BBTime 590 煩悩ニュートラル

「百八はちと多すぎる除夜の鐘」暉峻康隆

2022/9/28投稿
九月の終わりに除夜とは気が早すぎるのですが・・あしからず。解説には『季語辞典で、鹿児島県志布志町の寺に生まれた暉峻は、百八の鐘のルーツを探っています。以下、要旨を記します。江戸中期の禅宗用語辞典『禅林象器箋』(1741)に「仏寺朝暮ノ百八鐘、百八煩悩ノ睡ヲ醒ス」とあり、寺の百八の鐘は毎日の朝暮の鐘のことだった。それをサボッテ、除夜だけ百八鐘を撞くようになったのは江戸後期からである。』(解説より抜粋)。百八の由来は諸説あるようです。今回は煩悩についてのエッセイ。

文藝春秋とnoteの共同コンテスト「文藝春秋SDGsエッセイ大賞」に提出した文章です。タイトルはカーボンニュートラルならぬ「煩悩ニュートラル」
 『昔のこと。民放テレビ局の周年記念で、マーガレット・サッチャー氏の講演を聴いた。「無理がなければ無駄がない」の言葉が心に残る。常々御意と思う。逆を言えば「無理をするから無駄が生じる」。しかし所詮ひとの世、生きていくためには無理をする。もっと便利に、もっと美味しく、もっと快適に、もっと速く、もっと売れるようにと枚挙にいとまがない。全て煩悩のなせる技である。
 NASAがスペースコロニー研究のために作ったエコスフィアというモデルがある。ガラス球に数匹のエビ、藻、空気、人工海水が密閉されており、適度な光と温度のみ与えることで、この小宇宙は数年にわたり持続可能であると言う。一切無駄が無いのでサステナブルなのである。ひとの世において「無理しない」「無駄がない」は無理な話、しかし無理を減らす、無駄を減らすは可能だ。否、せねばならない。そこで、カーボンニュートラル同様「煩悩ニュートラル」の提案。
 日々歯科診療に携わっていると切に思う。歯科医なりたての頃は「甘いものを控えてください」と本気で言っていたが、今は「食べたらケアしてください」と話す。ムシ歯予防は可能である、ムシ歯になる前に足を運んでくれれば確実に予防できる。ヒントとなる経験をひとつ。タオル洗濯の際、洗濯機にタオル・洗剤・水の順に入れて回すと、途中でタオルが偏り止まった。そこで一案、まず洗剤を入れ、水を張り、そこにタオルを入れていけば止まることなく完了する。タオル・洗剤・水は同じ、順序を変えるだけで結果が異なる。

 「予防にまさる治療なし」と言うが、あまたの病の中でムシ歯のみがほぼ完璧に予防できる。問題が起きてから足を向けるのではなく、日頃何も無い時に来て欲しい。ムシ歯になる前に予防処置をさせて欲しい。順序を変えるだけで健康が維持できる。後手後手医療から先手先手予防へ。歯は磨いてももらうもの。美味しいもの、甘いもの、好きなものを食べることは「喜び」すなわち煩悩。煩悩を満たすからには、見合う努力を多少なりとも生活に加えるべきであろう。努力とは精進、煩悩と精進はセットである。
 煩悩ニュートラルは新しいことではなく、昔から生活の中に存在している。「放生会」や「ラマダンにおける断食」などはその好例であろう。ひとだからこその煩悩を、ひとの知恵をもって帳尻を合わせる。煩悩ニュートラルによって地球を守ることは必ずや可能である。』
まもなく九月尽、今年も残り四分の一。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。


BBTime 589 ifの壁

「月の夜のワインボトルの底の山」樅山木綿太

2022/9/18投稿 9/19「おやつ堂」リンク追加
ワイン瓶底の「そこ」は知っていましたが「山」とは!。解説には『人がワインを手にしたのは古代メソポタミア文明までさかのぼる。醸造は陶器や革袋の時代を経て、木製の樽が登場し、コルク栓の誕生とともにワインボトルが普及した。瓶底のデザインは、長い歴史のなかで熟成中に溶けきらなくなったタンニンや色素の成分などの澱(おり)を沈殿させ、グラスに注ぐ際に舞い上がりにくくするために考案されたものだ。便宜上のかたちとは分かっても、ワインの底にひとつの山を発見したことによって、それはまるで美酒の神が宿る祠のようにも見えてくる。ワインの海のなかにそびえる山は、月に照らされ、しずかに時を待っている』(解説より抜粋)。今回は底ではなく、ワイン畑の周りに見られる壁(クロ:cols)・・にかこつけて「ifの壁」。山についてはBBTime 061 知る人ぞ得!もどうぞ。

画像は仏ブルゴーニュ、ロマネ・コンティの畑。周囲をクロと呼ばれる壁(塀)で囲ってありますが、さほど高くはありません。大人であればあれば跨ぐことができる程度です。ウサギなどの小動物の侵入を防ぐためのクロなので、この高さだそうです。今回の「ifの壁」・・まずは次の画像をどうぞ。

マグカップ外側のレリーフ「Plastic Products can be lifelong companions if you care for them.(プラスチック製品であっても一生モノになり得ます。あなたが大切にすればね)」。マグカップについてはBBTime 556 Long Lifeをご参照のほど。この文章が好きです。「Plastic Products」を「Your Teeth(あなたの歯)」に置き換えれば、ムシ歯予防メッセージになるではありませんか!反芻するうちに「if」がキーだと気が付きました。if以下の「もし、あなたがケアすれば」・・これが「ifの壁」。「言う易く行うは難し」が人の世。そうであれば、壁(塀)が低ければ低いほど、ムシ歯予防は容易になり、マグカップであれば「一生モノ」になり得ます。

いかに「ifの壁」を低くするかがプロのワザでしょう。ちなみにナガオカケンメイ氏デザインのこのプラマグは、カップデザインもさる事ながら、LINEを使っての場作りによって仲間作り・仲間のチャットを可能にしておられ、マグカップへの愛着を増幅させる(育くむ)仕組みになっているように思います。仲間とは「作り手」「伝え手・売り手」「使い手」の全てを含みます。

先日、ブルーボトルコーヒーのコールドブリュを飲みました、美味でした。さて小生、歯科医の考える「ifの壁」を低くする仕掛けとは・・ズバリ「カフェ」です。カフェでムシ歯予防ができたなら、ムシ歯予防のためにカフェに行くとなれば、それは低い壁になるのではないでしょうか。いやいや、ムシ歯予防のために定期的に歯医者に言っているよとおっしゃる方、是非お続けください。かたや行っていない人の壁は何でしょう?小生はカフェが壁を低くすると思います、低く出来ると信じます。来年二月、ムシ歯予防カフェ「おやつ堂」オープンです!情報はインスタグラム@oyatsu.doにて。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。ご紹介する曲はもちろん「if」!

BBTime 584 ニセモノ買いの銭失い

「安物買いの銭失い」ことわざ

2022/07/31投稿 8/15追加
この諺は耳にしますが、タイトルは「ニセモノ買いの・・」。そんなの当たり前でしょ!と思いますが・・のお話。諺の意味はご存じの通り『安い物を買うと品質が悪かったり、すぐ傷んだりして、結局損をする』(引用元)。では「偽物買いの銭失い」は・・前置きがあります。「本物を易く(やすく)失い、ニセモノを高く買う」・・こんなバカなことする訳ないじゃん、と思われるでしょうが、多くの方がしていらっしゃるのです。

先日、時計修理屋さんとの会話に出てきたのが上の画像です。よく見てください、ちょっと違うでしょ。「レフティ」と呼ばれる左利きで竜頭の位置などが違います。レフティは生産数が少ないこともあって、市場価格が高騰しており新品よりも中古価格の方が数十万円も上だそうです。また、一昔前のロレックスを高値で売って、その利鞘で新品ロレックスを買う。数年後、また売って新品を買う。ロレックスマラソンと言われているとのこと。修理屋さん曰くひとこと「異常です」。さて質問「ここに偽物ロレックスがあります。非常によくできています、五十万円します。では、この偽物と同じタイプの本物にいくらの値段をつけますか?」おそらく偽物が五十万なら本物は「百万だろう」「本物なんだから二百万はするよ」・・いずれにせよ通常ならニセモノより本物が高い値がつきますよね。残念ながらこの真逆のことが、さも当たり前のこと日常茶飯事のこととして起きているのが「歯科治療」なんです。

画像は陶器の歯、どんなに上手な技工士さんが作っても「ニセモノ」です。だいたい1本十万円はします。陶器の歯が必要になった原因がムシ歯であったなら「本物を易く失い、偽物を高く買う」と言えるのです。

画像は「PMTC:ピーエムティシー」と呼ばれるプロケアです。過去に何度も書いていますが「歯は磨いても、もらうもの」であって、ご自分だけでムシ歯予防は不完全です、できません(と言えます)。たやすく本物を失い、高価なニセモノを買う羽目になる。これは人々(患者さん)だけの責任ではなく、歯科医師にも責任があります。歯磨きによるムシ歯予防は、人々がすべきこととしてきたことに誤りがあると思うのです。どうぞ考えを変えてください「歯は、磨いてももらうもの」。ニセモノ買いの銭失いにならぬよう、こまめにプロケアを受けることをオススメします。ひとつご注意ください!プロケアで歯を削ることはありません。いまだに「削ってなんぼ」と思う歯科医もいますので、この点はご注意ください。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:文章中の「時計修理屋さん」。小生も修理ふたつと電池交換ひとつ、お願いしました。オススメします!インスタグラム@bleriots0819です。腕時計で困り事があれば是非!

BBTime 583 カムカムポンプ

「円涼し長方形も亦涼し」高野素十

2022/07/25投稿・昨夜から桜島は噴火警戒レベル5 7/28追加
今朝の桜島は静かです。句の解説は『猛暑の折りから、何か涼しげな句はないかと探していたら、この句に突き当たった。しかし、よくわからない。素十は常に目に写るままに作句した俳人として有名だから、これはそのまま素直に受け取るべきなのだろう。つまり、たとえば「円」は「月」になぞらえてあるなどと解釈してはいけないのである。円も長方形も、純粋に幾何学的なそれということだ。いわゆる理科系の読者でないと、この作品の面白さはわからないのかもしれない。円や長方形で涼しいと感じられる人がいまもいるとすれば、私などには心底うらやましい昨今である。ふーっ、アツい。『空』(ふらんす堂・1993)所収。(清水哲男)』(解説より)。二度目の梅雨が開けたと思ったら、またまた猛暑。サウナかと思うほどの暑さと湿気です。前々回「週一回」の補足で、歯の周りのポンプについて。

シンプルにいうと、噛むたびに歯の根っこ(歯根:しこん)と骨の間の毛細血管が圧迫・弛緩を繰り返します、いわば「カムカムポンプ」。
 記事には『歯は、体に思っている以上に全身へ影響を与えています。実は、歯でものを噛むときには、ひと噛みごとに脳に大量の血液が送り込まれています。  歯の下には「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような器官があり、噛むときは、歯がこのクッションに約30ミクロン沈み込みます。そのほんのわずかな圧力で、歯根膜にある血管が圧縮されて、ポンプのように血液を脳に送り込むのです。  その量は、ひと噛みで3.5㎖。市販のお弁当についている、あの小さな魚の形の醤油入れがだいたい3~3.5㎖サイズなので、噛むたびに、あの容器いっぱいの血液をピュッと脳に送り込んでいるということ。ひと噛みでこの量ですから、よく噛む人の脳にはひっきりなしに血液が送り込まれて、その間、常に刺激を受け続けていることになります。つまり、噛めば噛むほど刺激で脳が活性化されて元気になり、どんどん若返るのです』(引用記事はこちら)。また記事では『「歯がない人はボケやすい」は正しい・・歯の本数が少なくなればなるほど、歯根膜のクッションにかかる圧力が減って、脳に送り込まれる血液の量が少なくなります。脳への刺激が減って、脳機能の低下につながるわけです。脳機能の低下は、ヤル気の喪失や、もの忘れを引き起こし、やがては認知症へとつながっていきます』(引用元)。

この記事を読み返して確信しました。昔、おやつの定番「かっぱえびせん」のCMコピー「やめられない、とまらない」の理由はここにあり!えびせんやポテトチップスを食べ始めたら止まらないのは、パリパリぽりぽりと噛むごとに歯根膜ポンプによって脳に血液が送られ「プチ快楽」を感じているからなのではないでしょうか。えびせんでなくとも、ナッツ類でもスルメでも同じだと思います。いずれにせよ「カムカムポンプ」を作用させることは、記事にあるように「若返り」「ボケ防止」に効果有りのようです。やはり噛むことは大事です、カムカムポンプで若返り!皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加(7/28):カムカムポンプが脳に心地良い根拠のひとつ発見!脳は「ブドウ糖と酸素」を欲しがります。脳に血液が供給されることは、ブドウ糖と酸素が送り込まれることなのです。記事「脳だって、もっと栄養が欲しい」には『脳がしっかりと働くためにはエネルギーが必要で、通常はブドウ糖(グルコース)のみが利用されます。低血糖症で意識消失が起こるのは、ブドウ糖を利用できなくなるから。その脳に、ブドウ糖以上に必要なエネルギーが酸素です』(抜粋)とあります。カムカムポンプで脳も元気ハツラツ!
画像追加2023/06/28

BBTime 582 硬いけど・・

「うなぎの日うなぎの文字が町泳ぐ」斎藤すず子

2022/7/18投稿 7/18おまけ追加
画像は鹿児島市天文館のうなぎの「末よし」。今週土曜日7/23今年の土用の丑に向けて、コンビニの店先にも鰻が泳いでおります。句の解説には『季語は「うなぎの日(土用丑の日)」で夏。ただし、当歳時記では「土用鰻」に分類。この日に鰻(うなぎ)を食べると、夏負けしないと言い伝えられる。今年は今日が土用の入りで、いきなり丑の日と重なった。したがって、この夏の土用の丑の日はもう一度ある。鰻にとっては大迷惑な暦だ。句のように、十日ほど前から、我が町にも鰻専門店はもちろんスーパーなどでも「うなぎの文字」が泳いでいる。漢字で書くと読めない人もいると思うのか、たいていの店が「うなぎ」と平仮名で宣伝している。面白いのは「うなぎ」の文字の形だ。いかにも「うなぎ」らしく見せるために、にょろにょろとした形に書かれている。なかには、実際の姿を組合わせて文字に仕立てた貼紙もあって、句の「うなぎ」表記はなるほどと思わせる。作者は、夏が好きなのだ。もうこんな季節になったのかと、町中を泳ぐ「うなぎ」に上機嫌な作者の姿がほほ笑ましい。今宵の献立は、もちろんこれで決まりである。私は丑の日だからといって鰻を食べようとは思わない性質(たち)だけれど、世の中には、こういうことに律義な人はたくさんいる。』(抜粋)。最後に出てくる「律儀」をある意味「頑固」と見れば、律儀→頑固→硬いとして(強引ですが・笑)、今回は「歯は硬いけど・・」についてのお話。

青リンゴはさほど硬くありません。でもこちらのリンゴは硬いようです。AppleWatchのCMを見ました。動画では硬く、水などの液体にも、埃やベッタリするものにも耐えうるシーンが描いてあります。見ながらふと「似てる」と思ったのが「歯」です(得意技我田引水・笑)。歯は身体の中で最も硬い組織(体の部分)です。モース硬度では永久歯のエナメル質は7で水晶に匹敵します。最も硬いダイヤモンドが10です。

歯にはエナメル質・象牙質(ぞうげしつ)・セメント質があります。それぞれの硬さは、エナメル質=7、象牙質=6、セメント質=5です。ちなみに骨が4〜5、爪が2.5と言われています。このため、歯科治療においても削る部位で道具が異なります。最表層のエナメル質を削るときにはおおかたエアタービン(キーンという音)を使いますが、象牙質・セメント質にはエンジン(ウーンという音)を使います。もちろん削る目的などによってエンジンだけのこともあります。

それぞれの部位がどこかを見てください。最も硬いエナメル質は表層を覆います。その下が象牙質で、根っこ(歯根:しこん)の表面がセメント質です。臨床では象牙質は硬度6よりやわらかく感じます。実際、エキスカベータという器具(ノミ・彫刻刀のようなもの)で削ることができます。象牙質には象牙細管(ぞうげさいかん)という細い管がありますので、やわらかく感じるのかも知れません。

画像は「楔状欠損:くさびじょうけっそん」WSDと呼ばれる状態です。歯ブラシの誤用でエナメル質とセメント質の境目から根の先の方にできる欠損です。しっかり磨いていることが逆に欠損を作り、ムシ歯同様の処置が必要となります。セメント質はやわらかいのです、ご注意ください。WSD以上に気をつけて欲しいことは「酸:さん」です。水晶くらい硬いエナメル質の弱みは「酸」です。ほとんどの飲食物が口に入ると、口腔内は酸性に傾きます。ph=5.5以下(より酸性に)になるとエナメル質は溶け始めます。これがすぐにムシ歯になるのではありません。唾液による緩衝能(中性に戻す機能)などによってムシ歯にならずに済むのですが、お菓子(砂糖を含む)のだらだら喰いなどで、常時もしくは継続的に5.5を下回るとムシ歯の発生につながります。硬いのですが・・酸には弱い。アップルウォッチも同様で、硬いけどバッテリー切れにはお手上げ(笑)。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

おまけ:「土用の丑に鰻」と歯磨き粉は関係があるんです。この二つに深く関与していると言われているのが平賀源内!ウイキペディアには『土用の丑の日ウナギを食べる風習は、源内が発祥との説がある。この通説は土用の丑の日の由来としても平賀源内の業績としても最も知られたもののひとつだが、両者を結び付ける明確な根拠となる一次資料や著作は存在しない。また明和6年(1769年)にはCMソングとされる歯磨き粉『漱石膏』の作詞作曲を手がけ、安永4年(1775年)には音羽屋多吉の清水餅の広告コピーを手がけてそれぞれ報酬を受けており、これらをもって日本におけるコピーライターのはしりとも評される。』(抜粋)。
も、ひとつおまけ:口腔内が酸性に傾いた時に、いち早く酸性に戻すことがムシ歯予防のコツです。今月7月から金土のみコーヒーイノベートにて「そんなバナナジュース」スタートしています。このジュースのph(ペーハー)はほぼ7です、オススメします。詳しくは「ハニ!チーズ」を。

BBTime 581 週一回

「雨蛙めんどうくさき余生かな」永田耕衣 

2022/7/7投稿
鹿児島はあっという間の梅雨明けでしたが、戻り梅雨の昨日今日です。句の解説には『耕衣、七十代後半の句。雨蛙の体の色は葉の上など緑のなかでは緑色をしているが、木の幹や地上に下りると途端に茶色に変色する。保護色の好例として、小学校の教室でしばしば引き合いに出されてきた。人間には保護色はないのだけれど、考えてみれば、状況に応じて態度を変えるなどしているわけで、心理的精神的な保護色はあると言わなければなるまい。ただし雨蛙が自然に体色を変えられるのとは違って、私たちの場合は、意志的にそれをする必要がある。そこが実になんとも「めんどうくさい」と感じることになる年代が「余生」だと、作者は述べている。きょとんとした雨蛙と、何もかもを面倒くさく感じはじめた俳人との取り合わせは、ペーソスの味を越えた不思議な明るい世界に通じているとも読める。』(抜粋)。面倒くさくてもオススメしたい「週一回」についてのお話。

「風邪は万病のもと」と耳にしますが、今回のニュースは「歯周病は万病のもと」です。記事『「口腔ケア」で万病のもとになる歯周病の発症を抑制、生涯医療費を1千万円減らせるとの試算も』を目にしました。記事冒頭には「調査によると、歯や歯茎などの正しいケアをすることで、私たち1人ひとりの生涯医療費が1千万円以上も抑えられる可能性があるという。」1000万円と聞くと「エッ」と思いますが、さらに「この金額を1日あたりに換算すると、17万5600円÷365日=約481円となります。つまり、歯を20本以上キープする歯のケアを続けるだけで、毎日約500円もの医療費を得することになるのです。」これはかなり驚きです。では拾い読みしてみましょう。

『その中で、日々、口腔内のケアによって認知症の症状が改善したり回復していく患者さんたちを目の当たりにしているのですが、先日、かなり驚いたことがありました。 私が訪問診療を担当するグループホームに、週に1度、歯科衛生士さんにも口腔ケアに入ってもらうことにしました。すると、あるとき介護の現場の方がふと気づいたのです。「この1年半、誰も退所する人がいなかった」と。 このことは、18人の入居者のうち1人も、状態が悪化することも亡くなることもなかったことを意味します。 一般的なグループホームでは、月に1人くらいは重症度が高くなってしまって入院したり、亡くなられたりする方がいらっしゃるのが普通ですから、これはかなり驚異的なことです。 当初は、「毎週の口腔ケアは、さすがに多すぎませんか?」と言っていたスタッフや患者さんのご家族も、口腔ケアの重要性を再認識したようです。』(記事より抜粋)

『では、どれくらい医療費が抑制されるのか。 具体的に計算すると、適切な口腔ケアを行うことで、なんと1人あたりの生涯医療費が1千万円以上も安くなる可能性があるのです。 日本歯科医師会が、全国の40歳以上、約1万9000人を対象に行った調査では、残っている歯の数が20本以上ある人は、0~4本の人よりも、年間の医療費が平均で17万5900円も低いという結果が出ました。 この先、日本人の寿命は延び続け、2050年には日本の100歳以上の人口が100万人を突破すると推計されています。もし100歳まで生きるとして、歯周病菌が増え始める40歳以上から100歳までに60年間分の医療費の差額を計算すると17万5900円×60年=1055万4000円となります。 ちなみに、この金額を1日あたりに換算すると、17万5600円÷365日=約481円となります。つまり、歯を20本以上キープする歯のケアを続けるだけで、毎日約500円もの医療費を得することになるのです。』(記事より抜粋)。

記事は続きます『口内環境の悪化がさまざまな全身疾患にもつながる原因は、大きく3つあります。①歯周病菌の影響 ②歯を失うことによる脳の血流不足 ③歯を失うことによるタンパク質不足』・・それぞれについて。
『①の「歯周病菌の影響」は、35歳前後から増大し、40代になるころには進行の差こそあれ8割もの人が歯周病を発症します。歯周病は、風邪などと違って自然治癒しません。  その歯周病菌がもとになって生成される「アミロイドβ」が、血管を通じて運ばれて脳内で記憶を司る「海馬(かいば)」を中心に少しずつ溜まっていき、これが、アルツハイマー型認知症を発症させたり、悪化させたりする原因となることがわかっています。ちなみに、アミロイドβが脳内に溜まって認知症を発症するまでには、25年ほどかかると言われています。  また、歯周病菌が出す毒素の影響でつくられる炎症物質「サイトカイン」が血管を通じて全身に放出されることにより、インスリンが効きにくくなって「糖尿病」が発症・進行しやすくなります。さらに、動脈の内壁が厚く硬くなって「脳卒中」のリスクを高め、冠動脈が傷んで「心筋梗塞」を起こす一因となるのです。』(記事より)。ここに出てくる疾患は「アルツハイマー型認知症」「糖尿病」「脳卒中」「心筋梗塞」の四つです。端的に言えば、、歯をキレイにすることで予防もしくは進行を遅らせることができるのです。

『2番目の「歯を失うことによる脳の血流不足」について解説しましょう。・・・歯は、体に思っている以上に全身へ影響を与えています。実は、歯でものを噛むときには、ひと噛みごとに脳に大量の血液が送り込まれています。  歯の下には「歯根膜(しこんまく)」というクッションのような器官があり、噛むときは、歯がこのクッションに約30ミクロン沈み込みます。そのほんのわずかな圧力で、歯根膜にある血管が圧縮されて、ポンプのように血液を脳に送り込むのです。  その量は、ひと噛みで3.5㎖。市販のお弁当についている、あの小さな魚の形の醤油入れがだいたい3~3.5㎖サイズなので、噛むたびに、あの容器いっぱいの血液をピュッと脳に送り込んでいるということ。ひと噛みでこの量ですから、よく噛む人の脳にはひっきりなしに血液が送り込まれて、その間、常に刺激を受け続けていることになります。つまり、噛めば噛むほど刺激で脳が活性化されて元気になり、どんどん若返るのです。』(記事より)。

記事中の『歯根膜にある血管が圧縮されて、ポンプのように血液を脳に送り込むのです』・・この血管は、まさにみかんネットのように歯根(しこん:歯の根っこ)を包んでいます。グッと噛むことで、この血管を含む歯根膜がひしゃげて(圧迫されて)、次の瞬間、噛むことをやめると血液が流れ込む。これが歯根膜のポンプ作用です。私見ですが「やめられない、止まらない」のかっぱえびせんやポテトチップスなどパリパリポリポリの食べ物は、適度にこのポンプを動かすために、脳に心地よいのだと思います。いずれにせよ、このポンプは大切なポンプです。

結びで『本気で脳の老化を防ぎたいなら、そして、全身疾患を予防したいなら、「8020」で満足せずに、もっと高いレベルを目指す必要があります。私が推奨したいのは、「8028」!  つまり、「80歳で28本、すべての歯を残す!」という気持ちで、口腔ケアを行ってほしいのです。  ただ、日々の歯みがきやケアでは限界があります。年に1度の歯科検診だけに頼らず、3カ月に1度程度は歯科に通って歯石取りやプラーク除去などの定期的なメンテナンスを受けることをお勧めします。  いまや、「歯医者さんに通うのは治療のため」だけではありません。「国民皆歯科健診」の制度の導入からもわかるように、時代は治療歯科から予防歯科へと移り変わろうとしているのです。』(記事より)。まさに「歯は、磨いてももらうもの」であり、後手後手医療から先手先手予防へ!なのです。くどいようですが・・「三ヶ月に一度は歯科に通って・・」と記事にはありますが、記事の頭では「週に1度、歯科衛生士さんにも口腔ケアに入ってもらうことにしました」とあります。皆さま、理想は「週一回」です!理想は週一回ですが、現実的には頻繁に通っても保険内診療では月一回が限度でしょう。来年オープン予定で準備中のムシ歯予防カフェ「おやつ堂」では毎日の口腔ケアも可能です、しばしお待ちを。ではでは皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。


BBTime 580 ハニ!チーズ

「一生の楽しきころのソーダ水」富安風生

2022/06/30投稿 6/30追加
この季節、大好きな句です。解説には『季語は「ソーダ水」で夏。大正の頃から使われるようになった季語という。ラムネやサイダーとは違って、どういうわけか男はあまりソーダ水を飲まない。甘みが濃いことも一因だろうが、それよりも見かけが少女趣味的だからだろうか。いい年をした男が、ひとりでソーダ水を飲んでいる図はサマになるとは言いがたい。だからちょくちょく飲んだとすれば、句にあるように「一生の楽しきころ」のことだろう。まだ小さかった子供のころともとれるが、この場合は青春期と解しておきたい。女性とつきあってのソーダ水ならば、微笑ましい図となる。喫茶店でソーダ水を前にした若い男女の姿を目撃して、作者はあのころがいちばん楽しかったなあと若き日を懐古しているのだ。むろん、味などは覚えてはいない。ただそのころの甘酸っぱい思いがふっとよみがえり、やがてその淡い思いはほろ苦さに変わっていく。』(解説より抜粋)。さて今年の鹿児島、梅雨入り後は雨あめアメ・・でしたが、アッと言う間に明けました。そうしたら即真夏!今回は「ハイ、チーズ」ではなく「歯にチーズ」のお話。

記事を見つけました。タイトル『虫歯はチーズで予防できる!WHO報告書で「エビデンスはほぼ確実」』。内容はタイトルの如く、チーズを食べるとムシ歯予防効果ありと言うものです。『「WHOのテクニカルリポートという報告書によると、虫歯リスクに関する科学的根拠を『確実』から『根拠不十分』まで4段階に分けた中で、リスク軽減の効果が『確実』とされる物質はフッ化物。そして、これに次いで効果が『ほぼ確実』とされたのがハードチーズでした」』(記事より)。キシリトール配合ガムよりもより確実な予防効果があるとのこと。

二つの理由を挙げています。再石灰化と緩衝能・・『「チーズは、再石灰化を促す働きがあります。チーズを噛むとその刺激で唾液成分が倍増し、カルシウムイオンやリン酸イオンによる修復が進みます。また、唾液には食事で酸性に傾いた口の中を中性に戻す緩衝能があり、虫歯を起こしにくくします。そしてこの緩衝能は、チーズにも備わっています」』
記事より)。

チーズの中でもハード系がオススメ・・『チーズの中でも特に、チェダー、パルメザン、エメンタール、ゴーダといったハードチーズやセミハードチーズが、カルシウムとリン酸の量が非常に多い。しかしチーズなら種類を気にせず、なんでもOKとのこと』(記事より)。『「虫歯予防のためにチーズを食べるなら、食事の最後が望ましいです」  何らかの食品と一緒にチーズを食べても、チーズの働きは阻害されない。もちろんお酒もOK。むしろお酒はほとんどが酸性なので、中性に戻す作用に優れるチーズと食べることが推奨される』(記事より)。手前味噌です、前回ご紹介した「そんなバナナジュース」は、牛乳・バナナともph(ペーハー)は7前後で中性です。ちなみに冒頭のソーダ水は、砂糖ゼロであっても安心とは言えません。炭酸水(ソーダ水)そのものが酸性飲料ですので、飲んだあと可能ならば、水かお茶を飲まれることをオススメします(中性に戻すために)。皆さま暑過ぎる日々です、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:はい、チーズについて。
ご紹介した曲のタイトルを見て頂けるとお分かりのように「はい、チーズ」のオリジナルは「Say,cheese」(セイ、チーズ:チーズと言って!)です。Say(セイ)を「ハイ」に替えただけですが、これは見事に当たりましたね。詳しくはこちらをどうぞ!日本輸入時は、まさにチーズがらみのようです(笑・スマイル・チーズ)!

BBTime 576 今日でしょ!

「明日は又明日の日程夕蛙」高野素十

2022/6/2投稿
好きな句です。句の解説には『とにもかくにも今日の仕事を消化して、作者はしばし夕蛙の鳴き声に耳を傾けている。ホッとしている。明日もまた忙しいが、明日は明日のこととして、今日はもう仕事のことは考えたくないという心境だ。このように、昔は蛙たちが一日の終りを告げたものだが、いまの都会では何者も何も告げてはくれない。もっと言えば、一日の終りなどは無くなってしまっている。だから、明日の日程のために眠ることさえできない人も増えてきた。過労死が起きるのもむべなるかな。こんな世の中を愚かにも必死につくってきたのは、しかし私たちなのである。『雪片』所収。(清水哲男)』(解説より)。気持ちは理解できますが「明日は明日のこととして」と言えない今日この頃。コロナ然り、ウクライナ戦争しかり、気候変動然り・・。今日をしっかりしないと明日が来ない世の中になるのではないかと危惧します。思うだけでは世の中は変わりません、行動を起こさなければ・・言うは易く行うは難し。今回は最近気になっている曲のご紹介。

BBTime 571 魔法ではない

「春昼や魔法の利かぬ魔法瓶」安住 敦

2022/4/26投稿
昔のことです(開業したての頃)。知り合いの方が「噛むと痛い」と来院。レントゲンみると歯周病が進行しており、着手するなら「抜歯です」と伝えると「悪い歯を抜くのではなく治すのが医療でしょ」とその方。んー「治療は魔法ではないので無理なものは無理です」と思いながらも「では、投薬しますので様子見ましょう」というのがやっとでした。句の解説は『真空状態を作って保温するという論理的な英語「vaccum bottle」に対し、何時間でもお湯が冷めない現象に着目し、日本では「魔法瓶」と命名された。どんなものにもよく書けるマジックインキ、愛犬に付いた草の実(おなもみ)がヒントとなったマジックテープなども、従来にない不思議な力を強調した「魔法/マジック」の用法だが、「魔法瓶」はなかでも突出して絶妙なネーミングである。他にも、来週に控える「黄金週間」やめくるめく「万華鏡」なども腕の立つ日本語職人の手になるものと思われる。掲句は、茶の間に鎮座するポットの仰々しいネーミングにくすりと笑う大人の視線だが、いかにもうららかな春の昼であることが、笑いを冷笑から、ユニークな名称の背景にある人間の体温を感じさせている』(解説より抜粋)。今回は目についた記事のご紹介。

その記事とは「入れ歯に認知症、誤嚥性肺炎…。知りたくなかった真実。日本は歯医者さんの「超後進国」だった」と少々ドキッとするタイトル。記事の中身は・・『残念ながら、現在の日本はれっきとした『歯科医療後進国』です。80歳時点で何本歯が残っているかを調査した国際的なデータがあります。スウェーデンは20本。アメリカは17本。イギリスが15本。そして日本は、わずか8本です。諸外国と比べて惨憺な状況と言わざるを得ません。男女の平均寿命では全世界トップクラスでありながら、歯はズタボロの状況。逆に言えば、この数字を上げれば、平均寿命や健康寿命もさらに上げられるのです』(抜粋)。

記事は続きます・・『日本人は、デンタルケアに関する意識関心が低すぎる。80歳の残歯率はその表れですが、ある雑誌が行なった60歳以上のビジネスマンに対するアンケートで、興味深いものがありました。「40代のうちにメンテナンスしておくべきだった体の部位」の第一位が「歯」だったんです。多くの方が歯を失って、初めてその大切さを痛感している。しかし、一度失った永久歯は、文字通り永久に生えてはこないんです。当たり前に思われているこのことを、いま一度考え直していただきたいと思っています』(記事より)。低すぎる・・低くなってしまったのです。単純に比較はできませんが、800年前のお坊さんは今以上に歯を磨いています。しかも砂糖がほとんど日常にない頃です。今でも、お寺や神社の「手水場:ちょうずば」で手や口を清めますよね。決して低かったのではないのです、低くなってしまったのです。詳しくはBBTime561「正法眼蔵」へ。

低くなってしまった理由は・・『そして皮肉なことに、日本のデンタルヘルスが著しく低いのは、世界に誇る国民皆保険制度が影響していると私は考えています。日本全国、どこへ行っても1割から3割の自己負担で「平等の医療」が受けられる。このシステムの功罪で、日本人の治療の内容が「及第点ギリギリ」となり、患者さんからも「予防医療」という概念を奪っているのです』・・この意見には賛成です。保険診療は今でも原則「疾病保険:しっぺい」です。病気でなければ保険証は使えません。そんなことはないでしょ!定期的に歯医者で保険内メンテナンスを受けてますけど・・。今度聞いてみてください。必ずや病名がついていて、その病名に必要な処置(治療)を受けていらっしゃるのです。

保険制度は歯科以外の病気には極めて良い制度でしょう。なぜなら殆どの病気において確実な予防方法は未だ確立されていません。しかし「歯科」は異なります、予防可能です。にもかかわらず、歯科医療も他の一般医科同様の保険制度であるために「歯科治療の悲劇」が起こり、その多くは連鎖してゆくのです。悲しいことです。最後に声を大にして言います!「歯は磨いても、もらうもの」これによって確実な予防が可能です。保険証は後手後手医療しかカバーしません。先手先手予防を是非あなたの意思で!セラミックの歯であろうとインプランであろうと所詮「偽物」に過ぎません。生まれ持ったあなたの歯をご自愛の程。皆さま、ご歯愛の程。

BBTime 565 外方向かれる

「たんぽぽのサラダの話野の話」高野素十

2022/3/15投稿 3/18合格率について追加
春になると好きなこの句を思い出し、今年こそは「たんぽぽサラダ」を食べようと思いながら未だ実現せず。『たんぽぽが食べられるとは、知らなかった。作者も同様で、「たんぽぽのサラダの話」に身を乗り出している。「アクが強そうだけど」なんて質問をしたりしている。そこから話は発展して野の植物全般に及び、「アレも食べられるんじゃないか、食べたくはないけれど」など、話に花が咲き、楽しい話は尽きそうにもない。』(解説より一部抜粋)。今回は好きの反対と言える「ソッポ向かれる」について。

先日のこと、九州南部地方都市の駅窓口に「受付は夜七時で終了します」との知らせ、ショックでした。今まで仕事帰りに次回の切符を買っていたものですから・・。昨春、二枚切符が廃止され、通常購入より安くなるネット購入を利用。ネット決済しても事前に駅窓口で紙切符購入が必要です。にもかかわらず、窓口購入可能は朝7:30から19:00までとなったのです。ネット予約切符は券売機では買えません。年々、JRのサービスが低下していると思ってしまいます。

ネット利用は客のためではなく「 JR職員」のためなんですね(きっと)。小生思うに「客の方を見ていないと外方向かれますよ」。郵便事業然り。昔、永六輔さんがラジオで「年賀状の早目の投函を呼び掛けるのであれば、安くすべきじゃないの?」・・賛成!郵便局員のために早く投函するわけですから「早割」があって然るべきです。その郵便、さらにサービス低下の報道を先日耳にしました。多くの人が年賀状から離れていくのも頷けます。以前は年賀状以外にも「なんとかメール」と銘打って盛んに宣伝していましたが、今もあるのでしょうか。客が離れるのも当たり前でしょう。その点、クロネコはエライと思います。郵便に関しては昔ブログに書いておりました、「郵便局のサービスは?」ご参照の程。JRもJPも民営化されたとは言え、公共インフラですから存続するでしょうけど愛されなくなるかも知れませんね。

「客を見ていない」は人事(ひとごと)ではないのです、歯科医師も同じ。「歯科治療」にのみ注力していると、近い将来必ずやソッポ向かれます。何度も書きますが「ムシ歯はほぼ完全に予防できます、回避できます」。にもかかわらず「待ちぼうけよろしく、診療所内で「ムシ歯の患者さん」を待っているのでは、歯科医師の未来は今以上に暗くなるでしょう。歯科治療は「人の不幸がメシの種」かたや歯科予防は「人の喜びが種」です。

「たんぽぽのぽぽのあたりが火事ですよ」坪内稔典
ちなみにタンポポを英語でdandelion:ダンデライオン。文字通り「ライオンの歯」詳しくはこちら。JRも郵便も歯科医療も「おしりに火が・・」なのかも知れません。皆さま、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:外方むかれている根拠「合格率最低」について
3/16に厚労省が発表しました。記事では『厚生労働省は2022年3月16日午後2時、医師国家試験と歯科医師国家試験合格発表を行った。合格率は、医師が91.7%、歯科医師が61.6%。前年(2021年)の合格率と比較すると、医師は0.3ポイント増加、歯科医師は3ポイント減少となった』(引用元)。医師より30%も低い合格率です、単純に考えると医師より歯科医師の方が1.5倍難しいと言えます。大学入試の偏差値では医学部の方が歯学部より高いのに、最終ゴールである国家試験において歯学部の方がかなり狭き門であるとは不思議だと思いませんか。しかも今年(2022年)の合格率は調べた範囲では戦後最低、ということは現行国家試験において最低です。一説によると「医師は何点以上は合格」に対して「歯科医師は上から何人」で合否を決めているとのこと。ズバリ歯科医師は2,000人です(今年は1969人)。すなわち、厚労省は歯科医師数は十分足りていて、これ以上は必要ないと見ているようです。完全に外方向かれています!さて、どうする?