「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その8

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その8
—ニコラ歯科を開いた理由

タイトルの「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」について話します。「白い歯ありきで予防から」ということを現実的方法はいかに?と考えると、ずばり「日々の生活に取り込む」しかないと思います。親が歯科医師であれば、ましてや開業医であれば、日々に取り込むことは容易です。しかも生まれてすぐからでも可能です。歯科医の子どもは物心ついた時には、おそらく習慣になっているでしょう。

歯科医師として、親として、このことに気がついた時に地団駄踏みました。なぜ、このことに気がついていた歯科医師は、他の子どもたちにも同じようにしてあげなかったのだろうと。しかし、もし、ある歯科医師がこのことを小さなお子さんを持つ若いお母さんに伝えたとして、何人のお母さんが「ハイ」と首を縦に振るでしょうか。

こう考えるといろいろな要因が歴史的に業界の利権なども絡まって、予防まっしぐらと、進んで来なかったのかもしれませんが、おそらくベースには「ムシ歯にはなるもんだ」「歳がきたら歯周病にはなるもんだ」という考えが、人々にも歯科医師にもあったのでしょう。しかし、今は違います。スウェーデンで考案されたPMTCの理論、システムによって、「歳だから」は否定されました。バイオフィルムが原因であると明らかになり、バイオフィルムの除去方法(PMTC)も確立されています。多くの歯科医院がPMTCを導入しています。これから、どうアプローチして行くか?寅さんの句が聞こえてきます。

「赤とんぼじっとしたまま明日どうする」渥美清

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その7

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その7
—ニコラ歯科を開いた理由

このように考えると「歯科予防の日常化・習慣化」を妨げるものは、歯科医師と患者さん・お客さんとの一対一で解決できないほど、大きな壁なのでしょうか。そうは思いません、そうではないと思いますが、今回のニコラ歯科オープンで言えることは「スムーズな予防への移行は治療からである」です。その方(患者さん)を治療する中で信頼関係が構築されて、轍を踏まないようにと予防のステージに進む。これがおそらく最も自然でしょう。21年間の桜歯科も確かにそうでした。そうであれば「ムシ歯を回避する薬」をファーストチョイスにすることは無理なのでしょうか。加えて問題は、治療が先にくると言うことは、ムシ歯が有るということですから、健康な歯を守ることはできないことになります。どうにかして、その方が歯科医師と出会う順序を変えたいのです。ムシ歯ありきで治療からではなく、白い歯ありきで予防からに、変えたいのです。

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その6

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その6
—ニコラ歯科を開いた理由

話は少々ずれますが、例えば「ムシ歯を治す薬」と「ムシ歯を回避する薬」が有ったとします。多くの歯科医は「ムシ歯を治す薬」(=歯科治療)を知っていますし使います。あるとき「ムシ歯を回避する薬」が発明された。幸いにもその薬の存在を歯科医師として知ることができた。あなたが歯科医師ならどうします?やはり「ムシ歯を回避する薬」を人々に知らしめたくなるでしょう。処方したくなるでしょう。今回、わたしも同じような気持ちになりました。否、この「ムシ歯を回避する薬」のことを人々に伝えなければ、詐欺だとまで思うようになりました。ところが、この理論の中にも、今となっては一般の人々の考えとのずれが有るように思えるのです。「人々は回避薬を必要とする」、おそらくこの考えは歯科医師目線でしょう。たとえ「回避薬」の存在を人々が知ったとしても、飲んだことのない薬を欲しがるでしょうか?ムシ歯を回避するという行動を人々自ら起こすでしょうか?飲んだことのない薬にお金を払うでしょうか。

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その5

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その5
—ニコラ歯科を開いた理由

そうして、2011年9月にニコラ歯科はオープンしました。9月1日からスタッフ採用開始。13日がグランドオープン(表向きオープン)。今日は10月13日、グランドオープンから丸一ヶ月です。ずばりオープン前の目論見・予想はことごとく外れました。予約は一日にひとりか二人・・。
何がずれていたのでしょうか?四六時中考えています。「ムシ歯をなくすこと」は「世のため人のため」です。また歯科医師にとってこれ以上の仕事はないでしょう。誰に話しても、面と向かって反対されません。誰もが「それは素晴らしい」と言ってくれました。なのになぜ?

スタッフと話し合いました。出た意見をまとめると大まかに次のようになりました。

1ニコラ歯科の存在が知られていない。
2ニコラ歯科で何をやっているのか、何をやってくれるのか、知られていない。
3歯医者に行くのは治療のためであり、予防のために足を運ぶという考えはあまりないのでは。
4歯に関して治療はするけど、予防は必要ない。治療費は払うけど予防費は払わない(払いたくない)。
5悪くなってから歯医者に行く、で充分。

1、2はダイレクトに自分たちでできることです。では3、4、5は?

この頃になって、はっきりとわかりました。「おまえ(河野秀樹)がやりたいと思っていたことは、この3,4,5の考えを変化させることだ」ということです。ニコラ歯科の間取りをデザインすることでもなく、先ほど紹介したイメージアトランダムや仕掛けを考えることでもない、ということです。

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その4

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その4
—ニコラ歯科を開いた理由

「そうだ!おまえが(先手先手予防を)やってみればいい」「おまえは、セミナーで話しているけど、やっていることは後手後手医療だろう」と、もうひとりの河野秀樹の声が聞こえました。「そうだ、自分でやろう」「おまえがやればいいじゃないか」。これが2008年の9月のことでした。(重複)

それから、NSP(ニコラ歯科プロジェクト)がスタートしました。いろいろなイメージを思いつくままに書いていきました。以下、アトランダムと仕掛け。

*ニコラ歯科イメージアトランダム 2010.05.08-11.01.15 河野秀樹
1−施設(ニコラ歯科)の立ち位置はカルチャーの「C」である。
2−プライバシーへの高い次元での配慮
3−完全個室
4−待ち合いは図書室
5−極めて快適なトイレ(パウダールーム)
6−スターバックスより上質な空間
7−ケータイメールでの密なCOM.
8−本能(食欲)を刺激する仕掛け
9−おもてなしの仕組み
10—一見さんがリピーターになる仕掛け
11—子供空間と大人空間は区別
12—ワイン会などの文化セミナー開催
13—マイレージの充実
14—真に必要なサービス(商品)は何か?
15—納得する値段設定
16—年会費メンバーの広がる仕掛け
17—企業へのアプローチ(法人会員)
18—明石屋の軽羹を食べてもムシ歯にならない
19—ホテルの宿泊客へのアプローチ
20—営業時間・曜日の手本はパーマ屋さん
21—人口45000人の日南で350名、鹿児島市では?
22—リープ(情報誌)へのアプローチ
23—桜歯科で年間で延べ1000人
24—おもてなしの言葉遣い
25—サプリメールの配信
26—ハッスル隊方式の導入
27—基本は和!木と障子がベース
28—親子割り・家族割り・友割り
29—PMTC終了後はミネラルウオーターボトル
30—本の貸し出し・読書のみ可能
31—デンタルコンシェルジュ:メールでいつでも繋がる!
32—受付を通った人は他の人とは会わない間取り。
33—来訪者はお客様である。
34—patientではなくclientである。
35—地元民放の女子アナがリピーターになる。
36—ブログ・twitterなどを駆使する。
37—紹介者へのフィードバックシステム
38—オープン時にプレ会員ゲット
39—駐車場をどうするか
40—年会費メンバーは無制限
41—元気ハツラツ産業
42—キレイビジネス(綺麗)
43—清潔ビジネス
44—世のため人のためになることで何を迷うことがあろうか!
45—世のため人のことになることで何の不都合があろうか!
46—ニコラ歯科HPは受付となる
47—その人ひとりひとりのオモテナシ
48—メンテナンス時間をマイレージポイントの根拠に
49—ニコラ教室の月一開催
50—完全個室か不完全か
51—音楽をどうするか、ひとつか4つか
52—スタバのような看板
53—予約の確認はハガキが基本
54—データベースの充実と宛名の連動
55—「医」「食」「遊」の切り口
56—一年間継続する特典(治療費補助?)
57—いろいろな割引
58—基本プライスは一回いくら?
59—個室空間は眠くなる雰囲気。眠りは癒し。
60—白い歯を守る歯科医、治療でなく予防がメイン!
61—喜び(お客)、喜び(客の家族)、喜び(スタッフ)
62—うつく歯科!うつくしか!ウツクシカ!
63—個室の壁にハンガー用のフック

*ニコラ歯科の仕掛け! 2011/04/09
1-    省エネ・エコ。ソーラーパネル
2-    LED ゴミゼロ
3-    きれいビジネス
4-    最高の滅菌システム
5-    完璧なPMTC
6-    最新の義歯クリーニングシステム
7-    プライバシー重視はおもてなし
8-    ゲーム性を持たせる=仕掛け
10— エアー(冷暖房)
11— サウンド
12— 天井
13— 床(可能なら木)
14— パーテーションは半透明で明るい?(不完全個室)
15— 入り口の自動ドアは不要?
16— キッズ部屋には歯磨きコーナー必要、2人可能。
17— キッズ部屋をもう少し広く出来ないか?琉球畳
18— 受付の位置をもっと前に?
19— 待ち合いと各部屋のどちらに引き戸?
20— おそらく各部屋に引き戸
21— 本棚は平面、波状?
22— 待ち合いカウンターの壁際には隙間で下にコンセント
23— 一番奥の壁は白っぽく=ニコラ教室の時のスクリーン
24— 医局の流しは畳に近くする
25— 技工コーナーを手前に
26— 医局は閉鎖可能に。着替える場所になる。
27— コンプレッサーなどの置き場は?
28— 作業台が必要、大きいほど良い
29— 本棚の裏側は収納
30— 手すりをつける。全てに。
31— 各部屋にはホテルの洗面台。
32— 各部屋(三部屋)もう少し狭くしても良いのでは
33— 頭の向きはどちら向き?横置きの部屋
34— 各部屋間の通話は如何に?小窓を開ける。インカム
35— 待ち合いへの扉は要不要?
36— ニコラ教室は多くて20人
37— スタッフトイレはやはり必要
38— 医局の仕切りの壁の技工室サイドはホワイトボード
39— 冷蔵庫は二ヶ所(材料と食料)
40— 洗濯機と乾燥機(ひとつで?分離?)
41— ゾーンの分離(表と裏)
42— 清潔と不潔
43— 待合場・仕事場・準備場・滅菌場・技工場
44— 来院者の分離:客・伴・営業・同業・メンバー
45— ネット環境(WiFi)、コンピューター
46— 廊下の間接照明は?
47— 玄関正面の絵はこれです。70×90
48— キッズ歯磨き場のベンチは120×38
49— 姿見・顔鏡・チェック鏡・歯磨き鏡
50— ガスは必要?都市ガス可能
51— 子供部屋ではどうやって本を読む?
52— 掘りごたつ、カウンター、卓袱台
53— 受付は大人の高さ、子どもの高さ
54— 受付をもっと広く
55— レントゲン室は治療室の隣
56— キッズ部屋は小学生まで、中学から大人。
57— キッズ部屋は角の窓の有効利用は?
58— どこをクローズして、どこがnotクローズか。
59— 理想はエアーはnotクローズで、ボイスはクローズ。
60— 待ち合いカウンター見える場所にパソコン用コンセント
61— ふくぎベンチは何処に置く?
62— 各部屋のサウンド(音楽)は、いかに?
63— 材料用冷蔵庫は治療部屋、食料用は医局。
64— 待ち合いにプチベイスン(ワイン会用)

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その3

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その3
—ニコラ歯科を開いた理由

さて、話を戻します。日南で21年間診療するうちに「ほぼ、こうすればムシ歯は完全に防げる」という方法・システムをつかむことができました。2007年から、歯科医師対象のセミナーなどでも話すようになりました。セミナー会場では、皆さん頭を縦に振ってくださいますが、セミナー後の反応が今一でした。そんなとき、2008年8月に「奇跡のリンゴ」という本に出会います。無農薬でリンゴを実らせることに成功した人の話です。本のタイトルもさることながら、新聞広告の表紙画像に大変興味を持ちました。歯の無いおじさんが笑っているのです。歯科医の見方では「歯のないひと(治療すべきなのに治療を受けてない人)」は、「この人は何を考えているんだ」となります。

「奇跡のリンゴ」を一気に読みました。途中142ページの冒頭の二行「不可能を可能にすること 無農薬でリンゴを栽培することに、木村の全存在がかかっていたのだ。」を目にしたとたん、ガーンと殴られたような気になりました。「そうだ!おまえが(先手先手予防を)やってみれば」「おまえは、セミナーで話しているけど、やっていることは後手後手医療だろう」と、もうひとりの河野秀樹の声が聞こえました。「そうだ、自分でやってみよう」「おまえがやればいいじゃないか」。これが2008年の9月のことでした。

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その2

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その2
—ニコラ歯科を開いた理由

話は遡りますが、大学生の頃、同級生に歯科医の子供さんが数人いました。実習で同級生の口の中を見ると、奥歯まで真っ白、金属は全く入っていません。漠然と「親が歯医者だからムシ歯がないんだ」と思いましたが、歯学を勉強するにつれ、そんなことはあり得ないと思い始めました。医学的にムシ歯と親の職業は無関係です。ちなみにわたしの親は公社員でした。(この部分は重複)

この疑問が解けたのは、歯科医師となり親となり、
子どもがある程度大きくなった頃です。
実は歯科医師は二つのことを知っていたのです(おそらく)。
ひとつは「一度削った歯はまたムシ歯になる(可能性が高い)」、
もうひとつは「こうすればムシ歯は防げる」です。
言い換えれば(極端な言い方ですが)
「ムシ歯を完璧に治すことはできないので、
必死で我が子の歯を守る」ということです。
もちろん、親が歯科医師という環境は、
我が子の歯を守るには設備を持っているという点で、
最適の環境ですし、他の方に比べると容易に行えます。

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その1

「なぜ歯医者の子どもはムシ歯にならないのか」その1
—ニコラ歯科を開いた理由

小生(河野秀樹)は1961年宮崎県日南市生まれです。
手遊び手仕事が好きで、将来は手を使う仕事に就きたい
と思っていました。
大学進学の際に、工学部か歯学部か迷いましたが、
歯医者のほうが手仕事のイメージが強く
歯学部に進みました。
1986年に歯科医師となり、
1990年に日南市に桜歯科を開業しました。
桜歯科で一般開業医として日々診療する中で、
ごく自然に疑問が生まれました。
「今、やっていることは後手後手医療なのでは?」
「先手先手予防ができるのでは?」です。

話は遡りますが、大学生の頃、
同級生に歯科医の子供さんが数人いました。
実習で同級生の口の中を見ると、奥歯まで真っ白、
金属は全く入っていません。
漠然と「親が歯医者だからムシ歯がないんだ」
と思いましたが、
歯学を勉強するにつれ、
そんなことはあり得ないと思い始めました。
医学的にムシ歯と親の職業は無関係です。
ちなみにわたしの親は公社員でした。
——続く

ニコラ歯科スナップ16

ニコラ歯科スナップ16
受付のこだわりに、ふたつ追加です。
追加ひとつめは「壁掛け時計」

デザインはリキ・ワタナべ氏
しかも、これは電波時計
ニコラ歯科のためにデザインしてくれたような一品!
ニコラ歯科は、この時計とともに歩んでいきます。
ちなみに時計の方に見えるオブジェは文鎮で、
1990年の桜歯科開業直前に京都で求めたものです。

追加ふたつめは「有り難いサービス」(自己満足・笑)

調べてみるといろいろ面白いことが・・
softbankとauで、事足りるようです。

二コラ歯科スナップ15

ニコラ歯科スナップ15
受付はその施設の言わば「顔」、
顔の目玉はふたつ!

ひとつは「一期一会」、
これは都城の高松蘇南氏の筆です。
この書家の方は名前を複数お持ちで、
この一期一会には「冬以山人:とういさんじん」と。
もうひとつはFrancfrancで入手のピンクの象。
ピンクの象をネットで調べると、
「アル中の幻覚」とありますが、
なかなかかわいいです。
実はこの場所に当初バカラの招き猫を考えたのですが、
いろいろと考えピンクの象に決定。

あとはフットライトと荷物置き場でしょうかね。