BBTime 641 エンタメ

「粕汁にあたたまりゆく命あり」石川桂郎

2023/12/24 投稿 2024/01/02画像追加と加筆
先日(12/21)桜島初冠雪、やっと冬らしい年末が来ました。句の解説『鮭や野菜等に粕を加えてコクを出すという、冬を乗り切る知恵が<粕汁>には詰まっている。桂郎はこの句を病床にあって詠んだ。だからこそ身体のみならず<命>がぬくめられる感覚を抱いたのだろう。この一年の間に死別した人の数を思う。そして、いずれ自分自身の命ともサヨナラをしなければならない時が来ることをも思う。しかし生きている限り、その日まで食べ続けなければならない宿命をわれわれは生まれながらに持っている。(『四温』)季語=粕汁(冬)』(櫂未知子著 食の一句より)。同感!「Music for 介護」「Sweets for 介護」ときて締めは「食こそエンターテインメント!」。この言葉、昔雑誌「dancyu」の表紙に載っていました。

今年(2023)春から本格的に訪問診療に携わるなかで、今更ですが歯科医師の仕事は「食べる」であると痛感しています。健康な人そうでない人、誰にとっても「食べる」は喜びであり生きている証(あかし)でありエンターテインメントであると実感します。句の解説にあるように『生きている限り、その日まで食べ続けなければならない宿命をわれわれは生まれながらに持っている』のです。

ある施設利用者女性は百歳。その方だけは、昼御飯お膳に九皿載っています。ご家族の希望で「おばあちゃんに、好きな物を好きなだけ、食べて欲しい」とのこと。おおかた箸をつけられるのは二割から三割、ご家族はそれでもいいと。これを知った時ショックを受け感動しました。まさに「食こそエンターテインメント」!。栄養のバランスがどうのこうの、ムシ歯のリスクがどうのこうの等々、一切関係無いと気付きました。(失礼な言い方ですが)残された日々をいかに楽しむか。その大きな楽しみが「食べる」です。まさに「エンタメ、生きる、生ききるため」!

以前書いた「BBTime 538 残るは食欲」に・・「阿川佐和子著「残るは食欲」に『書名ともなった「残るは食欲」というのは、そもそもだいぶ昔に悪友、ダンフミが呟いた言葉だ。「愛欲と物欲を捨てた今、自分と俗世を結ぶ唯一の絆は食欲のみ」うまいことを言う女優だと感心した。感心はしたけれど、私はそこまで欲を捨ててはいないと自認した。』(あとがき)」。

余すところ七日、除夜の鐘は百八。百八番目の煩悩が食欲なのかも知れません。今年の大掃除のメニューに口の中の大掃除も加えてください。診療所に出向くのが無理な場合、湯船でゆったりゆっくりじっくりのハミガキを!皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

https://youtu.be/ZcJjMnHoIBI?si=gytN2JaKfE7Z5zwU

朝日新聞 2024年元日の朝刊より

BBTime 640 セイタイハイリョ

円鏡のラジオやせわし年用意」小沢昭一

2023/12/17投稿 2024/01/05追加(セミナー向け)
 小生落語大好きです、まずは解説を。『年用意は、新年を迎えるためにいろいろと支度を整えること。私などは何もしないが、それでも部屋の掃除などをはじめると大変だ。本の山をあっちへやりこっちへやり掃除機をかけたところまではよかったが、その本どもが元の場所に戻らない。どう積み重ねてみても、以前より広い場所を占めてしまう。寝る場所の確保さえ覚束なくなり、本は乱雑に積み上げたほうが狭いスペースですむという真理を発見するに至る。ところで、このときの作者は何をしていたのだろうか。ふと気がつくとつけっぱなしのラジオから、円鏡のせわしない話し声が聞こえてくる。ただでさえせわしないのに……と、さすがの小沢昭一も苦笑の図。これで三平でもからんだヒには、ラジオをぶん投げたくなってしまっただろう。『変哲』所収。(清水哲男)』(引用元)。この方の声は「鈴を転がす」とは言い難いです・・今回は声帯についてのお話「声帯配慮」。ちなみに「セイタイハイリョウ:聖体拝領」はこちら

先日、NHKラジオ「健康ライフ」は声帯についてのお話。声帯をケアすることがスムーズな嚥下につながるとのこと、かいつまんで見ていきましょう。読むらじるもご参照の程。
1)声帯の役割:「声帯」は声を出すだけではなくて、食べ物や飲み物を飲み込むことと密接につながっています。良い声を維持することは生活の質の向上につながりますし、食べ物や飲み物を飲み込む機能がうまく働かなくなる「嚥下障害」、さらに命に関わる「誤嚥性肺炎」などの病気を防ぐことにもつながっています。
2)のどの役割は三つ:のどには、大きく分けて「物を飲み込む」「空気を運ぶ」「声を出す」という三つの役割があります。
3)声帯の場所:人間の特徴は音声言語コミュニケーションつまり「話をすること」。言葉を出すために大切な器官が、喉頭の中にある「声帯」でちょうど「のどぼとけ」、のどの真ん中辺りにあります。
4)声帯のもうひとつの役割:誤嚥防止です。「誤嚥」とは、食べ物や飲み物が気管に入ってしまうこと。喉頭と、それに蓋をする喉頭蓋は哺乳類にはみんな備わっているんですけれども、人間の特徴はその位置なんですね。人間は言葉で会話をするために、喉頭と、それに蓋をする喉頭蓋は首の真ん中の辺りまで下がってきちゃったんですね。
5)咳反射:喉頭蓋で蓋ができなかった時は「咳反射」といって、声帯が左右ぶつかり合ってくれるんです。加齢や病気などで声帯の筋肉が衰えてしまうと、うまく飲み込むことができなくなることがあります。声帯は声を出すことだけではなく、飲み込むことと密接なつながりがあります。

6)声帯の老化:ゴムのパッキンが劣化することと同様で、左右の声帯が閉じても隙間ができてしまいます。そうすると「声がれ」や「息漏れ」が起きてしまうんです。声帯の老化が進んでしまうと、誤えん性肺炎やえん下障害にもつながります。
7)声帯老化の確認:思いっきり息を吸って「あーーー」と声を出して一息で何秒続くか。この時間を計ることで、声帯の衰えを確認できます。「あーーー」と声を出すときは、普段の会話くらいの大きさで出しましょう。男性で15秒以上、女性で12秒以上が正常で、声が高くなったり、震える、変な声になる場合は要注意です。他にも人から「声が変わった」と言われた。歌い慣れた歌が歌いにくくなったなども老化の表れです。
8)加齢以外の原因:声をあまり使わない。仕事やプライベートで人と話す機会が減ってきますと、筋肉が衰えて声の萎縮が進みます。姿勢も重要です。猫背の方やうつむいて話す方は、肺から上がって来る空気を遮ってしまうので、声の響きに影響を与え、こもった声になります。また、余分に胃酸が出やすい食生活を送っていることも、原因のひとつとなります。アルコールをとり過ぎて、胃酸が食道に逆流して「のどやけ」を起こして声帯を痛めてしまいますし、タバコも声帯にとってはよくないです。
9)声帯の鍛え方:電話やオンライン通話でも会話はできますが、毎日通話の相手を見つけるのも難しいので、1人でもできることとして、本や新聞を声に出して音読することです。また、テレビ番組に参加しているつもりで「あ~、そうそう」などと言ってみたり、クイズ番組なら声を出して答えるのもいいと思います。カラオケや詩吟などもおすすめします。ご自分の気分が楽しくなるような、好きな歌や好きなことを歌っていただくのが一番よいと思います。

10)誤嚥性肺炎:水や食べ物や唾は、肺に入ってはいけない“異物”です。水や異物が気管から肺に入ってしまうと、肺では対応できませんから炎症を起こします。この炎症を起こすと「誤嚥性肺炎」となります。誤嚥性肺炎の症状として、発熱、せき、たんが出て、呼吸も苦しくなります。何となく元気がないとか食欲がない、唾がたまったようなこもった声、呼吸に伴い首の辺りがゴロゴロ鳴る、などの症状も、誤嚥性肺炎になりやすい特徴です。厚生労働省の人口動態統計によると、2022年、令和4年に誤嚥性肺炎で亡くなられた方は5万6,000人強で、死因の中で6番目に多い病気です。特に、高齢者の方には気をつけていただきたい病気です。
11)誤嚥防止策:顎を引いて飲み込むことで、のどを口に近づけられますので、飲み込みやすくなります。飲み込みにくくなったら、ストローを使うことをおすすめします。
また、えん下の動作全体が加齢で遅れますので、食事に“とろみ”をつけて流れを緩やかにすることで飲み込みやすくなります。薬をゼリーに包んで飲み込むのも、誤えん防止にいいでしょう。
12)声帯が衰えると:会話をしなくなると、認知症のリスクも高まります。会話には耳や目、脳も使いますので、会話によるコミュニケーションの低下は認知症のリスクを高めるとも考えられます。また、声が出にくいと話さなくなり、さらに声が出しにくくなるという悪循環を招きます。日頃から声を出すこと、これを心がけてほしいです。
13)声帯萎縮の予防:声帯も筋肉ですから、鍛えて萎縮を予防する体操があります。1から10の数字を唱えていただきます。まず胸の前で両手を合わせてください。左右の手を押し合う瞬間に「いちっ」などと短く区切って発声します。短くがポイントです。10まで発声します。これを朝晩2回ずつやってみてください。声帯が鍛えられて筋肉がついてきますから、肺炎の予防につながってまいります。やってはいけないのは、「い~ち」「に~い」「さ~ん」と伸ばし、力を長く入れてしまうことです。

14)声帯を鍛える:人と話す機会を増やす。喉の乾燥を防ぐ。声帯に悪影響を及ぼす生活を改める。
15)人と話す:人と話すことで声帯は鍛えられます、たくさん話しましょう。特にお年寄りや会話が減った人は、話をするということが大切です。会話で声の異変を指摘されたり、大きな病気が見つかる場合もあります。
16)喉の乾燥防止:喉の乾燥は声帯を痛める原因のひとつ。マスクや加湿器を使って、喉の潤いを保つことが大切です。うがいをして口全体を湿らせておくのも良いし、適宜、水を飲むことも良いです。
17)声の衛生に留意:無理な高さでの発声やささやき声、これは避ける必要があります。せきばらい、からぜきは必要最小限にとどめてください。食事は水分もとりつつ、少しずつ、むせないように慌てずゆっくり食べるようにすると良いでしょう。
18)声の衛生に留意2:大量にお酒を飲むと、口の中がアルコールで乾燥してしまいます。さらに気分が高揚して、いつの間にか大声を出すようになるので、ほどほどにするのがおすすめです。思うように声が出ない時、かぜをひいた時は、無理に声を出さないことが一番。
19)声の衛生に留意3:胃から出る胃液が逆流すると、声帯を傷つけます。食べてからすぐ寝ると、胃液や消化途中の食べ物が食道に逆流して、炎症を起こします。胃液はとても強い酸なので、胃液にさらされると声帯に炎症を起こしてしまいます。声帯を守る意味でも、寝る2時間前は食事やお酒を避けてください。また家庭でできる工夫として、寝るときに肩や肩甲骨の辺りを高くすることや、布団の下に座布団を入れると逆流が起きにくくなります。

かなり長くなりましたが声帯の健康のためのお話「声帯配慮」でした。ご存じ「阿吽:あうん」です。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

https://youtu.be/76s8c8D_YMQ?si=gIWFan1PT9sl_d9l

追加:声帯健康を保つひとつの方法として「朗読」もいいと思います。ふと思い出しました。昔、近所の家から読経の声が聞こえてきたことを。お経であっても朗読のひとつです、昔の人の知恵でしょうかね。オススメの詩を四篇。こちらもどうぞ「寿命延長」。

「山のあなた」カール・ブッセ 上田敏訳
山のあなたの空遠く
「幸ひ」住むと人のいふ
噫 われひとと尋めゆきて
涙さしぐみ かへりきぬ
山のあなたになほ遠く
「幸ひ」住むと人のいふ

「われは草なり」高見順
われは草なり
伸びんとす
伸びられるとき
伸びんとす
伸びられぬ日は
伸びぬなり
伸びられる日は
伸びるなり
われは草なり
緑なり
全身すべて
緑なり
毎年かはらず
緑なり
緑の己れに
あきぬなり

われは草なり
緑なり
緑の深きを
願ふなり

ああ 生きる日の
美しき
ああ 生きる日の
楽しさよ
われは草なり
生きんとす
草のいのちを
生きんとす

自分の感受性くらい」茨木のり子
ぱさぱさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難しくなってきたのを
友人のせいにはするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志しにすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ

雨ニモマケズ
風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク
決シテ瞋ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル
一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ
アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ
ソシテワスレズ
野原ノ松ノ林ノ陰ノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ
東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ
西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ
南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ
北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ
ヒドリノトキハナミダヲナガシ
サムサノナツハオロオロアルキ
ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ
サウイフモノニ
ワタシハナリタイ
宮沢賢治

https://www.dailymotion.com/video/x12dc3w


BBTime 639 Sweets for 介護

「数へ日の素うどんに身のあたたまり」能村登四郎

2023/12/09投稿
 早いもので今年も残り三週間、まさに「看看臘月尽:みよみよろうげつつく」。まずは句の解説から『季語は「数へ日」で冬。日数の残りも少ない年末のこと。感覚的には、まだ少し早いかもしれない。が、あらためて壁のカレンダーをを見ると、今年もあと三週間しか残していない。これからは何かと慌ただしく、一瀉千里で今年も暮れていくのだ。忙しいということもあるが、そんな思いのなかでの独りの外食は、見た目にデコラティブな料理よりも、シンプルの極みたいなものがしっくりと来る。「素うどん」などは、その典型だ。とりあえずの「身のあたたまり」ではあるだろう。が、もう少し「素うどん」を敢えて句にした作者の実感に迫っておけば、シンプルな食べ物からしか受けることのできない恩寵に、ひとりでに感謝する響きが込められている。おかげで「身」も暖かくなった。そして、心の内もまた……。年末の多忙は、多く整理の多忙だ。来る年を迎えるために、身辺も心の内もさっぱりとしておきたい。その気持ちが、たとえば「素うどん」の「素」にすんなりとつながっていく。そういうことだと掲句を読み、今日はどこかの立ち食いの店で「素うどん」を食べたくなった。それも「七味」ではなく「一味唐辛子」を、さっと振りかけて。『人間頌歌』(1990)所収。(清水哲男)』(解説より)。前回「Music for 介護」の続編です。

太宰府梅園の干菓子(ひがし)「よろつよ」。「Music for 介護」の通り、現在訪問診療中に音楽を流しております。その方(治療やケアの対象者)とコミニュケーション可能ならばリクエストにお応えします、困難な場合は師走ですので洋楽クリスマスソングを流します。今まで断られたことはありません、好評です。ケアの途中で口ずさむ方、頷くようにリズムを取る方など様々。その方が聞こえづらい場合も音楽をかけます。音楽があると従事者(こちら側)もスムーズに施術が進みます。スマホがあれば可能ですので、是非トライしてみてください。そこで(調子に乗って)次なる試みが「sweets:スイーツ」!

梅園の「宝満山:ほうまんざん」。ある訪問先でのこと。居宅(ご自宅)訪問、九十代半ばのお母さんを娘さんがみていらっしゃる。私たちが行くと、それぞれ(相手に対する)不満や愚痴を苦笑をまじえて話されます。聞きながら思います「それぞれにストレスが溜まっている?」そこで一案!そうだ「お菓子だ」「スイーツだ」。帰りしな飲み物など頂きますので、まずは日頃の御礼ですと「よろつよ」をお渡しました。よろつよを口にお茶を飲みながら、少しでもお二人のストレス減少できるのでは、が狙いです。

これは「うその餅」。「美味しいを守る」に書いておりますように「おやつの宅配!月に一度、オススメの和菓子もしくはスイーツをお届けし歯磨きがおまけで付きます。お菓子の持つ「甘い力」によって、御本人のみならず介護をする方のストレスも軽減できること請け合い」のようなシステムを考えております。口腔ケアがゴールではなく、その一歩先の「美味しい」まで届ける、いかがでしょうか。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

https://youtu.be/1FDAdEgUYEo?si=hUfSSknCztgHNKd2

BBTime 638 Music for 介護

「あたたかき十一月もすみにけり」中村草田男

2023/11/23投稿 11/29報告追加
 昨今の気温について、掲句の解説のようには受け止められない「今年」です。解説は『旧版の角川書店編『俳句歳時記』には、この句と並んで細見綾子の「峠見ゆ十一月のむなしさに」が載っている。長年親しんできた歳時記だから、毎年この時期になると、二つの句をセットで思いだすことになる。並んでいるのは偶然だが、いずれもが、十一月という中途半端で地味な月に見事な輪郭を与えていて、忘れられないのだ。忙中閑あり。……ならぬ、年の瀬をひかえて「忙前閑あり」といえば当たり前だが、両句ともそんな当たり前をすらりと表現していて、しかもよい味を出している。ただ草田男句の場合は、どちらかといえば玄人受けのする作品かもしれない。(清水哲男)』(引用元)。今回は介護と音楽について。

 歯科訪問診療で介護の現場に出向きます。訪問先で感ずること二点、明るさ(照明)と音。居宅(ご自宅)であっても施設であっても様々です。今回新たな試みを始めました。今までも可能な限り、ご家族や職員の方に一言断って、カーテンや窓を開けて外光を入れたり換気したりしていました。また、その場の「音」・・テレビ、ラジオ、BGMなどの音があることもあれば無音のこともあります。大雑把に言えば、戸やカーテンが閉まって(明るくなく)音がない部屋は、空気は重く暗く感じます。

介護を受けられるご本人が耳が遠い故の無音なのかも知れません。明るい空間(現場)もあります。明るい部屋にベッドがあり介護される方も明るい。あるお宅はご主人が奥様を介護されています、奥様は元バスガイドさん。いつも音楽が演歌、歌謡曲とエンドレスで流れてきます。小生がイントロ当てクイズよろしく「これは前川清」と言って間違っていると、奥様は寝たまま大笑い。ご主人と奥様のやりとりはまさに夫婦(めおと)漫才。かたや暗い空間もあります。光は届いていても「無音」、九十代半ばのお母さんを六十代半ばの息子さんがお世話していらっしゃる。介護鬱(うつ)を疑いたくなるくらい気落ちされていることも。帰りしな思いました「音楽をかけよう!」

簡単です、手元にスマホがあります。早速BGM作戦開始!はたと考えました「何をかけよう?」その時に浮かんだ曲がチャップリンの「Smile:スマイル」。早速spotifyで検索すると、様々な歌手がこの曲をカバーしているチャンネルがありました。狙いは「ご本人」「介護する人」「我々(歯科訪問診療)」へのBGMです、スマイルです。

効果の検証はこれからです。先日百歳過ぎ女性の口腔ケアでした。会話は成立しませんが、言う事は理解してくださいます。ケア終了後「今日はこれで終わりです、また来ますね」と大きめの声で言うと、感謝と喜びの気持ちが充分に伝わる目だけの笑顔で見送ってくださいました。「目は口ほどにものをいう」と言いますが、これほどまでに伝わるとはと驚くほどの「目だけ笑顔」でした。Music for 介護、試行錯誤していきます。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

報告11/29 報告します。
1)ご家族、施設の方に「音楽をかけながらさせて頂きます」と言うと、皆さん「それは、良いですね」との反応でした。
2)コミニュケーションの取れない方には、こちらが勝手に選びます。取れる方には「どんな歌がお好きですか?」と聞きます。ある方は「演歌がいいです」・・早速流したところ、口腔ケアの合間合間に口ずさんでおられました、その曲は石川さゆりの「津軽海峡・冬景色」。
3)コミニュケーションの取れない女性。スタッフが「この方は天文館(繁華街)でお店をされていたそうです」・・この方にも演歌を流しました。おそらく耳に届いていたことでしょう。情報に病歴はありますが、音楽歴も加えて頂くと助かると思いました。
4)演歌、文部省唱歌、洋楽でおおかたカバーできるでしょう。
5)音楽はエンターテイメントに分類されることもあります。介護の現場に更にエンターテインメントを取り入れることを進めていきます。続き、また報告します。11/29

https://youtu.be/xuMKgVJQZkQ?si=7WI7tvrOwlGH87bs

BBTime 637 Tea for Teeth

「雪降ってコーヒー組と紅茶組」中原幸子

2023/11/18投稿
 鹿児島は突然冬になりました(寒)。福岡市では平年より1ヶ月も早く初雪の便りとか(記事はこちら)。まずは句の解説から『寒いと思ったら、この街ではめったにお目にかかれない雪が舞いはじめた。外の情景をさっと描写したところで視点は喫茶店の内側へと切り替る。どっと入ってきてようやく席に落ち着いた一行。注文をとりに来たウェイトレスを前に幹事役の人が「コーヒーの人」「紅茶の人」と賑やかに声をかけ、手を挙げてもらっている。たくさん人が集まればよく見かける光景であるが、いい大人が「はい、はい」と、素直に手を挙げる様子もどこか子供じみて可愛げがある。幹事のとっさの問いかけであったが、この時は他の注文もなく、きれいにコーヒー組と紅茶組に分かれたのだろう。そんな偶然をきっかけにちょっと堅かった座の雰囲気も自然にほぐれる。(中略)暖かな飲物もゆきわたり、ほっと落ち着いた気分で窓に眼をやれば雪はちらちらと降り続いている。白く細やかな雪が楽しげな室内の空気をいっそう引き立てるようである。幸子の句には都会で暮らす日常のなにげない出来事が季節を感受する喜びとともに生き生きと書きとめられている。それは今の暮しの原風景であるように思える。『以上、西陣から』(2006)所収』(引用元)。今回は「歯のためのお茶」について。

先日のこと。おやつ堂に来られたお客さんとの会話「始めは歯磨き粉付けずに唾液磨きしてます」いいですね!「最後にペーストを歯に塗るようして、うがいは無し」そうです!「手にハンドクリーム塗って、すぐさま洗う人はいませんもんね」はい、その通りです。「唾液磨きの時のつばは飲み込んでもいいんですよね?」はい、問題ないです。

この会話の後、ひとつのアイデアが浮かびました。お気に入りのハーブティを用意してください。唾液磨きの途中途中で、ハーブティでブクブクうがいゴックン。もちろん、お茶でも白湯(さゆ)でもOKです。唾液磨きとティーを用意することで、リビングでもテレビや動画見ながらでも歯磨きできます。これから更に寒くなる夜に、ひんやりした洗面で磨きよりも心地良く丁寧に歯磨きできます。くれぐれも砂糖はゼロにてお願いします。個人的なオススメはミント系なら冒頭画像「ミントマジック」、ほんのり甘いカルディ「シナモンティ」です。では皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 636 くちびる

「物言へば唇寒し秋の風」松尾芭蕉

2023/11/10投稿 11/11画像追加 11/17リンク追加
 立冬(11/08)が過ぎたと言うのに日中は冬でもなく秋でもなく夏です。四季が二季(夏と冬)になる日も近いのでしょうか?句の解説は『あまりにも有名なので、作者の名前を知らなかったり、あるいは諺だと思っている人も少なくないだろう。有名は無名に通じる。こうした例は、他のジャンルでも枚挙にいとまがない。それはともかく、掲句は教育的道徳的に過ぎて昔から評判は芳しくないようだ。ご丁寧にも座右の銘として、こんな前書までついているからだろう。「人の短をいふ事なかれ 己が長をいふ事なかれ」。虚子も、苦々しげに言っている。「沈黙を守るに若かず、無用の言を吐くと駟(シ)も舌に及ばずで,忽ち不測の害をかもすことになる,注意すべきは言葉であるという道徳の箴言に類した句である。こういう句を作ることが俳句の正道であるという事はいえない」。ま、そういうことになるのだろうが、私はちょっと違う見方をしてきた。発表された当時には、かなり大胆かつ新鮮な表現で読者を驚かせたのではないのかと……。なぜなら、江戸期の人にとって、この「唇」という言葉は、文芸的にも日常的にも一般的ではなかったろうと推察されるからである。言葉自体としては、弘法大師の昔からあるにはあった。が、それは例えば「目」と言わずに「眼球」と言うが如しで、ほとんど医術用語のようにあからさまに「器官」を指す言葉だったと思われる。普通には「口」や「口元」だった。キスでも「口吸ふ」と言い、「唇吸ふ」という表現の一般性は明治大正期以降のものである。そんななかで、芭蕉はあえて「唇」と言ったのだ。むろん口や口元でも意味は通じるけれど、唇という部位を限定した器官名のほうが、露わにひりひりと寒さを感じさせる効果があがると考えたに違いない。「目をこする」と「眼球をこする」では、後者の方がより刺激的で生々しいように、である。したがって、ご丁寧な前書は句の中身の駄目押しとしてつけたのではなくて、あえて器官名を持ち出した生々しさをいくぶんか和らげようとする企みなのではなかったろうか。内容的に押し詰めれば人生訓的かもしれないが、文芸的には大冒険の一句であり、元禄期の読者は人生訓と読むよりも、まずは口元に刺激的な寒さを強く感じて驚愕したに違いない。(清水哲男)』(出典元)。今回は唇について。

冒頭の画像は朝日新聞「折々のことば」です。
「唇のまわりに、文化が横たわっている。」ミッシェル・セール
 食べる、味わう、話す、歌う、泣く、笑う、愛撫する。口は文化を最も基本的なところで担う器官だ。知性の原型もそこから蠢き(うごめき)はじめる。赤子は物の形状を齧って(かじって)確かめるし、考えるとはそもそもが、ものごとを吟味すること、つまり味わい分けることだ。そしてホモ・サピエンス。語源をたどれば「味わう人」を意味する。フランスの哲学者の『五感』(米山親能訳)から。

ヒトにおける歯の発生は胎生六週頃、かなり早い段階で口や歯はでき始めます。その意味は、それだけ重要ということ。口ができなければ、食べることはできません。日々、訪問診療に携わっていると「口」「歯」「唇」の重要性を感じます。最近特に感じることが「ウガイする力」です。ウガイできる方は「咀嚼・嚥下」「モグモグ・ゴックン」がおおかたできます。逆に「ウガイする力」が弱まるとともに、摂食・嚥下にいろいろと問題が生じます。ウガイする力を維持してください。具体的には、日々「ぶくぶくウガイ」の励行、準備運動としてウガイトレーニングをおすすめします。水(白湯でもお茶でもOK)を口に含んで「ぶくぶく」ぺっ(吐き出す)でもいいし、そのまま飲み込む「ぶくぶくゴックン」でも構いません。食前にすれば「準備運動」、食後にすれば「口の洗浄」「歯の素洗い」となります。最後まで口から食べるために、是非「ウガイする力」を保持してください。来週から季節通りの寒さになるようです、皆様ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:「口」が出てきます。口は生き物の入り口であり始まりです。
追加2:冒頭の折々のことばは「BBTime 549 唇」でも。

BBTime 635 ミラクルMTG

「空っぽの人生しかし名月です」榎戸満洲子

2023/10/27朝投稿 10/27昼追加
 唐突ですが今宵(10/27)は十五夜ならぬ十三夜です(ちなみに次の満月は10/29)。まずは句の解説『今宵は仲秋の名月。名月の句は数えきれないほどあるけれど、この句はかなり異色だ。作者はべつに名月を待ちかねていたわけではないし、愛でようとしているわけでもないからである。しかも「空っぽの人生」とは言っているが、作者が自分の人生を深く掘り下げて得た結論でもなさそうで、せいぜいがその場の自虐的な感想程度にしか写らない。そう私が受け取るのは、たぶん「しかし」という接続詞が置かれているせいだろう。この「しかし」はほとんど「ともあれ、とまれ」と同義的に使われていて、前段を否定しているのではなく、それを容認する姿勢を残しつつ、後段に想いを移すという具合に機能している。つまり「人生」と「名月」とは無関係と認識しつつ、それこそ「しかし」、作者は無関係であることに感慨を抱いてしまっている。感慨無き感慨と言ってもよさそうな虚無的な匂いのする心の動きだ。こう読めば、作者の人生ばかりではなく誰の人生もまた、日月のめぐりのなかで生起しながら、やがては日月のめぐりに置き去りにされていくという思いにとらわれる。『現代俳句歳時記・秋』(2004・学習研究社)所載。(清水哲男)』(出典元)。解説を読んでも「人生と名月」の関係は・・?。今回は無関係から生まれるかもしれないミラクルMTG(ミーティング)について。

おやつ堂でお出ししている「ひとみさんのキャロットケーキ」です。ある時、ケーキ受け取り時の雑談で「何かやりましょう、ミラクル起こしましょうよ!」の一言で、ミラクルMTG開催が決まりました。
「お世話になっております、おやつ堂河野です。おやつ堂にて「ミラクルミーティング」を開きます。この会は河野がキャロットケーキをお願いしているひとみさんの一言から動き始めました。おやつ堂を舞台に「何ができるか」「何をやりたいか」「ミラクルを起こしましょう!」が狙いです。出席者の職種年齢などは様々です。勝手気ままにご意見をお聞かせください。なおちょっとした晩御飯「パニスボックス」をご用意いたします。」(お誘いの文章)

画像はパニスの投稿より。2/23天皇誕生日にオープンして早くも八ヶ月経ちました。ムシ歯予防カフェ「おやつ堂」は、カフェなのか予防室なのか、はたまた?八ヶ月経って感じることは「ポテンシャル:可能性」は大であるということです。お客さんとの会話は、予防、治療、介護、グルメ、スイーツ、ワイン等々、多岐にわたります。カフェの持つポテンシャルが大きいことは勿論のこと、カフェを舞台に広がることも大きいと感じます。

太宰府「梅園」の宝満山大徳寺納豆入です。おやつ堂開店準備中から「樫舎:かしや」(奈良)、「フロレスタ」(奈良)、「アルパージュ」(東京)、「パニス」(鹿児島)、「梅園:ばいえん」(太宰府)などの店主の方に会っておやつ堂のことを話しました。「美味しいものが歯を守るのです!」・・風が吹けば桶屋が儲かるのような話です。カフェで美味しいものを提供して、お客さんの口から「美味しい」のひと言が出ます。美味しい理由のひとつは「口と歯が健康だからです」と伝えます。美味しいと感じたことで「歯と口への敬意」をアップして頂き、更なる予防へ繋げてもらえれば、というのが狙いです。このように話すと店主の方々皆さん納得してくださいます。冒頭の画像は朝日新聞「折々のことば」です。「人生は、面白くしたものが勝つ」の考えを持ってミラクルを考えます。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

追加:これも「折々のことば」。最後の方に「菓子は人を救いもする」とあるように、美味しいもの甘いものは人を救い助ける、加えて歯を守ることもできるのです。「BBTime 633 美味しいを守る」「BBTime 429 甘い力」もご参照ください。ではでは、ではまた

BBTime 634 イライラを洗う

「疲労困ぱいのぱいの字を引く秋の暮」小沢昭一

2023/10/18投稿
 駆け足で秋が来ました、駆け足で過ぎ去るのでしょうか。句の解説『共感して大きくうなずくことは、よくある。が、共感するあまりに、力なく「へへへ」と笑ってしまいたくなるのが、この句だ。疲れた身体にムチ打つようにして文章を書いている最中に、何の因果か「ヒロウコンパイ」と書かねばならなくなった。ところが「困ぱい」の「ぱい」の字が思いだせない。大体のかたちはわかるのだが、いい加減に書くわけにもいかず、大きな辞書をやっこらさと持ちだして来て「こんぱい」の項目を「困ぱい」しながら探すのである。「疲労困ぱい」の身には厄介な作業だ。そんな孤独な原稿書きの仕事に、秋の日暮れは格別にうそ寒い……。ちなみに、季語「秋の暮」は秋の日暮れの意味であり「晩秋」のことではないので要注意(と、どんな歳時記を引いても書いてある)。ところで、この句は「紙」に文字を直接書きつける人の感慨だ。と、この句をワープロで写していた先ほど、いまさらのように気がついた。ワープロだと「こんぱい」と打てば「困ぱい」ではなく、すぐにぴしゃりと「困憊」が出てきてしまう。その「困憊」の「憊」をいちいち「ぱい」に直さなければならぬ「わずらわしさよ秋の暮」というのが、今の私のいささかフクザツな心持ちである。この句は、既に井川博年が昨年の11月に取り上げていた。さっき検索装置で調べてみて、やっと思いだしたというお粗末。ま、いいか。最近は「困ぱい」することが多いなア。『変哲』(1992)所収。(清水哲男)』(引用元)。さて疲労困憊でもイライラします、今回はイライラを洗うお話。

イライラの原因はイロイロ。三分待たされてイライラする人もいれば、三十分待ってもイライラしない人もいます。イライラがストレスとなり、ストレスが体の不調を引き起こし、不調が病気のトリガー(引き金)になる・・理解しやすい論理です。実は感じないイライラもあるのです。

「慢性炎症」が感じないイライラです。
「慢性炎症」はサイレントキラーとも呼ばれ、気づかぬうちに炎症が継続し、毛細血管を通してさまざまな病気を引き起こす。(中略)糖尿病、メタボ、アトピー性皮膚炎、認知症、躁うつ病、心臓病、脳卒中、がん…、これらの病気はまったく別の病気に見えますよね?ところが、一見無関係な病気の根本に、慢性炎症という共通項があったんです。例えば、躁うつ病はセロトニンなどの神経伝達物質の不足によると考えられてきましたが、その上流には慢性炎症があることがわかってきました」(引用元)。

「歯周病は歯周病菌による慢性炎症ですが、糖尿病を引き起こすことがわかっています。炎症性サイトカインは血糖値を下げるインスリンの働きを悪化させるため、血糖値が高くなりやすいんです。このように慢性炎症は全身いたるところに広がる可能性があり、さまざまな病気のもとになります」(引用元)。

プラーク(歯の汚れ)と認知症の因果関係も明らかになってきています。その繋がりは1)口腔内プラークが常に多いと歯周病が悪化。2)歯周病菌が血液によって脳内に運ばれます。3)歯周病菌を攻撃するために脳内にアミロイドβが現れ蓄積します。4)アミロイドβプラークがアルツハイマー病発症に繋がります(引用元)。詳しくは「BBTime 615 明日は我が身?」に書いております、ご参照のほど。

画像は先日、国が承認したアルツハイマー型認知症治療薬「レカネマブ」です。「25日、エーザイと米バイオジェンが開発したアルツハイマー病治療薬「レカネマブ」を正式に承認した。進行を遅らせる効果を証明した国内初の薬となる。薬の公定価格である薬価の決定を経て、年内にも医療現場で使えるようになる見込みだ」(引用元)。年間で薬代が約390万円、保険適用で自己負担がおおよそ14万円くらいになるだろうとのことでした。

認知症を予防する・遅らせる、ひとつの技が「歯磨き」。健康寿命を伸ばし、最後の一日まで人生を味わうための「歯磨き」と思えば、煩わしくないのではないでしょうか?心の感じない「イライラ」をアライ流す、ムシ歯予防・歯周病予防のためだけではなく、認知症予防・PPK(ピンピンコロリ)のための歯磨きと捉えるのはいかがでしょう。

以下、施設依頼セミナーのための内容です。
1)ヘッドライトを付け、開けてくれない場合は指サック式バイトブロック(上の画像)を使用する。2)歯磨きペーストは始めから使わない。3)ライトで口腔内を照らし汚れや食物残渣(しょくもつざんさ、食べかす)を見る。4)歯ブラシで落とす。5)歯間ブラシにジェル(歯磨きペースト)を付けて磨く。6)フッ素入りのペーストを少量、歯ブラシにつけて仕上げ磨きと言うより、歯にペーストを塗るつもりで磨く。7)うがいはしない(塗ったペーストの効果がなくなるので)。

これからお風呂が癒しの季節です。ぬるめのお湯にゆったり浸かりながらの「だらだら磨き」が、人生を長く輝くものにすると考えてみては、皆様ご自愛の程ご歯愛の程。

https://youtu.be/MIxzbYmAyxY?si=E5IL2Pl1oZ-0yvxs



BBTime 633 美味しいを守る

「鯛焼のあんこの足らぬ御所の前」大木あまり

2023/10/14投稿
 鹿児島も、やっと秋らしくなって来ました。句の解説『朝夕はだいぶ冷え込むようになってきた。辛党の私でも、ときどき街でホカホカの鯛焼きを食べたい誘惑にかられるときがある。まして、作者は女性だ。旅先の京都で鯛焼きを求めたまではよかったが、意外に「あんこ」が少なかったので、不満が残った。庶民の食べ物とはいえ、さすがにそこは京都御所前の鯛焼き屋である。上品にかまえているナ、という皮肉だろう。それにしても、御所の前に鯛焼き屋があったかなあ。どなたか、ご存じの方、教えてください。ついでに「あんこ」の量についても。無季。『雲の塔』所収。(清水哲男)』(引用元)。久しく鯛焼き食べてませんが、あんこ好きです。前回の「食べるを治す」に続いて、今回は「美味しいを守る」

食べるを治す」に・・歯科医となって四十年近くなろうとしています。恥ずかしながら今頃になって歯科医の仕事は「食べるを治す」ことであると気が付きました(猛省)。ムシ歯の治療も歯周病の治療も入れ歯を作るのも全て「食べる」ためです。木を見て森を見ずでした・・と書きました。このことはムシ歯予防・歯科予防についても同様。ムシ歯にならないように「歯を守る」のではなくて、その方が常にずっと味わえるように「美味しいを守る」ことが歯科医の使命だったのです。「美味しい」を守る・維持するためにムシ歯予防する、歯周病予防するのです。
次の画像は先日(10/12)の朝日新聞コラム「折々のことば」です。

むしろ菓子は悲しみに寄り添うものである。 平野紗季子 
オンラインで菓子の店を開いたら、多くの人から気軽に「幸せ」と言ってもらえて驚いたと、フードエッセイストは言う。文章を書いてもこんなことはなかなかない。ある日、明日入社式があるという女性客は、不安でいっぱいの独りの夜にスイーツで自分をなだめようとしたらしい。それで菓子は人を救いもすると知ったと。随想「お菓子屋の日々」(「新潮」9月号)から。・・10/12朝日新聞折々のことばより

文章読んで溜飲を下げました。
インスタに「おやつ堂新企画について。休みの火水木はおおかた訪問診療に携わっております。その時ふと浮かんだアイディア、おやつの宅配!月に一度、オススメの和菓子もしくはスイーツをお届けし歯磨きがおまけで付きます。お菓子の持つ「甘い力」によって、御本人のみならず介護をする方のストレスも軽減できること請け合い。「おやつの宅配」・・早速来月からスタートします」と投稿しております。美味しいを守るから一歩進んで「美味しいを届ける」。

「食べるを治す」「美味しいを守る」さらに「美味しいを届ける」に精進します。最後に宣伝・・おやつ堂では各地の「美味しい」が味わえます。金土日月の開店で、詳しい営業時間などは「おやつ堂インスタグラム」をご参考になさってください。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。

BBTime 632 食べるを治す

「笑ひ茸食べて笑つてみたきかな」鈴木真砂女

2023/10/04投稿
暑い暑いと汗かいている間に九月から十月神無月へ。句の解説『軽い好奇心からの句ではあるまい。八十歳を過ぎ、心から笑うことのなくなった生活のなかで、毒茸の助けを借りてでも大いに笑ってみたいという、一見するとしごく素直な心境句である。が、しかし同時にどこか捨て鉢なところもねっとりと感じられ、老いとはかくのごとくに直球と見紛うフォークボールを投げてみせるもののようだ。よく笑う若い女性にかぎらず、笑いは若さの象徴的な心理的かつ身体的な現象だろう。どうやら社会的な未成熟度にも関係があり、身体的なそれと直結しているらしい。したがって、心理的なこそばゆさがすぐにも身体的な反応につながり、暴発してしまうのだ。私はそれこそ若き日に、ベルグソンの「笑いについて」という文章を読んだことがあるが、笑い上戸の自分についての謎を解明したかったからである。何が書かれていたのか、いまは一行も覚えていない。といって、もはや二度と読んでみる気にはならないだろう。いつの間にやら、簡単には笑えなくなってしまったので……。(清水哲男)』(解説より)。先日、地元民放テレビ中継時、小生の決めゼリフ(笑)・・「食べるを治療し、美味しいを守る」より「食べるを治す」について。

訪問診療に携わっていると、診療室内チェアサイドとは異なるシーンに出会います。端的に言うと「チェアサイドの常識が当てはまらない」。順不同でいくつかあげてみます。
1)補綴物はコントロール可能な人のための形態である。補綴物(ホテツブツ)とは、歯にかぶせる冠(クラウンなど)、歯がない箇所を前後の歯で補う(おぎなう)ブリッジ、義歯(入れ歯)等のことです(こちら参照)。
2)例えばブリッジの歯がない部分の橋渡しをポンティックと言います。歯がない部分ですので、歯茎の上に乗っかるような形態をしています。通常チェアサイドでは審美性(見た目)を考慮して歯茎との隙間を減らし見た目を自然な形にします。

しかしこの形では図のように汚れ(プラーク)が溜まりやすいので歯磨きが必要となります。訪問先患者さんの状態は様々で、ご自分で歯磨きができない方もいらっしゃいます。当然、ブリッジ部分には汚れが溜まります。このような場合審美性にはかけますが次の図のような形もあり、この方が食べ物や汚れはたまりにくいし清掃も楽です。多くの補綴物はご自分で歯科医院に足を運び、口を開け治療を受けられた時にセットされており、ご自分で口腔清掃ができていた時の形なのです。

3)入れ歯に関しても同じです。特に部分入れ歯には「クラスプ」と呼ばれる多くは金属製のバネがあり、このバネで歯をつかみます。義歯の着脱(つけたり外したり)はご自身にして頂きますが、施設利用者の方の中にはできない方もいらっしゃいます。この場合、施設スタッフの方がつけ外しをせざるを得ません。おおかた、クラスプは他人が付け外しするデザインではなく、他人の口の中の義歯の見えにくいクラスプに爪をかけて外すのは至難の技です。

4)歯が無い方が食べやすい。訪問先で多々あることです。前歯部分に本数の多いブリッジ(6本分8本分など)がセットしてあるけど歯周病でブリッジ全体がグラグラしている。噛まなければ痛みはないが、食事に時間がかかるし噛むと痛い。ミキサー食であってもグラグラブリッジが邪魔して食事時間が長くかかる。この場合、迷わずブリッジを除去します。歯を除去、抜歯、つまり歯が無い方が食べやすくなるケースもあるのです。

5)モグモグゴックンはひと続きではない。ある時「ゴックンしないので診てほしい」と依頼。その方は上下歯はなく入れ歯(総義歯)も使用せず。指を口腔内に入れるとモグモグされる。モグモグはできるのにゴックン(嚥下:えんげ)ができない。なぜだろうと舌を診てみると「舌根(ぜっこん)部がこわばって盛り上がっており、喉ちんこが見えない」・・原因はこれ?と思い、舌根部の機能回復をはかりました。詳しくは「BBTime 625 生きる入り口」に詳しく書いております。モグモグとゴックンは一連の動作行為ではなく、モグモグしてゴックンにバトンタッチしているのです。このバトンが上手につながらないとゴックンできないのです。

6)食思(しょくし)について。食思とは食欲、食い気のこと。施設の昼食準備を見ていると「普通食」「刻み食」「ミキサー食」など様々です。その方の摂食・咀嚼能力、利用者希望に合わせて準備されます。当然のことながらミキサー食は普通食に比べて、色彩・匂い香り・歯応えなどにおいて劣り、その分食欲減退につながります。いろいろな工夫が必要となります、詳しくは「BBTime 621 施設診療」をご参照ください。

7)食べるを治す。歯科医となって四十年近くなろうとしています。恥ずかしながら今頃になって歯科医の仕事は「食べるを治す」ことであると気が付きました(猛省)。ムシ歯の治療も歯周病の治療も入れ歯を作るのも全て「食べる」ためです。木を見て森を見ずでした、かと言って木の根元の笑茸もおそらく見ていなかったでしょう、精進します。皆様、ご自愛の程ご歯愛の程。