BBTime 637 Tea for Teeth

「雪降ってコーヒー組と紅茶組」中原幸子

2023/11/18投稿
 鹿児島は突然冬になりました(寒)。福岡市では平年より1ヶ月も早く初雪の便りとか(記事はこちら)。まずは句の解説から『寒いと思ったら、この街ではめったにお目にかかれない雪が舞いはじめた。外の情景をさっと描写したところで視点は喫茶店の内側へと切り替る。どっと入ってきてようやく席に落ち着いた一行。注文をとりに来たウェイトレスを前に幹事役の人が「コーヒーの人」「紅茶の人」と賑やかに声をかけ、手を挙げてもらっている。たくさん人が集まればよく見かける光景であるが、いい大人が「はい、はい」と、素直に手を挙げる様子もどこか子供じみて可愛げがある。幹事のとっさの問いかけであったが、この時は他の注文もなく、きれいにコーヒー組と紅茶組に分かれたのだろう。そんな偶然をきっかけにちょっと堅かった座の雰囲気も自然にほぐれる。(中略)暖かな飲物もゆきわたり、ほっと落ち着いた気分で窓に眼をやれば雪はちらちらと降り続いている。白く細やかな雪が楽しげな室内の空気をいっそう引き立てるようである。幸子の句には都会で暮らす日常のなにげない出来事が季節を感受する喜びとともに生き生きと書きとめられている。それは今の暮しの原風景であるように思える。『以上、西陣から』(2006)所収』(引用元)。今回は「歯のためのお茶」について。

先日のこと。おやつ堂に来られたお客さんとの会話「始めは歯磨き粉付けずに唾液磨きしてます」いいですね!「最後にペーストを歯に塗るようして、うがいは無し」そうです!「手にハンドクリーム塗って、すぐさま洗う人はいませんもんね」はい、その通りです。「唾液磨きの時のつばは飲み込んでもいいんですよね?」はい、問題ないです。

この会話の後、ひとつのアイデアが浮かびました。お気に入りのハーブティを用意してください。唾液磨きの途中途中で、ハーブティでブクブクうがいゴックン。もちろん、お茶でも白湯(さゆ)でもOKです。唾液磨きとティーを用意することで、リビングでもテレビや動画見ながらでも歯磨きできます。これから更に寒くなる夜に、ひんやりした洗面で磨きよりも心地良く丁寧に歯磨きできます。くれぐれも砂糖はゼロにてお願いします。個人的なオススメはミント系なら冒頭画像「ミントマジック」、ほんのり甘いカルディ「シナモンティ」です。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 624 面倒臭い

「雨蛙めんどうくさき余生かな」永田耕衣

2023/07/17投稿
七月文月も後半、今年の梅雨は開けそうで開けない!句の解説は『耕衣、七十代後半の句。雨蛙の体の色は葉の上など緑のなかでは緑色をしているが、木の幹や地上に下りると途端に茶色に変色する。保護色の好例として、小学校の教室でしばしば引き合いに出されてきた。人間には保護色はないのだけれど、考えてみれば、状況に応じて態度を変えるなどしているわけで、心理的精神的な保護色はあると言わなければなるまい。ただし雨蛙が自然に体色を変えられるのとは違って、私たちの場合は、意志的にそれをする必要がある。そこが実になんとも「めんどうくさい」と感じることになる年代が「余生」だと、作者は述べている。きょとんとした雨蛙と、何もかもを面倒くさく感じはじめた俳人との取り合わせは、ペーソスの味を越えた不思議な明るい世界に通じているとも読める。「余生」を自覚するのは人それぞれのきっかけからだろうが、作者の場合はそんじょそこらの雨蛙に触発されての自覚であった。私などは「いつ死んでもおかしくない年齢」の自覚はあっても、どこかで「余生」とは認めたくない小賢しい気持ちのままに生きている。いずれ、作者のようにそんじょそこらの「何か」に、否応もなく「余生」を告知されるのであろう……。『殺祖』(1981)所収(清水哲男)』(出典)。今回は「口腔清掃・歯磨き」について「歯磨きはめんどうくさき日課かな」のお話。

カエルに歯はあるの?ハイ、あります。詳しくはこちら。歯はありますが砂糖を摂取しませんのでムシ歯にはなりません。ヒトは「歯」を持ち「砂糖」を食べ「ムシ歯菌」がいますので、ムシ歯になるリスク高しです。

人にとって歯磨きは必須ルーティン(日課)です。あまりにも急激な食生活の変化アンドの理由で、もはや避けることはできません。面倒臭きことであっても必要です。そこで少しでも面倒の少ない歯磨きを考えてみました。
1)そこそこの歯ブラシを数本用意する(ホテル備え付けなどはイマイチ)
2)基本的に歯磨き粉は不要(唾液磨きがオススメ)
3)いつでもどこでも歯を磨くためのタイミングと場所を考える
4)歯磨き粉が必要とか毎食後に磨くとか決めつけない
5)歯ブラシだけが歯磨き(口腔清掃)と決めつけない
6)舌で歯の表面を舐めて汚れの有無を感じ取る

では具体的に
1)数本用意する:同じ形(できれば色違い)で構いません。一本は自宅、他に仕事場、ベッドサイド、デスクの上などに置きます。このことで、いつでもどこでも歯磨きの可能性がアップします。(周りの理解が必要ですが)
2)歯磨き粉・歯磨きペーストは不要:食器洗い洗剤とは全く意味が異なります。食器用洗剤、洗濯用洗剤の多くは油汚れに対して効果を発揮します。歯の汚れは「物理的刷掃(さっそう)」でなければ除去できません。バイオフィルム(歯の汚れ)に薬剤は効果なし。歯磨き粉使用に期待できる効果は、フッ化物添加による再石灰化。もしくは殺菌効果を持つ薬剤による菌数減少だけです。しかも歯の表面に、これら薬剤が留まっている間のみ。ウガイしたら効果はほぼゼロ。ハンドクリームをつけた直後に手を洗うのと同じ。唾液の力で磨く方がベターです。最近、唾液のこんな記事を目にしました!こちら
3)歯磨きで自己磨き、歯磨きでリラックス、歯磨きでひと呼吸・・。自宅歯磨きでオススメは湯船磨きです。湯船に浸かりながらの歯磨き、まさにゆったり歯磨き。特に冬は湯船磨きがオススメです。

4)5)決めつけない!日本では歯ブラシがメインもしくは歯ブラシさえ使えばOKのような雰囲気がありますが、国によって異なるようです。ブラジルは歯ブラシよりフロス(糸)が主役と聞きました。ジーパンのポケットに常に入れてあり、すぐ取り出して使うとのこと。繰り返しますが、歯磨き粉は必須ではありません。歯ブラシだけでは汚れを落とし切ることはできません。私事で恐縮ですがポケットに常時「ホルダー付フロスと歯間ブラシ」を携帯しています。ヒマとチャンスがあれば使います。聞いた話ですが「フランス人は食事バランスを数日もしくは一週間で考える」とのこと。なぜか日本は「その日その日」が多いようです。歯磨きを一週間単位で考えるのは無理がありますが、数日単位で「歯ブラシ・フロス・歯間ブラシ」は有りだと思います。付け足すと「ウガイ」もある程度効果はあるし、野菜や果物をガシガシ食べるのも自浄作用促進です。
6)歯の汚れは見えない(見にくい)し、汚れが落ちたか否かも見えにくい。そこで「舌」です。全ての歯の表面を舌で舐めてみてください。慣れればできます!難しいのは上下の七番目(第二大臼歯)の奥の面。慣れれば舌が届きます。次にジックリ舐めてください。「ヌルッ」としているのは汚れています。「ヌルヌル」しているのは結構汚いです。きれいな面は「スルッ」とした感触です。これは舌の機能訓練にもなりますので是非!

高校時代に「机についてするだけが勉強ではない。工夫しなさい」と言われました。単語帳を作り通学途中に覚える。壁に貼る、トイレに貼る。語呂合わせで年号を覚える等々。歯ブラシに歯磨き粉をつけて洗面で歯を磨く・・否定はしませんが、目的は歯の全ての面をきれいにすること。方法や道具や場所、時間はそれぞれで構いません。ダイエットに王道がないのと同じく「歯磨き」も十人十色です。必要なことはあなたに合った方法を工夫すること、実践することではないでしょうか。歯磨きは面倒くさくなきにけり。次にご紹介する曲をBGMに唾液磨きをリビングでどうぞ。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。


BBTime 612 ラジオ学習

「目刺焼くラジオが喋る皆ひとごと」波多野爽波

2023/04/07投稿
つい先日、鹿児島市は満開でした。今週末で「花」も終わりでしょう。句の解説は『私のようなラジオマンからすれば、句の中身は「ひとごと」じゃない(笑)。それはともかく、ラジオをつけっぱなしにして目刺しを焼いている作者は、少々ムシの居所が悪いと見た。どうせラジオは「ひとごと」ばかり喋(しゃべ)っているのだから、自分には関係はないのだから、いま大事なのは「ひとごと」じゃない目刺しのほうである。こちらに集中しなければ……。と思いつつも、少しはまたラジオを聞いてしまう。そしてまた「ひとごと」放送に腹を立て、またまた目刺しに集中する。そのうちに、しかし目刺しもラジオも「皆ひとごと」に思えてきてしまう。そんな図だろうか。目刺しは、あれで焼き方が難しい。黒焦げになったり生焼きになったりするから、これはもうしょっちゅう焼いている酒場のおばさんなどにはかなわないのである。ラジオをつけていてもいなくても、うまく焼けないので苛々する。そこで「みんなラジオが悪いのよ」と言いたくもなる作者の気持ちは、わからぬでもない。いや、よくわかる。ところで「ひとごと」は漢字で「他人事」と書く。最近のラジオやテレビでは、これを平気で「たにんごと」と読むアナウンサーやタレントがいるが、あれは何とかならないものか。「ひとごと」ながら、恥ずかしいかぎりである。『鋪道の花』(1956)所収。(清水哲男)』(引用元)。今回は新年度に合わせて「ラジオ学習」について。

四月四日甲突川武之橋付近です。小生完璧なラジオ党、理由はシンプル、テレビを所有しておりません。今週月曜(4/3)から新年度語学学習番組(NHK第二)がスタートしました。拙学習法は「聞き流し」、朝から順に「英語・ドイツ語・スペイン語・フランス語・イタリア語・中国語・英語」。常時テキスト買うのは「仏語と伊語」くらいで他は時たま。先日、知り合いの方が英語勉強開始したいとのことで、小生答えてアドバイス三つ、1)ラジオ学習を勧めます。2)最初からテキストを買わない。3)最重要ポイントは時刻(タイミング)の検証!

1)ラジオ学習:従来のラジオでも構いませんが、スマホのアプリ(らじるらじる)がベター。従来ラジオなら再放送、スマホアプリなら聞き逃し再生で聴けますが、オススメはオンタイム!理由は「聞き逃しに頼ると聴かなくなる」。2)どの番組を聴くか・テキスト購入は聴き始めてから考える:英語でもフランス語でも、番組担当講師との相性があります。講師陣の声やノリ、例文内容など、数回聴いて相性を確認してからでも遅くはありません。相性は大事です。3)タイミングの検証:一番やって欲しいことです。あなたの一日において、その語学番組をオンタイムで聴くことができるか否かの検証です。逆に言うならば、聴取可能時刻に流れる語学番組を選択すべきだと思います。

かなり前ですが、勝間和代氏の言葉です。御意!考慮すべきは「仕組みの構築」であって「やる気を出す」ことではありません。まずは一日の中でラジオ聴取が可能なタイミングを検証してみてください。小生の場合、朝のエクササイズ中にスマホアプリとワイヤレスイヤホンで聴いています。聴けなかった時は聞き逃しを利用します。スマホ+ワイヤレスイヤホンも「仕組み構築」です。

同じことが「歯磨き」にも言えます。朝でもランチ後でも晩ご飯後でも、歯磨きありきではなく、一日の中で空いた時が「歯磨きタイム」でいいのです。食後すぐ磨かないと不安な方は、食後にすべきはウガイです。手元にお茶か水があり可能ならば口を閉じての「ぶくぶくウガイ」(嗽の後はゴックン)です。もちろん歯磨きが可能であれば磨いてください。しなければならないではなく「した方が良い」で構いません。その代わり、隙間時間でも「ながら」でも良いので「唾液によるダラダラ磨き」をオススメします。唾液がダラダラ垂れる歯磨きではありません(笑)。歯磨き粉を使用せず、唾液だけで何かをしながらの「ダラダラと磨く」ことです。こちら「唾液磨き」もご参照のほど。

最後に冒頭の句の解説の中の「ところで「ひとごと」は漢字で「他人事」と書く」について、ひとごとながら気になったので確認しました。NHKでは「ひとごと」の表記は本来は「人事」で、加えて「ひと事・ひとごと」のようです。詳しくはこちらを。ではでは皆様、ご歯愛のほど。

ご冥福をお祈りします・合掌

BBTime 604 おやつ堂始動

「将来よグリコのおまけ赤い帆の」清水哲男

2023/02/10投稿
二月に入った途端、忙しくなってきました!いよいよ今月23日(天皇誕生日)おやつ堂始動です。句の解説は『子供の頃、なけなしの小遣いをはたいて、せっせとグリコを買っていた時期がある。告白すれば「おまけ」が欲しかっただけで、飴をなめたいわけではなかった。現代のグリコは知らないが、敗戦直後の本体はそれほど美味ではなかった。後に熱中した「紅梅キャラメル」(こちらの「おまけ」は巨人選手カード)も同様だった。「おまけ」の小箱にはさまざまなセルロイド製の玩具が入っており、取り出す瞬間のゾクゾクする気分がたまらなかった。「なあんだ」とがっかりしたり、「やったあ」と大満足したりと……。それだけのために、全財産(!)をはたいていた。そうした子供の熱中を思うにつけ、どんな子供にも「将来」があるのであり、でも「将来」にはグリコの「おまけ」ほどの保証もないことを思い合わせると、まことに切ない気分になってくる。本物の赤い帆が待ち受けている子供など、皆無に近いのだから。そんな思いから発した句なのであるが、飛躍し過ぎだろうか。……し過ぎでしょうね。なお、この句は筑摩書房『グリコのおまけ』に再録されている。掲載に当たって編集者が必死に「赤い帆」のおまけを探してくれたが、見つからなかった。したがって、句の写真には赤白模様の帆のヨットが使われている。「赤い帆」のおまけは実在しなかったのかもしれない。『匙洗う人』(1991)所収。(清水哲男)』(解説より抜粋)。おやつ堂は黄色い帆、船出間近!

改めて「ムシ歯予防カフェおやつ堂」とは?・・文字通り「ムシ歯予防」を目的としたカフェです。「ムシ歯予防」を謳っている根拠は? 飲み物メニュは全て砂糖ゼロ。メインの「そんなバナナジュース」=生バナナ+牛乳+隠し味の果汁100%ジュース、で砂糖なし。コーヒー、緑茶、抹茶、ワインも砂糖ゼロ。しかしそれだけで「ムシ歯予防カフェ」とは言えません!仕掛けがあります。メンバーの方はビジターよりも安い料金設定でカフェを利用できますが、メンバー義務があります。義務とは「最低でも月に一度はプロから「歯磨き指導」を受けること」。月に一度は歯磨き指導を受けていただく事により、ムシ歯予防を実効性あるものとします。月に一度と言わず、メンバーの方は来店時毎回「歯磨き指導」を受ける権利があります。(最低でも)月に一度の歯磨き指導を受ける事により、メンバー資格を保持できます。その月に歯磨き指導を受けなかった場合は、翌月よりメンバーではなくビジターとなります。

そもそもなぜカフェで歯磨き?・・こんな経緯があります。
1「ダイエットレストラン」:ジョギングしたり、ジムに通ったりとダイエットに勤しんでいた時に、ふと「入店前と店を出る時と、体重が1グラムたりとも増えないレストランがあったなら、味はイマイチでも流行るんじゃないの」と思いました。現実的には無理ですが・・閃きました。歯科ならできる!入店前より口の中がキレイになって店を出る!思いついたら即実行で十年ほど前(2011年)、天文館に「歯のクリーニング専門店」を開きました。しかし約十ヶ月で閉店。後になって理由がわかりました。開店したのは「クリーニング店」であって「クリーニングレストラン」ではなかったのです。メインになるものが何もなかったのです。歯磨きがメインになると信じていました。
2「ムシ歯予防カフェおやつ堂」:クリーニング専門店閉鎖後、勤務医として働きながら自問自答の毎日。巷では「美味しい店」「美味しいスイーツ」などグルメ情報が年がら年中花盛りです。美食と歯は隣同士。歯が健康でないとグルメは楽しめません。美食と歯をどうにかして繋ぐことはできないだろうか?この問いへの答えが「ムシ歯予防カフェ」・・カフェでムシ歯予防・・カフェに来られたお客さんで希望される方の歯をプロが磨く「歯は磨いても、もらうもの」の実践です。ムシ歯予防カフェ「おやつ堂」は2023年2月開店準備中です。(引用元はこちら

「Mark Twain:マーク・トゥエイン」です。好きな言葉が
Twenty years from now
 you will be more disappointed by the things
you didn’t do than by the ones you did.
So throw off the bowlines,
sail away from the safe harbor.
Catch the trade winds in your sails.
Explore. Dream. Discover.
今から20年後、あなたは
やったことよりもやらなかったことに失望する。
ゆえに、もやい綱を解き放ち、
安全な港から船を出し、
貿易風に帆をとらえよ。
探検せよ、夢を見よ、発見せよ。

おやつ堂のシステムは?・・入り口から出口までカフェです。メインは飲み物「そんなバナナジュース、コーヒー、抹茶、緑茶、ワイン、酢ぺシャルリンゴジュース」があります。サブのスイーツは有名店のパンやケーキ、取り寄せ和菓子、ドーナツなどです。いずれも賞味期限が短いのでいつもあるとは限りません、来店時に「今日のスイーツ」をご確認ください。また、おやつ堂インスタグラムでも随時紹介いたします。スイーツはドリンクとのセット注文となります。
 価格はメンバーとビジターのふた通り、メンバー価格の方が百円安い設定ですので、是非メンバーになられることをお勧めします。取り寄せスイーツには、購入価格に送料と手数料で約200円上乗せしてあります。
 開店は金土日月の四日間です。火水木は休みですが、近いうちに火曜と木曜もオープンする予定です。朝10時開店、夜19時閉店となります。駐車場三台分がありますのでご利用ください。臨時の休みなど、いろいろな情報を「おやつ堂」インスタグラムoyatsu.doにアップします、ご参照の程。また過去ブログ「BBtime579 そんなバナナジュース」「BBTime575 おやつどう?」「BBTime594 やりたいこと」も是非お読みください。では皆様ご自愛の程ご歯愛の程、おやつどう?

BBTime 603 プラーク三種

「木瓜咲くや漱石拙を守るべく」夏目漱石

2023/1/27投稿 1/29追加
画像は木瓜(ボケ)。名の由来は『果実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが「ぼけ」に転訛(てんか)したとも、「木瓜(ぼっくわ)」から「ぼけ」に転訛したとも言われる。『本草和名』(918年)には、果実の漢名を木瓜(もくか)、和名を毛介(もけ)として登場する』Wikipediaより。句の解説には『花そのものではなく、木瓜(ぼけ)という語感に着目した句だ。「拙を守る」とはへんてこな意志と思われるかもしれないが、漱石のような才気横溢した人にとっては、おのが才気のままに流れていくことは、たぶん怖いことだったのだろう。才気には、知らず知らずのうちに現実から遊離してしまうという落し穴がある。小説家にしてみれば、この穴がいちばん恐ろしい。だから、どうしても「拙を守る」強固な意志を持ちつづける必要があった。「世間には拙を守るという人がある。この人が来世生れ変るときっと木瓜になる。余も木瓜になりたい」(『草枕』)。そして漱石ならずとも、現代人の多くはいま木瓜になるべきときかもしれない。シャープという名の小賢しさが一掃されたら、どんなに気持ちがよいことか。私が俳句を好むのも、俳人には「拙を守る」人がたくさんいるからである。とは、それこそまことに小賢しい言い方かもしれないが……。『漱石俳句集』(岩波文庫)所収。(清水哲男)』(解説より)。わかるようなわからないような解説ですが、今回はプラークと認知症について。

これがボケの実、確かに瓜に似てます。歯科でプラークと言えば「歯の表面の白っぽい汚れ・付着物」のことです。『プラークは歯垢やバイオフィルムとも呼ばれています。プラーク=食べカスだと思われる方も多いのですが、プラークと食べカスは全くの別物です。プラークは、歯の表面に、お口の中にいる菌が付着し増殖した物、つまり細菌の塊です。キッチンの三角コーナーや排水溝についたヌルヌルとしたぬめりをイメージしてもらうとよいでしょう。この中に、むし歯菌や歯周病菌など様々な菌が生息しているのです』(引用元)。ご存じでしょうか?このプラークは歯磨き粉(ペースト)の力では落ちません。歯ブラシによる物理的除去のみで取り除くことができます・・これが歯科のプラーク。

拙ブログ「BBTime 301 シセキ巡り」に登場するのが、銘板(めいばん)の意味のプラークです。『画像は「The Pioneer Plaque:パイオニアプラーク」と呼ばれる銘板で「この金属板は1972年1973年に打ち上げられた宇宙探査機パイオニア10号11号に取り付けられた銘板で、人類からのメッセージを絵で記したものである」(ウイキペディアより)。プラークとは「銘板」のことでもあります。夏目漱石関連のプラークもロンドンにあります。銘板:めいばん=小型の平板に銘柄(仕様)を表示したものである。銘柄を表記する板、またはプレート、コーションラベルのこと。』・・プラーク二つ目。

順序が逆になりましたが、これが「パイオニアプラーク」詳しくはこちらを。先日、記事の中に三つ目のプラークを見つけました。「この病気の特徴は脳にタンパク質のプラークが現れることだ」・・この病気とはアルツハイマー病です。記事『「認知症になりたくなければデンタルフロスを習慣にしたほうがいい」北欧の分子生物学者がそう説くワケ』に詳しく書かれています。

『この病気の特徴は脳にタンパク質のプラークが現れることだ。このプラークはアミロイドβと呼ばれるペプチド(鎖状につながったアミノ酸)が凝集し、小さな塊になったものだ。この塊ができる理由はわからないが、これが脳内で炎症を引き起こし、やがて脳細胞を死滅させる』(引用元)。
『微生物の培養液にアミロイドβを入れると微生物が死ぬことを科学者たちは発見した。アミロイドβは微生物の周りに凝集し、無力化して息の根をとめるのだ。さらには、念のため、厳重に保存する。このみごとなメカニズムが起きるのは実験室で培養した微生物に対してだけではない。・・・マウスの脳に細菌を注入するとアミロイドβはさっそく活性化し、細菌の周りに集まって塊を作る。そのため、アミロイドβを持つマウスは細菌を注入されても生き残りやすいが、アミロイドβを持たないマウスは細菌によって死ぬ。さらに、アルツハイマー病の遺伝子研究から、この病気の発生に免疫システムが何らかの役割を果たしていることがわかっている』(引用元)。

『アルツハイマー病に微生物が関与しているという決定的な証拠があるのだ。残された謎は、その微生物の正体だ。・・・台湾で行われたある研究が、最も疑わしい容疑者を突き止めた。この研究者たちは、ヘルペスウイルスの感染者が抗ヘルペス薬を服用しなければ、非感染者の2.5倍もアルツハイマー病になりやすいことを発見した。抗ヘルペス薬はヘルペスウイルスを抑制し、興味深いことに、アルツハイマー病になるリスクも正常レベルに戻す。また、アルツハイマー病で亡くなった患者の脳組織にはヘルペスウイルスの痕跡が大量に見られるが、対照群の脳には見られない。これを複数の研究グループが確認したことはヘルペスウイルス説を補強する』(引用元)。
『2番目の容疑者になる細菌は通常、口中に棲んでいるポルフィロモナス・ジンジバリス(P・ジンジバリス)だ。P・ジンジバリスもアルツハイマー病で亡くなった患者の脳組織で見つかっている。この細菌は歯周炎と呼ばれる口の中の深刻な炎症を引き起こすことがある。そして歯周炎はアルツハイマー病(と心血管疾患)のリスクの高さと関連がある。・・・実際、60代の高齢者、8000人を対象として歯科検診を行った研究では、歯周病になっている人は20年後に認知症になるリスクが高いことがわかった。因果関係があるかどうかはともかく、デンタルフロスは有益だ』(引用元)。

簡単におさらいすると
1)口腔内にプラークが常に多いと歯周病が悪化します。
2)歯周病菌が血液によって脳内に運ばれます。
3)歯周病菌を攻撃するために脳内にアミロイドβが現れ蓄積します。
4)アミロイドβプラークがアルツハイマー病発症に繋がります。
日々の臨床で、時に「歯石取りは必要ない」とおっしゃる方がいらっしゃいます。無理強いはしませんが、一言「認知症のリスクが高まりますよ」とは伝えます。歯を磨けばリスクを減らせるのか?・・そうです。そうですが、ご自分で完璧に磨くことは至難の業。繰り返し言います「歯は、磨いてももらうもの」。歯磨きとカフェのコラボ、ムシ歯予防カフェ「おやつ堂」が来月下旬、鹿児島市荒田1丁目にオープンします。詳しくは「おやつ堂」インスタグラムをご参照ください(おやつ堂:oyatsu.do)、近づきましたら情報をアップします。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。今回は、先日亡くなられた二人のミュージシャンへの哀悼の意を表して。

追加:この記事は、コペンハーゲン大学(デンマーク)在籍の研究者が書いた「寿命ハック」をもとにしています。デンタルフロスだけがクローズアップされていますが、歯ブラシによるブラッシングはほぼOKで、加えてフロスであると理解してください。日本人の方が口の中の汚れは多いです、恐らく。「デンタルフロスを習慣にしたほうがいい」を日本人向けに翻訳するならば「こまめに歯科に通ってプロにキレイにしてもらった方がいい」となるでしょう。最後にしつこく(笑)「歯は磨いても、もらうもの」!

BBTime 593 磨きの真実

「焼芋を二つに折れば鼻熱し」吹田孤蓬

2022/10/24投稿 10/27リンク追加
焼き芋好きです、近頃食べてません。まずは句の解説『そのまんまの句。たしかに、焼芋は二つに折ってから食べる。折ると、湯気が鼻をつく。その一瞬をとらえた微笑ましい作品だ。いますぐに、焼芋を食べたくなった読者もいるのではないだろうか。私は、あまり食べない。ここ数年間は口にした覚えがない。なにせ戦後の食料不足時代に、芋ばかり食べていたので、どうしても当時のみじめな記憶が甦ってきて、食欲とは結びつきにくいからだ。最近、近くの武蔵野一中の創立五十周年記念スライドのためのシナリオを読んでいたら、弁当の中身は「芋だけだった」という記述に出会った。というわけで、わが世代は芋や南瓜には弱いのである。それと、焼芋を買って食べるという発想にもなじめない。とてつもない贅沢をするようで、後ろめたい思いがする。貧乏根性も、しっかり身についているらしい。(清水哲男)』(解説より)。今回は前回「足るを知る」を補足する内容です。雑誌Tarzan最新号(No.844)から。

仕事柄どうしてもこのような表紙に目が止まります。不思議なことに、この手の特集は「目と歯」のペアが多いようです。中身の多くは既に多くの方が周知していることですが、二箇所「ズバリ」真実が書いてありました。一箇所目は34ページ上段の「歯磨きは難しいです。歯医者さんや歯科衛生士が自分の口の中を完璧に磨き上げるのに15分かかるといわれているくらいです。それは無理としても、最低限これだけは必要という方法をお教えしますね」これは真実です。言い換えれば「歯科医師、歯科衛生士以外の普通の人には完璧磨きはできませんよ」となります・・これ真実です。もう一箇所あります!

同じページの下段に「プラークは洗口剤では取れません」とあります。言い換えれば「洗口剤や歯磨き粉を使ってもプラーク(歯の汚れ)は落ちません、歯ブラシで汚れを物理的に落とすことが唯一の方法です」

補足します。まずひとつ目の真実「普通の人には無理」・・なぜか?理由のひとつは解剖の知識の差です。歯科医師、歯科衛生士は歯の解剖を習っています。歯の形をしっかりと把握しています。歯の形態が隅々までわかるからこそ、全く見えない口の中の自分の歯を隅々まで磨くことが可能なんです(もちろん把握していない歯科医師・衛生士もいますが)。

二つ目の「洗口剤では取れません」・・今まで書いていますように「歯の汚れを落とすのは歯ブラシによる物理的除去のみ」です。洗口剤や歯磨き粉はほんの少し手助けはしますが、これら薬剤でプラークは落ちません。びくともしません!歯の汚れ=バイオフィルムについて詳しくは「鰯の頭も!」もどうぞ。

よって「歯は、磨いてももらうもの」・・これが最も効果のある(エビデンスのある)予防法です。しつこいですが「歯は磨いても、もらうもの」!・・ハイハイ、あんたの言う事はわかった、ではどこで磨いてくれるの?・・いい質問です。余談ですが上の画像は「歯磨き達磨」。
1)かかりつけ歯医者を持つ方は・・おそらく数ヶ月(多くは三ヶ月)ごとにメンテナンスに通ってらっしゃると思います。可能ならば次回「月に一度、磨いてほしい」と言ってみてください。多分「OK」だと思います。もちろん保険でカバーできます。月一回がオススメです。
2)かかりつけの無い方・・早速かかりつけを見つけましょう。

3)「んー歯医者には行きたくないなぁ」の方は・・しばしお待ちを、来年2月(2023/02)にムシ歯予防カフェ「おやつ堂」を開きます。バナナジュースやスイーツを楽しみながら予防可能です(1号店は鹿児島市)。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 592 足るを知る

「鯛焼のあんこの足らぬ御所の前」大木あまり

2022/10/20投稿
最近「鯛焼」食べてません。解説は『朝夕はだいぶ冷え込むようになってきた。辛党の私でも、ときどき街でホカホカの鯛焼きを食べたい誘惑にかられるときがある。まして、作者は女性だ。旅先の京都で鯛焼きを求めたまではよかったが、意外に「あんこ」が少なかったので、不満が残った。庶民の食べ物とはいえ、さすがにそこは京都御所前の鯛焼き屋である。上品にかまえているナ、という皮肉だろう。それにしても、御所の前に鯛焼き屋があったかなあ。どなたか、ご存じの方、教えてください。ついでに「あんこ」の量についても。無季。『雲の塔』所収。(清水哲男)』(解説より)。てっきり「鯛焼」が季語で、晩秋か冬と思っておりました。さて今回は「足らぬ」が完成形なのだ!のお話。

ほぼ毎日アクセスする「今日のダーリン」10/15付は、
『・「たいしたことないやつ」としてのじぶん。それは、とても本気で思っていることだ。謙遜とか腰が低いとか、ぜんぜんそういうことじゃない。ほんとうに、ただ「たいしたことないやつ」なのだ。
 いい人ぶって言ってるのでない証拠に、こう続けよう。じぶんばかりでなく、だいたいほぼすべての人が「たいしたことないやつ」なんだと思っている。天才と呼ばれる人も、偉人と言われている人も、立派な人も、博愛の人も、大物も、超人も、みんなどの人だって、ずうっと近くにいたらなにかしら弱いところだとか、欠点やら嫌なところがある。
 近くにいる人にさえわからないとしても、そのご当人が、おそらくじぶんが「たいしたことないやつ」であることをわかっていることだろう。ご本人が「なにを言うか、わたしはたいしたものだ」と言い返してきたとしたら、それはそれでもう、「たいしたことないやつ」の資格は十分だよね。
 人間だもの。っていうか、人間なのだから。人間というのはそんなにたいしたものじゃない。人間は「たいしたことないやつ」が完成形なのだ。』

『天才も偉人も王様も、「たいしたことないやつ」なりに、あれやこれやにがんばったりしたというだけのことだ。すごいことやったにしても、毎日毎時ひっきりなしにすごかったわけじゃないに決まってる。寝たり食ったり厠にでかけたりしている時間は、少なくともたいしたことはしていないだろうよ。それは、とても当たり前のことだ。

 ぼくも、けっこう長いことまちがえていた。若いときは「たいしたことないやつ」だということを、なかなか認めたくなかったような気がする。
 さて「たいしたことないやつ」だと、なにもできないのか? ぜんぜん、そんなことはない、すっごくいろいろできる。人にやさしくもできるし、でっかいことだってできる。
 あの建物も、あの仕組みも、あの発明も、あの演劇も、さまざまな「たいしたことないやつ」が集まってつくった。みんなが「たいしたことないやつ」で、ピカソだとか、ウサイン・ボルトだとかも、そのなかのひとりなのだ。ぼくもきみも「たいしたことないやつ」のひとりなのだ。

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。再度言う。人間は「たいしたことないやつ」が完成形なのだ。』

最後の文章『人間は「たいしたことないやつ」が完成形なのだ』を言い換えれば、「足るを知る」でしょう。この言葉、よく使われる意味は「身分相応の満足を知ること。身分という言葉を聞くと、社会的な地位を連想するかもしれませんが、このことわざでは自分の置かれた立場や今の状況などを指しています」(引用元はこちら)。小生の「足るを知る」の解釈は少し違っており、ほぼ日にあるように「未完成が完成形である」が現実であり、「人において完全はない、パーフェクトはない」です。

さて本題・・「歯は、磨いてももらうもの」なんです。足りないのが本来の姿、ご自身で完璧にできることはおそらく何ひとつ無いのです。当然、ご自分の口の中を完全に磨く、キレイにすることは無理難題不可能なこと。ゆえに「歯は磨いても、もらうもの」。お子さんだけではなく、いくつになっても仕上げ磨きが必要なんです、本当は。仕上げ磨きが最も効果のあるムシ歯予防法なんです!

では、なぜ大人は仕上げ磨きをしてもらえないのか?それは構図が出来上がってしまったからです。「歯は自分で磨くもの」「歯磨き粉は使うもの」「歯は洗面で磨くもの」「歯医者は治療するだけ」等々。イメージしてください・・もし、高校生が親に仕上げ磨きしてくださいと言ったら・・「自分で磨きなさい」「あなた幾つ」「そんなみっともない」。では髪の毛はどうでしょう、床屋・美容室に行って「髪切ってください」と言ったら「はい喜んで!」となるでしょう。同じです、理由は自分で完璧に磨けないから。この話で伝えたかったことは「人は不完全である」「歯は、磨いてももらうもの」の二点です。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 587 しゃぼんだま

「水金地火木土天海冥石鹸玉」守屋明俊

2022/9/9重陽の節句 明日9/10は中秋の名月
石鹸玉の読みは「しゃぼんだま」春のようです。解説は『季語は「石鹸玉(しゃぼんだま)」で春。「水金地火木土天海冥(すい・きん・ち・か・もく・ど・てん・かい・めい)」は、水星から冥王星まで,惑星を太陽に近い順に並べた覚え方だ。昔,小学校の教室で習った。先生は「ど・てん・かい・めい」と平板に流さず,この部分を「どってんかいめい」とまるで一語のように発音されたことを覚えている。とかくあやふやになりがちな後半の部分を,強く印象づけようという教授法だったのだろう。おかげて私たちは、惑星というと、前半よりもむしろ「どってんかいめい」のほうに親近感を覚えることになった。さて、掲句。楽しい連想句だ。いくつも「石鹸玉」が飛んでいるのを眺めているうちに,作者はふっと「どってんかいめい」を思い出したのだろう』(一部抜粋)。前回「BBTime 586 惜しい惜しい」の補足のお話。ちなみに冥王星は惑星ではなくなりました(2006年)。

さて上のイラストは石鹸などを使うと汚れが落ちるメカニズムを表しています。界面活性剤(かいめんかっせいざい)という言葉を耳にされたことがあると思います。コロナウイルス完成拡大防止で盛んに石鹸などでの手洗いが推奨された理由でもあります。『界面活性剤は、界面(物質の境の面)に作用して、性質を変化させる物質の総称です。構造としては、1つの分子の中に、水になじみやすい「親水性」と、油になじみやすい「親油性」の2つの部分を持っています。この構造が、本来、水と油のように混じり合わないものを、混ぜ合わせるのに役に立ち、汚れを落とす洗浄の働きをするのです。代表的なものに石鹸(脂肪酸塩)があります』(引用元はこちら)。界面活性剤の働きによって汚れは落ちやすくなります。先に結論を申しますと・・なんと!歯の汚れは落ちません!歯の汚れ(バイオフィルム)は物理的刷掃、すなわち歯ブラシの毛先で磨いて落とさないと取れないのです!繰り返します、歯磨き粉を使っても歯の汚れは落ちません!こちらもどうぞ。

では、なぜ歯磨き粉を使うの?・・答えは「(初めは)歯磨き粉を買ってもらうためです」(詳しくはこちら)。なぜ歯磨き粉ペプソデントは売れたのか?「クエン酸とともに一定量のミント油などの薬品が含まれている」「ひんやりした刺激さえあれば、口の中がきれいになった気がします。刺激があるからといって洗浄力が上がるわけじゃありません。ただ、効果があるという気にさせてくれるんです」(引用元は「習慣の力」)。

では歯磨き粉の役割は?手を洗った後のハンドクリームと同じです。歯の表面をいたわる、歯茎に対する歯周病予防効果などです。画像の歯磨き粉は大人の方にオススメで、メーカーサイトには 
1.4つの薬用成分を配合し、歯周病を防ぎます。
2.ラウロイルサルコシンナトリウムが浮遊菌を殺菌し、口臭を予防します。
3.フッ化ナトリウムを1450ppmF配合。再石灰化を促進し、ムシ歯の発生と進行を防ぎます。
4.粘性の高いジェルなので、歯肉や歯周ポケットに薬用成分が長くとどまります。
5.弱ってきた部位をやさしく、じっくりみがける研磨剤無配合組成です。」とあり、「研磨剤無配合」研磨剤は入ってません、と明記してあります。

まとめます。歯磨き粉使用はハンドクリームと同じで、歯を磨いた後に使ってください。まず、うがいをして唾液磨きを最低でも2分以上行います。磨いた後に歯磨き粉をほんの少し(小豆大から大豆大)つけて、歯に満遍なく行き渡るように塗り付け、うがいはしません。歯磨き粉の混ざった唾を吐き出して終わりです。どうしてもはじめから歯磨き粉を使いたい方は、途中や最後にうがいは禁物です。勿体無いです。

くどい様ですが、歯磨き粉には石鹸のような汚れを落とす作用はありません。磨いた後の歯や歯茎をいたわる成分が入っています。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 586 惜しい惜しい

「閑さや岩にしみ入蝉の声」松尾芭蕉

2022/9/3久しぶりの投稿
お久しぶりです。これほどまでに間隔があいたのは初めてです。さて前回の「惜しい欲しい」の続きです。まずは少々季節外れですが句の解説から『芭蕉のあまりにも有名な句ゆえ、ここに掲げるのは少々面映いけれど、夏の句としてこの句をよけて通るわけにはいかない。改めて言うまでもなく『おくのほそ道』の旅で、芭蕉は山形の尾花沢から最上川の大石田へ向かうはずだった。けれども「一見すべし」と人に勧められ、わざわざ南下して立石寺(慈覚大師の開基)を訪れて、この句を得た。「山上の堂にのぼる。岩に巌を重ねて山とし、松栢年旧、土石老て苔滑に、岩上の院々扉を閉て、物の音きこえず。云々」と記してこの句が添えられている。(中略)天地を結ぶ閑けさとただ蝉の声、それは決して喧騒ではなく澄みきった別乾坤だった。あたりをびっしり埋め尽くした蝉の声に身を預け、声をこぎ分けるようにして、汗びっしょりになりながら芭蕉の句を否応なく体感した。奇岩重なる坂道のうねりを這い、途中の蝉塚などにしばし心身を癒された。芭蕉の別案は「山寺や石にしみつく蝉の声」だが、「しみ入」と「しみつく」とでは、その差異おのずと明解である。』(解説より抜粋)。小生、週に一度坐禅をします。八月は三回、一回目は「まさに蝉時雨」、二回目は「ひたすら雨音」、三回目は「無音」でした。尤も無音とはいえ早朝の街の音は流れてきます。一回目「蝉時雨坐禅」終了時、なんとも言えぬ心地良さでした。ここまでは枕、もうひとつよくご存じの句。

「古池や蛙とび込む水の音」松尾芭蕉
解説は『俳句に関心のない人でも、この句だけは知っている。「わび」だの「さび」だのを茶化す人は、必ずこの句を持ち出す。とにかく、チョー有名な句だ。どこが、いいのか。小学生のときに教室で習った。が、そのときの先生の解説は忘れてしまった。覚えておけばよかった。どこが、いいのか。古来、多くの人たちがいろいろなことを言ってきた。そのなかで「実際この句の如きはそうたいしたいい句とも考えられないのである。古池が庭にあってそれに蛙の飛び込む音が淋しく聞えるというだけの句である」と言ったのは、高浜虚子だ(『俳句はかく解しかく味う』所載)。私も、一応は賛成だ。つづけて虚子は、この句がきっかけとなって「実情実景」をそのままに描く芭蕉流の俳句につながっていく歴史的な価値はあると述べている。この点についても、一応異議はない。が、私は長い間、この句の「実情実景」性を疑ってきた。芭蕉の空想的絵空事ではないのかと思ってきた。というのも、私(田舎の小学生時代)が観察したかぎりにおいて、蛙は、このように水に飛び込む性質を持っていないと言うしかないからだ。たしかに蛙は地面では跳ねるけれど、水に入るときには水泳選手のようには飛び込まない。するするっと、スムーズに入っていく。当然、水の音などするわけがない。そこでお願い。水に飛び込む蛙を目撃した方がおられましたら、ぜひともメールをいただきたく……。(清水哲男)』(解説より)。先日カフェでの話に、この句が登場。一説によると、この句の元は「禅の公案」とのこと。公案とは老師が雲水に出す問題のことです(詳しくはこちら)。

おそらく学校では「古池があって蛙が飛び込み・・チャポン」のような場面を句にしたと習われたことでしょう。先程の「一説」が源だとすると、それはそれは深遠な解釈が必要な一句なのです。難解ですのでそのまま引用します(引用元はこちら)。
『松尾芭蕉の句集『春の日』に以下の有名な句があります。
古池や 蛙飛びこむ 水の音
一説では根本寺(現在の茨城県鹿島)住職の佛頂和尚のもとで臨済禅に参じた折の一節が元になっていると伝わっています。根本寺と鹿島神宮の間で領地争いが起こり、佛頂和尚は末寺であった臨川庵(深川。現在は臨済宗妙心寺派臨川寺)に幾度となく滞在していました。和尚の滞在中に芭蕉が訪れ、参禅を重ねていたようです。佛頂和尚が尋ねました。如何なるかこれ、青苔未生以前の本来の面目。
青々とした苔が生き生きとしているけれど、苔が発生する以前の本来の面目とは何か?)すると芭蕉は、 
蛙飛びこむ 水の音
と答えたと伝わっています。この公案は、
父母未生以前の本来の面目
(お前の両親が生まれる前の、お前の本来の面目とはなんだ?)という形で、円覚寺の釈宗演老師に夏目漱石が参禅したことでも知られています。両親が未だ生まれていない時の自分とはなにか?と問われても、常識や知識では答えに窮します。けれど立ち止まって自分という存在を考え直すと、両親にとどまらず、大きな生命の流れの中に端を発していることに気づきます。大きな生命そのものが、即今みずからの中にあることを心身で知覚することが肝要だと、この公案から知ることができます。蛙が池に飛び込む音はどの時代でも不変の音ですので、芭蕉はこの公案に 蛙飛びこむ 水の音 と応えたのもかもしれません。』(引用元)。すなわち「蛙飛び込む水の音」が先に出て、後から「古池や」がついて俳句となったのかも知れません。

この伝え通りに句を解釈するならば、清水哲男さんの解説文にあるように『するするっと、スムーズに入っていく。当然、水の音などするわけがない。』と、これは正しい!理解しているようで、全くもっての頓珍漢(トンチンカン)も多々あるようです。さてやっとタイトルの「惜しい惜しい」歯磨き粉の使い方について。カルノオススメは「最後にちょびっと、うがいはしない」です。まずは現在の歯磨き粉(歯磨きペースト)の原型とも言える「ペプソデント」について。

ペプソデントがアメリカで発売されたのが1915年、1914年7月28日第一次世界大戦勃発です。ペプソデントは世界大戦がきっかけとなって世に出ました。拙ブログ「BBTime 435 ハミガキ」から引用します。『しかし、そのホプキンスも旧友からペプソデントを持ち込まれたときには、あまり興味を示さなかった。アメリカ人の歯の健康状態が急速に悪化していることは周知の事実だった。国が豊かになるにつれて、人々は甘い加工食品を大量に購入するようになっていた。第一次世界大戦の徴兵が始まったとき、あまりに多くの新兵にムシ歯があったため、口腔衛生に対する意識の低さは国家の安全を脅かす問題だという政府見解が出されたほどだ』(57-58頁より)。『問題は、歯磨きの習慣がないこの時代には、ほとんど誰も練り歯磨きを買わないことだった。口腔衛生が国家の問題となっても、誰も歯を磨かなかったのである』(引用元)。・・今から100年以上前に現れたのがハミガキペーストなんです。しかもペプソデントの目的は、なんとズバリ!ムシ歯予防効果の無いこのペーストを「使用させること・消費させること」が目的だったのです(詳しくは本「習慣の力」93ページ参照のこと)。現在のペーストには大方「ムシ歯予防効果のあるフッ化物」と「歯周病予防効果を期待する成分」が入っています。こちらの記事も参照ください。

100年たった今、正しい歯磨き粉(ペースト)の使い方を伝えます。まず、まともに作られた歯ブラシ(ホテルにある無料歯ブラシはおすすめしません)だけで磨きます。ブラシを口に入れるとすぐに唾液が出てきますので、唾液磨きをおすすめします。電動歯ブラシも同じです。一通り(3分から5分はかかります)磨いた後に、ペーストをほんの少し、3ミリから5ミリ程度で十分ですのでブラシに着けて、磨くというより歯に塗っていきます。唾液と混ざって歯全体、口全体に行き渡ったら、吐き出して終わり。うがいはすすめません。お風呂上がりに手にクリームを塗った後、もう一度手を洗いますか?洗わないでしょ、同じです。うがいしたらペーストの薬効成分が流されてしまいます。惜しい惜しい。

とは言え、この文章を読んで即実行に移す人は少ないでしょう。「雀百まで踊り忘れず」です、なかなか身についた習慣は変えられないもの御一考ください。では皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 581 週一回

「雨蛙めんどうくさき余生かな」永田耕衣 

2022/7/7投稿
鹿児島はあっという間の梅雨明けでしたが、戻り梅雨の昨日今日です。句の解説には『耕衣、七十代後半の句。雨蛙の体の色は葉の上など緑のなかでは緑色をしているが、木の幹や地上に下りると途端に茶色に変色する。保護色の好例として、小学校の教室でしばしば引き合いに出されてきた。人間には保護色はないのだけれど、考えてみれば、状況に応じて態度を変えるなどしているわけで、心理的精神的な保護色はあると言わなければなるまい。ただし雨蛙が自然に体色を変えられるのとは違って、私たちの場合は、意志的にそれをする必要がある。そこが実になんとも「めんどうくさい」と感じることになる年代が「余生」だと、作者は述べている。きょとんとした雨蛙と、何もかもを面倒くさく感じはじめた俳人との取り合わせは、ペーソスの味を越えた不思議な明るい世界に通じているとも読める。』(抜粋)。面倒くさくてもオススメしたい「週一回」についてのお話。

「風邪は万病のもと」と耳にしますが、今回のニュースは「歯周病は万病のもと」です。記事『「口腔ケア」で万病のもとになる歯周病の発症を抑制、生涯医療費を1千万円減らせるとの試算も』を目にしました。記事冒頭には「調査によると、歯や歯茎などの正しいケアをすることで、私たち1人ひとりの生涯医療費が1千万円以上も抑えられる可能性があるという。」1000万円と聞くと「エッ」と思いますが、さらに「この金額を1日あたりに換算すると、17万5600円÷365日=約481円となります。つまり、歯を20本以上キープする歯のケアを続けるだけで、毎日約500円もの医療費を得することになるのです。」これはかなり驚きです。では拾い読みしてみましょう。

『その中で、日々、口腔内のケアによって認知症の症状が改善したり回復していく患者さんたちを目の当たりにしているのですが、先日、かなり驚いたことがありました。 私が訪問診療を担当するグループホームに、週に1度、歯科衛生士さんにも口腔ケアに入ってもらうことにしました。すると、あるとき介護の現場の方がふと気づいたのです。「この1年半、誰も退所する人がいなかった」と。 このことは、18人の入居者のうち1人も、状態が悪化することも亡くなることもなかったことを意味します。 一般的なグループホームでは、月に1人くらいは重症度が高くなってしまって入院したり、亡くなられたりする方がいらっしゃるのが普通ですから、これはかなり驚異的なことです。 当初は、「毎週の口腔ケアは、さすがに多すぎませんか?」と言っていたスタッフや患者さんのご家族も、口腔ケアの重要性を再認識したようです。』(記事より抜粋)

『では、どれくらい医療費が抑制されるのか。 具体的に計算すると、適切な口腔ケアを行うことで、なんと1人あたりの生涯医療費が1千万円以上も安くなる可能性があるのです。 日本歯科医師会が、全国の40歳以上、約1万9000人を対象に行った調査では、残っている歯の数が20本以上ある人は、0~4本の人よりも、年間の医療費が平均で17万5900円も低いという結果が出ました。 この先、日本人の寿命は延び続け、2050年には日本の100歳以上の人口が100万人を突破すると推計されています。もし100歳まで生きるとして、歯周病菌が増え始める40歳以上から100歳までに60年間分の医療費の差額を計算すると17万5900円×60年=1055万4000円となります。 ちなみに、この金額を1日あたりに換算すると、17万5600円÷365日=約481円となります。つまり、歯を20本以上キープする歯のケアを続けるだけで、毎日約500円もの医療費を得することになるのです。』(記事より抜粋)。

記事は続きます『口内環境の悪化がさまざまな全身疾患にもつながる原因は、大きく3つあります。①歯周病菌の影響 ②歯を失うことによる脳の血流不足 ③歯を失うことによるタンパク質不足』・・それぞれについて。
『①の「歯周病菌の影響」は、35歳前後から増大し、40代になるころには進行の差こそあれ8割もの人が歯周病を発症します。歯周病は、風邪などと違って自然治癒しません。  その歯周病菌がもとになって生成される「アミロイドβ」が、血管を通じて運ばれて脳内で記憶を司る「海馬(かいば)」を中心に少しずつ溜まっていき、これが、アルツハイマー型認知症を発症させたり、悪化させたりする原因となることがわかっています。ちなみに、アミロイドβが脳内に溜まって認知症を発症するまでには、25年ほどかかると言われています。  また、歯周病菌が出す毒素の影響でつくられる炎症物質「サイトカイン」が血管を通じて全身に放出されることにより、インスリンが効きにくくなって「糖尿病」が発症・進行しやすくなります。さらに、動脈の内壁が厚く硬くなって「脳卒中」のリスクを高め、冠動脈が傷んで「心筋梗塞」を起こす一因となるのです。』(記事より)。ここに出てくる疾患は「アルツハイマー型認知症」「糖尿病」「脳卒中」「心筋梗塞」の四つです。端的に言えば、、歯をキレイにすることで予防もしくは進行を遅らせることができるのです。

『2番目の「歯を失うことによる脳の血流不足」について解説しましょう。・・・歯は、体に思っている以上に全身へ影響を与えています。実は、歯でものを噛むときには、ひと噛みごとに脳に大量の血液が送り込まれています。  歯の下には「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような器官があり、噛むときは、歯がこのクッションに約30ミクロン沈み込みます。そのほんのわずかな圧力で、歯根膜にある血管が圧縮されて、ポンプのように血液を脳に送り込むのです。  その量は、ひと噛みで3.5㎖。市販のお弁当についている、あの小さな魚の形の醤油入れがだいたい3~3.5㎖サイズなので、噛むたびに、あの容器いっぱいの血液をピュッと脳に送り込んでいるということ。ひと噛みでこの量ですから、よく噛む人の脳にはひっきりなしに血液が送り込まれて、その間、常に刺激を受け続けていることになります。つまり、噛めば噛むほど刺激で脳が活性化されて元気になり、どんどん若返るのです。』(記事より)。

記事中の『歯根膜にある血管が圧縮されて、ポンプのように血液を脳に送り込むのです』・・この血管は、まさにみかんネットのように歯根(しこん:歯の根っこ)を包んでいます。グッと噛むことで、この血管を含む歯根膜がひしゃげて(圧迫されて)、次の瞬間、噛むことをやめると血液が流れ込む。これが歯根膜のポンプ作用です。私見ですが「やめられない、止まらない」のかっぱえびせんやポテトチップスなどパリパリポリポリの食べ物は、適度にこのポンプを動かすために、脳に心地よいのだと思います。いずれにせよ、このポンプは大切なポンプです。

結びで『本気で脳の老化を防ぎたいなら、そして、全身疾患を予防したいなら、「8020」で満足せずに、もっと高いレベルを目指す必要があります。私が推奨したいのは、「8028」!  つまり、「80歳で28本、すべての歯を残す!」という気持ちで、口腔ケアを行ってほしいのです。  ただ、日々の歯みがきやケアでは限界があります。年に1度の歯科検診だけに頼らず、3カ月に1度程度は歯科に通って歯石取りやプラーク除去などの定期的なメンテナンスを受けることをお勧めします。  いまや、「歯医者さんに通うのは治療のため」だけではありません。「国民皆歯科健診」の制度の導入からもわかるように、時代は治療歯科から予防歯科へと移り変わろうとしているのです。』(記事より)。まさに「歯は、磨いてももらうもの」であり、後手後手医療から先手先手予防へ!なのです。くどいようですが・・「三ヶ月に一度は歯科に通って・・」と記事にはありますが、記事の頭では「週に1度、歯科衛生士さんにも口腔ケアに入ってもらうことにしました」とあります。皆さま、理想は「週一回」です!理想は週一回ですが、現実的には頻繁に通っても保険内診療では月一回が限度でしょう。来年オープン予定で準備中のムシ歯予防カフェ「おやつ堂」では毎日の口腔ケアも可能です、しばしお待ちを。ではでは皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。