BBTime 336 羊羹猪羹

BBTime 336 羊羹猪羹:ようかんちょかん
「大南風黒羊羹を吹きわたる」川崎展宏

解説に『季語は「南風(みなみ)」。元来は船乗りの用語だったらしく、夏の季節風のことだ。あたたかく湿った風で、多く日本海側で吹く強い風を「大南風」と言う。旅先だろうか。作者は見晴らしのよい室内にいて、お茶をいただいている。茶請けには「黒羊羹」が添えられている。外では猛烈な南風がふきまくり、木々はゆさゆさと揺れざわめいている。近似の体験は誰にもあるだろうし日常的なものだが、それを「黒羊羹」を中心に据えて詠んだワザが、情景をぐんと引き立たせ異彩にした。実際にはどうか知らないけれど、黒い羊羹は素材の密度がぎっしりと詰まっているように見える。人間で言えば沈着にして冷静、どっしりとしている。その感じをいわば盤石と捉え、激しくゆさぶられている周辺の木々と対比させながら、「大南風」の吹く壮観を詠み上げた句だ。動くものは動かぬものとの対比において、より動きが強調される。この場合の動かぬものとは、しかし目の前のちつぽけな羊羹なので、多分に作者のいたずら心も感じられ、激しい風の「吹きわたる」壮観を言ってはいながら、全体としては陽性な句だ。秋の台風だったら、こうはいかない。やはり夏ならではの感じ方になっている。以下、蛇足。羊羹でもカステラでも、あるいは食パンでも、私は端(耳)の部分が好きだ』(引用元)とあります。解説読んでも「南風と黒羊羹」の関係性がなんとも不可解なんですが・・今回は「外郎外伝」に続いて羊羹のお話。

羊羹と豚汁の関係性は?と聞かれたらどう考えますか。「羊」と「羹に懲りて膾(なます)を吹く」の「羹:あつもの」で羊羹です。羊の肉も入ってなければ「羹:野菜や肉を入れた熱い吸い物」でもありません。にもかかわらず「羊羹」とはこれいかに?

中国の話です。羹(あつもの)には、羊の肉のみならず猪羹(ちょかん:豚肉の汁、豚汁)や魚羹、鶏羹など四十八もの種類があり、その中の羊肉の羹を羊羹と呼んでいました。日本に伝来した頃、日本人は獣肉を食べませんでしたので、羊肉の代わりに小豆や小麦で作ったもの(団子)を入れました。この団子が汁から独立したものが羊羹の原型で、蒸し羊羹へと進化します。その後、江戸時代になって小麦粉の代わりに寒天を入れるようになったのが今の「羊羹」なんです。詳しくは本「新和菓子噺」をどうぞ。画像は本文です。

本の中には「なぜ饅頭に「頭」があるのか」「本来は栗はなくとも栗饅頭」など興味深い和菓子噺が満載です。読んで改めて和菓子と日本人の関係・和菓子の奥深さを知りました。皆さん、和菓子を頂きましょう!その後は歯磨きをお忘れなく。7500

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