、希望を持ってラボ(歯科技工所)に就職した若き技工士は希望とやる気をなくして去ってゆく・・。

理由は数々あるのですが、その中から「再作:もう一度作る」について。あなたが右上4番目(第一小臼歯)にCAD/CAM冠(保険の白い冠)をかぶせるとしましょう。歯科医はその歯を削り印象(型採り)します。この型に石膏を流して固まった石膏模型がラボに送られます。画像はイタリアンで有名な落合シェフです。ラボの仕事はシェフに似ています。届いた材料(模型)に対して最高の調理(技工)を行うのみで、もし届いた材料(模型)に問題があればその問題は解決されないまま料理(技工物)は出来上がります。落合シェフであっても八百屋さんから届いた食材が傷んでいれば美味しい料理を作ることはできません・・が、歯科の現場では「食材に問題があっても美味しい料理を作るように」という無茶な「無言の要求」をする歯科医はたくさんいます。技工は手品ではありません!届いた模型・バイト(噛み合わせ)・削られた形に問題がある場合は、もう一度歯科医が適正な形に歯を削り直し、型を取り直し、ラボに届ける必要があるのです。ラボ「先生、模型の噛み合わせが不安定なんですが・・」「マージン(歯の境目)がはっきりしないのですが・・」→歯科医「それで作っといて」・・傷んだ食材で美味しいイタリアンはできません。技工士は手品師ではありません。

後日、技工物が届きセット(歯につける)です。案の定、合いません(当たり前です)。歯科医→患者さんへ「出来上がった冠が合いませんのでもう一度型を採りますね」。歯科医に問題があっても再作(もう一度作る)のはラボで、多くの場合ただ働きです。義歯(入れ歯)でも似たようなことが起きています。歯科医は技工指示書という注文書を歯科医の責任で書いて模型と一緒にラボに送らないといけないのですが、手抜き(指示抜き)の歯科医は設計を書かずにラボ(技工士)に丸投げです。

届いた材料に問題あれば「印象に問題があり、これでは作れません」とラボが歯科医師に言えば解決するのですが、未だに上から目線の歯科医師は多くいます。歯科医師と歯科技工士はどちらが上だ下だではなく同等のパートナーです。ラボ側にも責任はあります。届いた模型に問題があって「問題がありますけど・・」と歯科医に連絡すると・・・次から仕事が来ない。ラボにしてみれば客(歯科医院)を失うことになりますので、問題があっても黙って作る・・となるのです。さて、結果どうなるでしょう?問題のある模型で作られた適合の悪い(模型にはぴったり適合)補綴物があなた(患者さん)の口に入ることになるのです。

ほとんどの患者さんはラボ(歯科技工所)の存在は知っていても、上手なラボを見つけることは至難の技で、そのラボと取引のある歯科医院を見つけるのも困難です。今日からできることをお教えします。インレー(歯の部分的な詰め物)は別ですが、歯をぐるりと削ってかぶせる「冠」の型採りの時に、右上であっても左右全部の型を採る歯科医院は、片方のみの歯科医院より信頼できます。型採りの時に「全部採らなくてもいいのですか?」と言ってみてください。相手(歯科医師・スタッフ)はドキッとすると思います。片方のみならず全顎(ぜんがく・上全部もしくは下全部)採ることで、安定した技工物を作ることができます。これはひとつの例ですが、少なからず指標になるでしょう。

義歯は人工臓器と書きました。技工所から届いた義歯を患者さんの口の中で歯科医師が調整・確認して補綴物(人工物)が人工臓器になっていきます。もちろん歯科医院とラボがいい関係を構築していて、より良い歯科医療を目指している歯科医師・歯科技工士の方も多くいらっしゃいますが、そうでない歯科医院があるのも事実。意味ある仕事をしての疲労困憊ならまだしも・・ただ働きでの疲労困憊は疲労度が増悪します。時にはあなたの口の中の補綴物製作者にも思いを馳せてみてくださいませ。2330

BBTime 273 正直モン

BBTime 273 正直モン
「虫なくや我れと湯を呑む影法師」前田普羅

解説に「呑んでいるのは「茶」ではなく「白湯:さゆ」。健康上の理由からだろうか、この頃の普羅は「白湯」を呑むことに努めていたようだ。「がぶがぶと白湯呑みなれて冬籠」の句もある。白湯だから味わって呑むのではなく、一気のガブ呑みだ。ふと見ると、壁に写った影法師も同じ姿で一生懸命に付き合ってくれている。外では、虫の音しきり。わびしいような滑稽なような、作者の文字通りの微苦笑が目に見えるようだ」とのこと。言われてみれば当たり前です、影法師とその人自身は似た姿であり同じ動きをします、いわば正直モン。今回「歯は正直モン」について。

くまモンが正直モンか否かはさておき「歯は正直モン」です。前回、右下の奥歯にCR充填の治療した方が再来院。「CR充填:シーアールじゅうてん」とはコンポジットレジン充填のことで、ムシ歯部分を取り除いた後に歯に似た色の樹脂を詰める処置です。その歯が冷たいものがしみるし、噛むと違和感があるとのこと。「?」と思いながらも「迷ったらやり直し」との判断から、同部位を再度削りました。前回治療時、黒っぽい部分でしたがココは硬いのでムシ歯にあらずと残した箇所をもう少し削ったところ、その下がムシ歯でした。前回も「う蝕検知液」で染まらない(染まるとムシ歯)ことを確認したのですが・・。やはり「歯は正直モン」「ひと(患者さん)の体は正直モン」です。

ドラえもんが正直モンか否かはさておき「歯は正直モン」です。治療前でも治療後でも、しっくりいかない・納得いかない・満足しない時は必ず歯科医師に伝えてください。たまにインレー(部分的な被せ物)や冠(クラウン、銀色や白色)をつけた後「しばらくは噛みにくかったけど良くなりました」と表現される患者さんがいらっしゃいます。これは危険です!革靴ならまだしも、靴が足に合う可能性はありますが、歯科の場合は違います、革ではなく金属・セラミック・硬質レジンなど硬い材料です。「冠をかぶせて噛みにくかったけど良くなった」は、良くなったのではなく噛み合わせがずれた可能性があります。充填(詰める処置)・入れ歯・根の治療なども同じです。納得いかない時には必ず伝えてください。

言わばヒトは「超精密ロボット」。必ず原因あっての結果(症状)です。原因を探って見つけるのが医療従事者の仕事ですが、すぐに見つからないこともあります。原因が解決されなければ結果(症状)は消えません。症状に変化なき場合は、遠慮することなく躊躇することなく伝えてください。医者・歯医者にとって便利な言葉があります。「経過観察」すなわち「(原因がはっきりしないので)しばらく様子をみましょう」の意味で使うことがあります。また「大丈夫です」「特に異常はありません」もある意味、逃げで患者さんに言うことがあります。

症状が消えない時、納得のいく理由・答えが得られない時には、有耶無耶(うやむや)にするのではなく、あなた(患者さん)自身もあきらめずに追求(歯科医師に伝える)してください。体は正直モン、歯は正直モンです。正直とくれば、やはりこの曲でしょう。4300


おまけ:冒頭写真は拙インスタグラムより小生の影法師です。hideky1961
おまけ2:句の解説に「ただ、光源が何であれ、一つ言えることは、当時の人たちはみな、現代の私たち以上に灯りには敏感だったということである。句のように影法師に着目するのも、そのあらわれだろう。光あるところには必ず影があるというわけだ。いまは、光の氾濫が影の存在を希薄にしている。精神のありように影響しないはずはない」光あるところには必ず影がある・・原因あっての結果なんです。

BBTime 267 歯にのり

BBTime 267 歯にのり
「ある朝の焼海苔にあるうらおもて」小沢信男

解説に「海苔(のり)に裏と表があるくらいは、誰でも承知している。でも、食卓でいちいち裏表を気にしながら食べる人はいないだろう。ご飯などに巻きつけるときに、ほとんどの人は海苔の表を外側にしていると思うが、無意識に近い食べ方である」とありますが、言われてみると・・そうかもねです。よりツヤツヤの方が表でしょう。同じく解説に「コマーシャル・コピーに「上から読んでもヤマモトヤマ、下から読んでもヤマモトヤマ」というのがあった。すかさず「裏から読んでもヤマモトヤマ」と反応したのが・・・」とあります、言われてみると・・これまたそうですね。薄い白い紙にマジックで「山本山」と書いて裏返すとやはり「山本山」。ちなみに「海苔」は春の季語、悪しからず。小学生時分、遠足弁当の定番がお握りの頃、友人の「歯にのり」を見つけては大笑いでしたが、今回は同じノリでも接着剤の「ノリ」のお話・・ノリが違う(笑)。

「歯科用セメント」と呼ばれ、歯科治療の中で「印象採得:いんしょうさいとく:型を取る」後に出来上がったものを歯に固定する際にセメントを使用します。土台(銀製・樹脂製)、インレー(部分的な詰め物、金属製、樹脂製、セラミック製)、クラウン(冠、金属製、樹脂製、セラミック製)などを歯に着ける時に使い、大きく「合着」と「接着」に分かれます。

セメダインのページに接着の基本についてわかりやすく説明してあります。
「接着とは「接着剤を媒介とし、化学的もしくは物理的な力またはその両者によって二つの面が結合した状態」と定義されています。この定義に至る迄には永い歴史がありました。さて、次に接着のメカニズムについて簡単には、1)機械的結合 2)物理的相互作用 3)化学的相互作用の三つがあり、機械的結合とはアンカー効果とか投錨効果とも言われ、材料表面の孔や谷間に液状接着剤が入り込んで、そこで(接着剤が)固まることによって接着が成り立つという考え方です。木材や繊維、皮等の吸い込みのある材料の接着を説明するのに有効です」セメダインのページより

「物理的相互作用とは分子間(引)力といわれるもので、あらゆる分子の間の引き合う力(ファン・デル・ワールス力)をいい、二次結合力ともいって接着剤の基本的な原理とされています。三つ目の化学的相互作用とは、一次結合力といって最も強い接着力が期待される共有結合や水素結合をいいます。即ち「接着」とは、機械的な引っ掛かりや分子間力、原子間力によって成り立っており、そのどれかに原因を絞り込むことができない複雑さをもっています」セメダインより

歯科臨床においては「合着:機械的結合のみ」より「接着」の方が良いと言えます。合着セメントよりも接着セメントをオススメします・・と言っても患者さんの口から「接着セメントで着けてください」とは言いにくいでしょうね。歯科臨床でどのようなことが起きるか簡単に述べます、イメージしてください。二枚の紙をのり付けしましょう。ノリを塗って貼り合わせます→ノリが乾くと(固まると)二枚の紙ははがれません→貼り合わせの部分が濡れたら?→おそらくはがれますよね。「合着セメント:ごうちゃく」だとこれに似たことが起こり得ます。歯にインレー(部分的詰め物)を合着セメントでセット(歯に着ける)しました→数年経ってインレーが外れました・・理由は?いくつかありますが、合着セメントも原因のひとつです。歯とインレーは機械的結合のみです、すなわち顕微鏡レベルでの凸凹にセメントが入り込んで固まっていることでインレーは歯にくっ付いています。数年経つうちに、歯とインレーの間にミクロン単位の隙間ができた場合、その隙間に唾液・水分が侵入します(隙間ができる原因はいくつかあります)。入り込んだバイキン入りの唾液・水分が徐々に歯とインレーの機械的結合を剥がしていくのです。剥がすのみならず、その隙間にムシ歯を作ってしまう可能性も十分あります(二次カリエス)。ただ単に外れることよりも二次カリエスの方が問題なんです。

この二次カリエスは金属(メタル)インレーの場合(メタルインレーの下が二次カリエス)はレントゲンで判別は困難です。メタルインレーが真っ白く写るために二次カリエスの発見はほぼ困難です。あなたの歯に部分的な金属(メタルインレー・アマルガム)がある場合は、定期検診の際にでも「メタルインレー部の二次カリエスは大丈夫でしょうか?」と聞かれてみてはいかがでしょうか。今回の曲は「ABBA」どちらから読んでも「アバ」!3300


BBTime 246 大丈夫

BBTime 246 大丈夫
「大丈夫づくめの話亀が鳴く」永井龍男

俳句好きの方は気づかれたと思いますが「亀が鳴く(亀鳴く)」は春の季語です。
最近いろんな場面で「大丈夫です」を耳にします・・いろんな意味があるようで。「間に合ってます」「要りません」「可能です」等々。この大丈夫・・本来名詞で「だいじょうふ」と読み「りっぱな男子。ますらお。偉丈夫(いじょうふ)」のこと(コトバンクより)。次なる意味で形容動詞「 あぶなげがなく安心できるさま。強くてしっかりしているさま。「地震にも大丈夫なようにできている」「食べても大丈夫ですか」「病人はもう大丈夫だ」 まちがいがなくて確かなさま。「時間は大丈夫ですか」「大丈夫だ、今度はうまくいくよ」[補説]近年、形容動詞の「大丈夫」を、必要または不要、可または不可、諾または否の意で相手に問いかける、あるいは答える用法が増えている。「重そうですね、持ちましょうか」「いえ、大丈夫です(不要の意)」、「試着したいのですが大丈夫ですか」「はい、大丈夫です(可能、または承諾の意)」など」とあります。まさしくこの「補説」の使い方をよく聞きます。ちなみに副詞として「まちがいなく。確かに。「大丈夫約束は忘れないよ」」の使い方も。金ちゃんも大丈夫(ふ)!

先日、患者さんとの会話で「ムシ歯かなと思うのですが、(別の歯科で)大丈夫と言われました(が納得いきません)」とのこと。問診で(歯科以外の)医科での「大丈夫」も時折耳にします。医者歯医者の「大丈夫」にはいくつかの真意が推測できます。1)医学的に全く問題ない・病気ではない 2)厳密には病気だが治療する程ではない(と医師歯科医師は診断した) 3)その時の状態・検査結果においてその医師歯科医師は異状を認めないもしくは診断できない(レントゲン・各種検査データ・診断能力が根拠)。

鬼ちゃんは「大丈ブイ」をしていますが、「大丈夫」「問題ない」と言われて納得いかない、腑に落ちない時には是非「どう、大丈夫なのですか?」「何が問題無いのですか?」と勇気を持って突っ込んで聞かれてみてはいかがでしょう。それでも「大丈夫」の返事なら迷わず医者歯医者を変えましょう。変えた方が「大丈夫になれる」と思います。あなた(患者さん)にとって「大丈夫じゃない状態」なのに根拠も示さず「大丈夫ですよ」の診断は不十分です。

当たり前ですが、ヒトは超精密ロボットよりも優れた体の仕組みを持っています。すなわち「原因なければ症状なし」です。噛むと痛い・しみる・噛みにくい等々、必ず原因があります。レントゲン撮って直接見て噛み合わせ調べて・・「大丈夫ですよ」と歯科医師が言ってもあなたが大丈夫でなければ、必ず何か原因があります、潜んでいます。先に書いたように元々「大丈夫」は頑丈な人のこと、健康体そのもの。

句の解説から。「季語は「亀鳴く」。春になると亀の雄が雌を慕って鳴くのだそうな。もちろん、鳴きゃあしない。でも亀を見ると鳴いてもよさそうな顔つきはしている。浦島太郎に口をきいた亀は海亀(それも赤海亀の「雌」だろうという説あり・昨夜のNHKラジオ情報)だが、俳句の亀は川や湖沼に生息する小さな亀だ」「さて「大丈夫」という話ほどに、「大丈夫」でない話はない。ましてや「大丈夫づくめ」とくれば、誰だって何度も眉に唾する気持ちになる。そんなインチキ臭い話につき合っているうちに、作者はだんだんアホらしくなってきて、むしろ逆に愉快すらを覚えたというところか。鳴かない亀の鳴き声までが聞こえてくるようだと、気分が落ち着いた」今回は大丈夫のような大丈夫でないお話でした!4060



「空の声が 聞きたくて 風の声に 耳すませ」
「海の声が 知りたくて 君の声を 探してる」
「体の声が聞きたくて 心の声に耳すませ」
「体の声を知りたくて 心の声を探してる」

BBTime 225 希望:Esperanza

BBTime 225 希望:Esperanza
「くちびるに夏欲しければ新茶飲む」小迫倫子

このような句を見ると俳人(作者)の思考回路はどうなっているんだろうと驚かされます。さて今回は仕事中(歯科治療)の患者さんとの会話で最近感じたことについて。それは「希望」です。患者さんは謙虚なのか、遠慮深いのか、言い出しにくいのか、控えめな方が多いように感じます。特に補綴物(ほてつぶつ:被せ物)や義歯(いれば)について「もっと希望を主張してもいいのに」と感じます。

歯科治療(保険内でも保険外でも)は無料ではありません。保険内治療であってもしかるべき自己負担額の料金を支払うわけです。お店で商品を買うのと同じ、パーマ屋さんでのカット、スポーツジムでの会費、食堂での料理等々・・歯科治療もひとつの商品。「歯医者任せ、医者任せ」ではなくシンプルに希望をもっと主張してください。先日患者さんから「ここの治療は今後どのようになりますか?」と質問されました。この質問であれば歯科医として一般的な治療順序を説明します。この患者さんのポイント(希望)は「金属を入れたくない・白いものを入れて欲しい」が希望でした。希望がはっきりした時に「遠慮なくご希望をおっしゃってください」と伝えました。

ソムリエのいるレストランで食事するとしましょう。一言「お任せします」ではソムリエの方は極めて「無難なワイン」を選ぶかもしれません。やはり食事する人自身が好みや希望、予算などをはっきり伝えた方が「ピッタシワイン」が出てくると思います。歯科治療も同じです。詰め物・被せ物であれば色、材質、治療費などの説明を求めることは当たり前のことと思います。ユニクロで夏服を買います、色・柄・材質・価格・サイズなどしっかりチェックしますよね、同じです。ましてや自分の体です。義歯(入れ歯)であれば金具の着く位置、金具(ばね)のデザインなど確認することは可能です(本来はすべきです)。

とは言え、聞きにくい・何を聞けば良いのかわからない・聞きづらい・聞けないが実情でしょう。しかし繰り返しますが、自分の体です、勇気を持って!過去に「五つの質問」で似たようなことを書いています、是非御参照ください。

「他人のオーダーに応えるということは、仕事の基本である。」押井守
鷲田さんのことば:仕事は自分のためだけにするものではない。それを通じて誰かの暮らしを支えること。集団の維持に不可欠なある役を担うこと。人は「注文に応えて」生きる。ただし注文を額面どおりに受け取っていいかは別の問題。注文者の思いを超えてその言葉に託されたミッションに応えるのでないと、業務と言えても仕事とは言えないだろう。映画監督の『ひとまず、信じない』から。(鷲田清一
拡大解釈すると「患者さんの言葉」に潜む希望(時にわがまま)を医療従事者は読み取る努力をすべきだと思います。(従事者にとって)簡単な方法があります。こちらから患者さんへ提案するのです。選択可能な治療方法・回数・期間・大まかな治療費・予後(治療後の経過)・治療しなかった場合のリスクなどを歯医者から提案するのです。

先日街角で見つけたオシャレなアパート、名前が「Esperanza:エスペランサ:希望」です。どうぞ、遠慮することなく本音の希望をおっしゃってくださいませ。今回の一言:本音の希望を言いましょう!今回の楽曲:エスペランサが出てくる「Gloria Estefan Abriendo Puertas」9250

おまけ1:冒頭の句と画像をこちらでも使っていました、ご覧下さいませ。「BBTime 038 無事の人その参 欲」
おまけ2:本「曲芸師ハリドン」(原題 ESPERANZA)おすすめです!
おまけ3:「希望」のタイトルでこちらにも書いておりました。

BBTime 213 ワケアリ1

BBTime 213 ワケアリ1
「運命は笑ひ待ちをり卒業す」高浜虚子

合否のみならず事象全てにおいて理由・訳(わけ)があります。枝からリンゴが落ちるのも、それを見て万有引力を発見したニュートンにも訳があります。歯科に来院される方もそれぞれの事情(わけ)を持って来られます。今回は訳ありについてのお話。

「詰め物が取れた」大きく二つに分けられます。
「メタルインレー:金色銀色」ひとつは小ぶりの銀色金色(金属インレー)の詰め物。4567の歯いわゆる奥歯によく起こります。外れたわけは、インレーの下もしくは周りが新たにムシ歯(二次カリエス)になってセメントの接着力が低下した(外れた)。もしくは噛み合わせが適切でないために、インレーのある箇所に咬む力が集中したゆえインレーの変形や脱離(外れること)が考えられます。二次カリエスの場合はカリエス(ムシ歯の部分)を除去して、さほどガタつきがなければ再び着ける(再セット)ことができます。噛み合わせが原因の場合、インレー体が変形していると作り変えになります。変形がなく再セットできてもしっかりと噛み合わせの調整をしないとまた外れることになります。

「CR充填脱離:白い」二つめは取れたものが白いモノの場合。前歯でも奥歯でも起こり得ます。詰めてあったモノ(充填物・人工物)が取れていれば、新たに詰め直しをします。金属インレーのように再セットは恐らく無理です。取れたもの(かけたもの)が御自分の歯の一部の場合は削りなおして新たに充填(詰める)するか、欠けた部分が大きいと被せる方法を取らざるを得ないこともあります。

「白いインレー」この画像のように金属ではないインレーの場合もあります。型を取って(印象して)模型上で作ったものでセラミックや硬質レジン製です。この白いインレーの場合は再セットできることもあります。

外れたワケを掘り下げると「二次カリエス」「噛み合わせ」「セメント」の三つになるでしょう。
二次カリエス:歯医者は「詰め物がしてあったのですが、その周り(もしくは下)がムシ歯になってます。磨き方が足りなかったのでしょうかね・・」と言うことがありますが、これは歯科医の自己弁護です。詰め物の境界がスムーズでなかったり不十分であれば当然ムシ歯のリスクは高まります。ましてやインレーの下は御自身で磨くことは不可能です。二次カリエス発生のワケは、治療した歯科医の責任がかなり大きいと思います。もちろん磨き不足で新たにムシ歯になることもありますが・・。

噛み合わせ:取れたモノ(インレー)を再セットする場合、必ず噛み合わせをチェックすることが必要です。冠・インレーなどを歯につけてもらった時に噛み合わせに違和感を感じたら必ず「違和感を感じます」と訴えてください。赤や青の噛み合わせチェックの紙(咬合紙:こうごうし ミクロン単位の薄い紙)を使って歯科医は確認しますが、あなた(患者さん)の感覚の方がより繊細です。必ず違和感を覚えたら言ってください。たまに麻酔していることもありますので、帰宅後に初めて違和感を感じることもあります。万が一次回予約がなければ予約を入れてください。

セメント:歯科用セメントには様々な種類があり、セメントの特性によって使い方も異なってきます。適切なセメントの選択、セメントの扱い方・使い方(セメンティング)、セメントの保管状態などの要素が考えられます。何れにせよ患者さんサイドではどうにもできないことばかりです。(やはり歯医者は選びましょう)

怪我の功名:脱離の功名。外れた時に「取れたものを着ける」のも悪くはないのですが、取れたモノによっては「白い樹脂で詰める方法」も選択肢のひとつになり得ます。今回伝えたいことは「可能なら口の中に金属を入れない・増やさない」「残った歯(歯質)を可能な限り減らさない」の二点です。以上あくまでも個人的なひとつの考えとして、歯医者も十人十色です。

イチゴはやはり赤い苺が美味しく見えます、自然です。同じく白い歯が自然です、キレイです。白いままが一番!予防が一番!4840


追加:ニュートンの林檎のことを冒頭で書いたら「ほぼ日」に出ていましたので紹介します(3/21の今日のダーリン)。
「・ニュートンは林檎が落ちるのを見て、
 万有引力の法則を思いついたと言われる。
 そうなのかなぁ、と、ぼくはあやしんでいる。
 もちろん、17世紀のイギリスでどういうことがあったか、
 ぼくがほんとうのことを知っているはずもない。
 でも、林檎のはなしは、信じられないんだ。」



さすがです!結局小生が言いたかったことは
「そういうものじゃないって、じゃぁどういうものよ?
 そう訊きたくなるのかもしれないけれど、
 その答えはさ、「ずっと考えている」しかないと思うよ。
 「なにかそうようなこと」について、ずっと考えている。
 とにかくずっと考えていることで、答えが見つかる。
 身も蓋もないけれど、そういうものだと思うなぁ。」
です。

BBTime 211 技工所での話

BBTime 211 技工所での話
「けふいちにち食べるものある、てふてふ」種田山頭火

山頭火の句は無季句が多いのですが「てふてふ(蝶々)」で春に分類とのこと(解説より)この句を見ていて映画「蝶の舌」をふと思い出しました。ところで先日仕事のパートナー「歯科技工所」で話す機会があったので、その時の資料を備忘録としてアップします。わかる人(歯科技工士・歯科医師)には理解できる内容ですが、そうでない方にはチンプンカンプンだと思います、ご容赦ください。歯科技工所とは「冠・義歯」などを作るところで、実は多くの方がお世話になっているところです。

〇〇デンタル様へ「エーコトしましょう!」      2018/03/07 カルノ
世のため・人(患者さん)のため・ラボのため・環境のため
「美味しいを作る」「キレイを作る」
補綴物を作るとは「美味しいを作る」「笑顔を作る」こと
「スタートは二坪で今はかなりの支店数を持つケーキ屋の社長さんの話です『僕たちはケーキを売っているのではない、ケーキを持って帰って箱を開けた時のみんなの笑顔、その笑顔を売っているんだ』まさしく皆さん(技工士)も同じです、クラウン(冠)や義歯をつくっているのではないのです。皆さんが作っているのは「美味しい」であって「キレイな笑顔」をつくっているのです」
いかに本音コミュニケーションを構築するか「本来なら歯科技工士と歯科医師はパートナーでありどちらが上とか下とかはないんですけど、実情はそうではない。そこでいかに模型を前にして本音で話せるかが重要です」
中国人式 まず相手の商品を買う(利益・プラスを与える 先に提案する)納品袋 バキューム カット(切れ目)患者さんにプレゼントできる模型 インレー 隣接面マジック:コンタクトポイントがすぐわかるクラウン 隣接面マジック(白板用・サンドブラスト)キャド隣接面マジックFコア  頬側にマーキング スプルー クラウン形態のコア(コア止まり)

「流れを変える」
「ハノーバーからギュータスロー(クラウス・ミュターティース氏のラボ)に夜間移動した時のこと。貸切バスが通過する交差点の信号がほとんど青でした。なぜだろう?と観察していると、交差点の数十メートル手前にセンサー発見。このセンサーが作動して交差点進入時には青信号。日本にも似たようなセンサーがありますが、交差点の停止線で止まっていると車の真上のセンサーが感知して数分後に青になる。センサーの位置を変えるだけで止まらずに済む。これが流れを変える」
流れを変える:信号機で止まると青になる交差点→止まらずに(信号青)通過「診療所で使用するタオルについて。全自動洗濯機に使用済みタオルを投げ込んで一杯になったら洗剤入れてスイッチオン(水が出始める)。ところが途中で止まりブザーがブーブー。タオルが偏って止まってしまいます。
そこで一案!空の洗濯機に水を張り洗剤を入れてからタオルを投げ込む、イッパイになったところでON。すると滞りなく脱水完了。登場人物は同じ、登場の順番(流れ)を変えるだけで結果が違う」タオルの洗濯:タオル+水・洗剤→NG(no good) ︎水・洗剤+タオル→OK
コアインプ時に対合を印象する 仮形成してからコア形成・印象する

「自分ごと」
歯科医は咬合器につけた状態を見ていない(ラボからの提案) テック・テック義歯の活用 新商品の開発 義歯名札(QRコード)技工士のウエイトは高まる(義歯における歯科医の低レベル化) 歯科医はひとこと(指示のみ)で、ひとごと(技工士まかせ) 技工士は自分ごと 「ものをつくる人には、人が気づかないようなところを掘り下げる役割がある 絵本作家荒井良二」朝日新聞 折々のことば 20170803

「こんなもんじゃない」
痛い・ゆるい・話しにくい・歌えない・笑えない・が当たり前(ではない!)安定剤接着剤使用が当たり前(ではない!)→要費用→義歯に払う方がベター
幾つであっても義歯は初体験→受け入れてしまう・あきらめてしまう 置き歯ではなく入れ歯(人工臓器) 義歯は増える(高齢者社会)義歯はこんなもん→インプラント→要介護になったらどうする?誰の責任?義歯はこんなもんじゃない!噛める・笑える・話せる入れ歯完成技工物の責任は?再作の責任は?費用は?責任のないタダ働きはしない。
預かった食材で料理するのみ、食材に問題があれば美味しい料理はできない。予見(マズイ料理)したら事前に伝え承認を取る(メール・ライン・カード)
3Dプリンター、AI、5G ファイバーポスト キャドの新商品 技術革新
流れ変革 最終補綴物からテンポラリー 服のレンタル ダイソン シェアサイクル リチウムイオン電池入れ歯食堂 おやつ食堂 ハノカフェ 9330
・・・あなたがいれば

BBTime 207 マスイハマズイ

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「春の宵歯痛の歯ぐき押してみる」徳川夢声

昔、テレビCMで歯周病の歯ぐきを完熟トマトで表現している画像がありました。ご存じとは思いますが、歯の痛みの原因は大きく二つ。ムシ歯と歯周病です。掲句はおそらく歯周病の痛みでしょう。この句はそれはそれは大変な時に詠まれたようで「時は昭和20年(1945年)3月13日、あの東京下町を焼き尽くした東京大空襲の3日後のこと」と解説にありました。

歯科ではよく麻酔を使います。先日(2/20)「虫歯治療の女児死亡 死因は“麻酔薬中毒”」の記事を読みました。詳しくは記事を、またBBTime200「桎梏」でも触れてます。歯科でよく使う麻酔薬はリドカイン。結論から言いますと歯科治療において「安易に麻酔を使うのは如何なものか」と思います。治療中の痛みを我慢しなさいと言っているのではありません。「痛み」は色々なサイン・アラームです、貴重な情報です。患者さんによっては治療前から「(治療内容にかかわらず)痛みに弱いので麻酔してください」と希望される方もいらっしゃいますが、如何なものかと思います。

ほとんどの歯科治療は不愉快なものです。先日は年配女性が「歯医者を好きな子供はいない」とおっしゃいました(反論したくなりましたが)。歯科治療=痛い→麻酔を希望する or 麻酔する:わからないでもありませんがね。

歯科の麻酔注射の液は「マズイ」味です。なんとも言えない苦い不味いものです。同じく過度な歯科麻酔もマズイと思います。「そう言われてもねぇ」と思われた方「それを言っちゃあおしめいよ」ですが・・良い方法があります!
「予防に勝る治療なし!」あはっ、やっぱりご存じでしたか!9930
今回の一言「歯科治療は不快、歯科麻酔はマズイ」
今回の一曲「guilty」

完熟トマトは美味しいし荒田の「トマトの実」はオススメパスタ屋です。

BBTime204 ほぼにち

BBTime204 ほぼにち
「或日あり或日ありつつ春を待つ」後藤夜半

糸井重里さんのサイト「ほぼ日」をほぼ毎日読んでいます。手帳もここ十年近く「ほぼ日手帳」。さて先日ほぼ日看板「今日のダーリン」(糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの)が歯の話でした。仕事柄有り難く存じます!少々読みにくとは思いますが、スクリーンショットをお読みください(2/3と2/7)。画像はタップで拡大されます。ポップコーンはこちら



「人間がエネルギーを取り入れる口は、口です。そこでは、歯がほとんどの大きな仕事をやっています。毎日、歯がやっている仕事をもしデータ化したら、たいへんな質を量になっていると思います。この部分が壊れかけていたり、壊れていたら、エネルギーをちゃんと摂れなくなりますし、食べることにまつわる歓びも、感じられなくなります。で、予防と治療で手入れをすれば、入口が機能します。「歯の治療で、外車が一台買えるくらい費用がかかる」などと冗談のように言っている人もいますが、立派なクルマ以上に仕事をしてくれている歯が、しっかり治療できるのなら、ある意味安いくらいです。そして、口や歯は外からも見えている場所ですから、ここをちゃんとすると、次の段階では、見えてない内蔵のことなどの健康状態にも、意識ができるようになるんですよね。歯をちゃんと気にかけるようになることが、すべての身体を整えるための最初の一歩だと思うのです」(一部書き取り)御意御意ギョーイ!
おやつ食堂・入れ歯食堂について糸井さんに話してみようと思います。6070

今回の一言「口は最初の一歩」
今回の一曲「day after day」